神無月の十一

●10月某日: 手術の日。けっこうぐっすり眠れた。とびきり明るい気分ってわけでもないが、食欲もあり朝ごはんもりもり。夫の運転で私が先に病院へ入り、サクは一時預かりを頼んだ保育園へ。夫にでも実家にでもないところに預かってもらうのは初めてで、しばらく前まではそれを気に病んでいたが、直前になるとかえって「何とかなるさ」という気に。遅れて、術中の家族付き添い義務を果たすため病院に来た夫に聞くと、「きょとんとして先生に手を引かれて入っていった」とのこと。

11時15分に病院に入って血圧など測定、問診を経て12時から手術開始の予定だったのだが、まあ案の定というべきか、ぜんっぜん呼ばれませんな。黙々と読書。『吉原御免状』なんて自分の体にメス(正確には違うけど)が入る直前に読むには悪趣味かもしれないが(グロかったりエロかったりな描写も多いんで)、けっこう夢中。患者名など書いたリストバンドをつけに来た看護師さんがすっごく不器用で妙に不安になりつつ、12時50分にやっと呼ばれて、手術室へ移動。夫は手術患者の待合室へ。まあここまで来たらまな板の上の鯉よね…。という感じで多少の痛みや不快感に耐えること30分で手術は終了。先生は超手際良く、予定通りの施術時間だった。それから静養とか先生のお話とかがあって、14時15分ごろか、夫が先に出てサクを迎えに。私は、夫が戻ってから会計をするつもりだったのが、会計処理機を見てみるとなんと手持ちで足りたので支払う。普段は「診察/検査なのに高っ」と思っていたが今日は「手術なのにたったこれだけ?!」だ。

保育園でのサクは全然泣かなかったらしい。先生が書いてくれた「お預かりレポート」を読むと、

11:20 登園。12:00 給食。14:20 降園。さくたろうくん、こんにちは。少し不安そうにお部屋に入ってきましたが、お友だちが遊んでいる様子をじっと見てスムーズにブロック遊びに加わっていました。給食もフォークを使ってとても上手に食べていましたよ

とのこと。まあ、なんとなく想像はつくな。ともかく、たかが3時間とはいえ、サクには初めての経験。ものすごくきゅんとした。夜はギャーギャーわがまま言ってたので、やっぱり刺激的だったんだろうなーとは思う。

私はといえば、体が少し痛んでいるが気分は悪くない。貧血もない。まあこれで終わったわけじゃないし楽観できない事柄もいろいろあるのだけれど、この病気のありがたいことには飲食の制限がこれっぽちもない。ってわけで、夜は夫が腕をふるってくれる。イカと小松菜のパスタ、サーモンのチーズ&バジル焼き。サラダなど。超うまかった。ワインもあけた。とりあえず、ひと山。ほっとした。