2012 ロンドンオリンピック: 8月10日【陸上競技】

●男子4×100mリレー予選: 日本すごいすごい、すごい良い走りを見せてくれました。興奮! 1走から順に、山縣−江里口−高平−飯塚のチーム。

個人種目同様、山縣くんの飛び出しと加速がすごく良くてね〜。この大会で、彼のファンになった人は多いと思う。ハイ、ご多分に洩れず私もその一人です。走りが柔らかくて伸びやかで、見ていて気持ちがいい。顔も走りとよく一致していて、涼しげなのに、何か心に期すものをもっているような面構え。予選後、とてもいい記録でしたが、と聞かれると、「良い走りをすれば記録はついてくるものだと思っているんで」と迷わず答えていた。それは、個人種目のあとのインタビューと同じ答えだった。

3走にしてリーダー格の高平さんのインタビューは、もはやわくわくするレベル。今日も「言えることは山ほどある」という感じでしゃべってた。「まあ良いタイムっていっても、五輪に来る前にこれぐらいのタイムを出しとくべきだったんですけどね。みんなマイペースで調整してくれるんで、リーダーっていってもそんなにやることはないんですけど、経験値がある身としては、チームの中心としてやるべきことはやっていきたい。明日までに修正するべきこともある。若い人はフレッシュに勢いで走ってくれれば」なんて、なんか高平がジジむさいこと言ってる〜!ってことに、ほんと毎日、星霜を感じてます。

たぶん修正っていうのは、2−3、3−4のバトンが「詰まった」あたりを指してるんだと思う。しかしだからこそ、団子状態だったとはいえ、4,5着でバトンをもらったアンカー飯塚の走りがそこからすごい伸びを見せたことには目を見はらされた。個人種目では予選落ちしたけど、世界ジュニアで優勝したっていう実力の片りんが見えた。トバゴとフランスが隣同士のレーンで競り合ってる間に、大外からスルスルッと抜け出して2着でゴール。解説・朝原さんなんか、飯塚くんが走ってる10秒間は、「あーっ、あーっ、あーっ」と叫びっぱなしだった。

その飯塚くんは、「個人種目で結果こそ出なかったけど、調子自体はいい感じなんで」とてらいなく言って、最後にもう一度、高平リーダーがインタビューを受けてるときには、もう同僚の江里口とペラッペラ喋ってる。ヲイw 映ってるってばww 確かにマイペースだな若手www この人のキャラクターも面白そうだ…。

さてさて、アメリカとジャマイカが実力で抜けているのは、これはもうハッキリしてることです。ジャマイカは予選、ボルト温存。パウエルはやっぱりリレーにも出られないか。100の決勝で痛めた足、ひどいのだろうか。今日もゾンビポーズのブレークさんを見て、「この人を見ても亀治郎(現・猿之助)が彷彿と…」と再び思う私。女子100のフレーザーが口元なら、この人は目元。いや、亀ちゃんというよりは、現・団十郎かも。ジャマイカって、なんか歌舞伎顔の人が多い・・・?

と、閑話休題。実力高いイギリスがバトンミスで失格になり、地元は大いに嘆いてることだろう。アンカーの十代、ジェミニ君、顔全体で笑ってる人の良さそうな笑顔が印象的で、個人種目から応援してたんだが、バトンが渡った時にはすでにオーバーテークゾーンを越えてしまってたようだった。それ以前に、彼の左肩をバリバリに固めているテーピングにはびっくり。

あと、100のファイナリストでもあるマルティナについて。これまでオランダ領アンティルの代表だったんだけど、アンティルがオランダに帰属することになり、今大会からオランダ代表になった。それでオランダのリレーチームは一気に実力アップになったらしいんだけど、地理にまったく疎い私には、へぇーへぇー。オリンピックって、二百何十だかの国と“地域”の代表、って決まっていうもんね。この、「地域」という言葉には前々から引っかかってる。国じゃない、ってどういうことなのか。どんな定義がそれを分けているのか。なぜ、そこは「国」たりえないのか。

中国がいいタイムを出してて朝原さんも感嘆。4年後はまた伸びるんだろうな。でもともかく、今回、日本は予選全体を4位で通過しました!!

●女子4×100mリレー決勝: アメリカが世界記録更新! フレイザーとベロニカ・キャンベルという100のメダリストふたりを擁するジャマイカ有利かと思われたが、最後は圧倒的な差でアメリカ。最後、ゴールに設置されてある電光掲示板がすでに「NEW WORLD RECORD」と表示しているのをバトンで指しながら疾駆するジーターが、震えがくるほど男前だった。

3−4のバトンが、まるで磁石でも入ってるんじゃないか?てほどに、ピタッと1度で渡ったからね。あと、ジャマイカは、ベロニカはすげー速かったんだけど、なにげに1走、100の金メダリスト・フレイザーより、アメリカの若手マディソンのほうが速かったよね?! 2走のアリソンの走りが今日も売る羽しか会ったことは言うまでもなし。アリソン、2つめのメダルおめ!! で、ジーターとフレイザーは今大会3つめ。ジーター、マジで調子いい。そしてなにげに、ベロニカより年上。

3着ウクライナ。リレーで初めてのメダルだということで、当然、超超よろこんでた。おめでとうございます。

●男子棒高跳び決勝: ノォォォーーーッ。私のヒーローことオーストラリアのフッカーが、5m65を3回失敗して消えてるーーー! 確かに、テグでも記録なしに終わったフッカー。おお、あなたの時代は終焉を迎えるの? でも、ベルリン世界選手権での勇姿…怪我があるんで5m85から跳躍を始めるも失敗して、5m90にバーを上げてそれを一発クリア。わずか2回の試技で優勝を決めたあなたの勇姿を私は忘れないでしょう。そしてあなたの'70年代ミュージシャン的風貌は私の好みのド真ん中です。

閑話休題、勝負はドイツのベテラン・オットーと新星・ホルツデッペ、そしてフランスの実力者ラビレニの3つ巴の争いに。すげー面白かったぞ。

ベテランふたりに先駆けて、新星が5m91を一発でクリア。自己新だそうですから、この大舞台の勝負どころでそれをやってのけた若者よ素晴らしい。顔もクレバーで好みでした。しかし、おまえの時代はまだ早いとばかりに、続いて跳んだオットーもこれを一発クリア。そしてラビレニはこの高さを失敗ー! 万事休すかと思いきや、ラビさん、91はさっさと捨てて、バーを5m97に上げてしまう。そしてこれを、2回目で見事にクリア! しかも、折しもそのとき、トラックでは4×400m男子の決勝中で、スタジアムはガーガー盛り上がってたんだけど、そんな喧騒をものともせずにひょいと跳びやがったよ! これはもう、キャリア・経験に一日の長があった。ラビレニ優勝。試技数の少なさでオットー2位、ホルツデッペ3位と確定でした。

ところで今、試合経過を書き残すに当たって間違いのないようにと、IAAFの公式サイトを確認してましたら、各選手のデータベースが面白い。ラビレニのページを見ると、この人、2010年までは棒高と並行して110mハードルで公式試合に出てるよ?! フッカーは2004年、200mの公式試合の記録が残ってるよ?! 陸上選手がいかにして専門競技に落ちついていくのか…前々から興味はあったが、ますます追求したくなってきた…

●男子4×400mリレー決勝: ちょ、おい! 確かに「400mの決勝にアメリカいないね〜」ってびっくりしてた。それはつまりこういうことにつながっていくのか! まさか、マイルリレーでアメリカが負ける姿を見ようとは…! 確かに、400のリザルトを見なおしてざっと平均値をとると、バハマのほうが速いんだわ。しかしまさかまさか…! いやー、バハマはうれしかったことだろう。銅メダルのトリニダード・トバゴもすげー喜んでた。

アメリカはまた1から出直しだな(←何さま)。マイルリレーでは400ハードルの選手が出てくるのも楽しみのひとつなんだけど、アンカー、400ハードルのファイナリストテーラーをしても、バハマのアンカーは抜けなかったのよね〜。でも、この屈辱からまた復権してくるんだろうな。女子4継リレーも、今回は1996年以来の優勝で、しかも世界記録をぐぐぐっと縮めたわけだから。

●女子5000m決勝: エチオピアのディババが制せば、短距離のボルトよろしく、1万と5000の2冠・2連覇になるところだったんだけど、そしてとってもいい位置につけてて、ラスト一周で早めに先頭に立ったんだけど、最後、力が残ってなかった。4コーナーからスパートした同じエチオピアのデファーが、ディババを破ってついに五輪女王。2着はケニアのチェルイヨトで、ケニアとエチオピアの選手で6位までが占められた。すさまじき強さ。表彰式を見てるときに夫が来たので、「この人、満島ひかりに似てない?」とディババを指して言うと、「似てる! スゲー似てる!」と強く同意してくれたので超満足。

●女子ハンマー投げ決勝: テレビでは一部始終をやったわけではないんだけど、男子の時と同様、どうも進行・運営に難があったらしい。優勝候補の筆頭であったドイツのハイドラーが、その煽りをモロに受けて3位に沈んだのも、室伏と同じだ。優勝したロシアのルイセンコ、ハンマー投げの選手とはちょっと思えない感じのスリムな体型だった。しかも、かなり美女。身長は室伏とほぼ変わんないとのこと。で、体重は室伏のほぼ半分だということだ(笑)

●女子やり投げ表彰式: ユニセックスなイメージのシュポタコバさんがこの競技唯一のきれいどころかと思っていましたら、3位の表彰台に立っているドイツのシュタール選手のかわいこちゃんぶりにびっくりしました。これは、今後も目が離せない!