『龍馬伝』第2部 アドベンチャー編(笑)始まる

おもしろかったです! 『HERO』や『救命病棟24時』を手がけた福田靖脚本と、『ハゲタカ』『白洲次郎』で映画と見まがうばかりの映像を作り上げた大友啓史の演出が組み合わされると、こういう大河になるんだなーと、あらためて感じ入ったことでした。

基本的に“ウケ(笑いという意味じゃなくて)を狙っていく”凝りに凝ったつくりなんだけど、あくまで娯楽作であり、だからといって視聴者をナメてるわけじゃなく、史実のトピックの拾い方なんか見ても真摯なものを感じる。いわゆる「本格大河」とは違うけど、全然「スイーツ(笑)大河」でもない、唯一無比の大河になるんじゃないかと思う。あとはもちろん、好き嫌いの問題。

  • わかりやすく

文久2年の処理。薩長を始めとする雄藩、幕閣、公家などそれぞれの情勢を「なんだかとにかくどこでもいろいろ大変だった」とばかりに簡略化してものの2分くらいで説明。史実では目まぐるしく勢力図が移り変わるし、じゃんじゃん人が頭角をあらわしたり死んでいったりでとにかく複雑極まりないのだが、ここいらへんを詳しくやろうとすると、とたんに視聴率が下がることを読みきっている(笑)。

  • 映像美、様式美

第1部の冒頭と同様、明治になり事業家として大成功した岩崎弥太郎と、初めて龍馬の伝記を著した坂崎紫瀾との問答で始まる第2部。豪奢な座敷と華やかな芸者衆、その中で声音すら違う香川照之のお大尽っぷりに時代の変化をいやおうなく感じさせる。
開始20分くらい、龍馬は後姿がちらっと映るのみで、その表情をいっさい見せずに焦らし、期待を高まらせる。そうしてやっと出てきた龍馬の変わりっぷり。

  • リアリティは脇で

「人斬り以蔵」として後世に名を残す岡田以蔵。土佐勤皇党の中での疎外感、劣等感、武市半平太への極端な傾倒を第1部から丁寧に描いていたので、彼が初めて人を殺すに至るのに説得力が。剣で鮮やかに斬り捨てるのではなく、狼狽しまくりながら必死に首を絞めるというのも、途中からBGMはおろか音声まで切ってしまうのも、相手が事切れたあとにわれに返って逃げ出すのも、この男の、幕末を生きた一人の名もない志士の悲しさを胸に迫らせるのにじゅうぶんな演出だった。この日からピンクレジットになった佐藤健くんもぐっジョブ!

  • 主役はあくまでかっこよく

大阪に姿を現した龍馬のかっこよさといったら! 脱藩して3ヶ月という設定の第2部に入って、男っぽさ、精悍さを大幅に増量。縮れ髪が乱れ、埃まみれの着物でも、あくまで笑顔は人なつこく、あくまで歯は白く。ドキュメンタリー調だった以蔵とは対照的に、龍馬の立ち回りは華やかで娯楽的。製作陣は、福山さんをかっこよく撮ることこそ、このドラマが成功するか否かの鍵を握る最大要因だということを知り尽くしてますね。