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『軍師官兵衛』 第30話「中国大返し」

大河ドラマ

中国大返し!! SMAPがやる27時間テレビ・フィナーレの裏にぶつけてくるには十分なネタ、これぞ夏休み!っていう豪華なテレビ欄です!

・・・って、あれ? な、なんか・・・つまんね・・・途中で立って家事したりしちゃった。

軍師官兵衛の煌めくお仕事は、先週でほぼ終わってたんですね。今週は、その仕込みを受けて強行軍が疾走して畿内に入り・・・天王山を迎える前に、もう勝負は決まっていた、って作り。うん、そうなんだけども。なんか、えらくあっさりしてましたよねー。

諸将の去就が鍵、と言いながら、筒井順慶やらはあっさり光秀を裏切り、高山右近やら中川清秀やらはあっさり秀吉に与する。ひどく簡単にうまくいったもんです。そりゃ、結果はわかってるよ、光秀の三日天下。それにしても、ドキドキしなかったんだよね。

強行軍で走り通しで走る道のりも、「いくらなんでも松明多すぎだろ」とか「まんま、市民マラソンの給水所やん」って感じの絵だったし。「かならず味噌を飲め」はよかったけどね。塩分ね、みたいな。

あげく、山崎の合戦は、「○○様、お討死!」の連発で勝敗を描写。水攻めに予算つぎこんだ余波がここにきたんですかね(苦笑)。しかも斉藤利三が討死させられててびっくりしちゃったんだけど、最近はそういう説なの? 子どもの頃に見た大河『春日局』以来、彼は捉えられて磔刑または斬首というのが頭に刻みつけられてるんだけども。

まあ、そこは本作では枝葉末節と譲るとしても、官兵衛パートのポイントが「妻子に会うか否か」って、をい。その展開自体がぬるくもあるんだけども、それ以上に、そもそも、この夫婦に全く感情移入できてないから、ってのが大きい。30話分の積み上げがあれば、こんなベタな展開でも萌え萌えできたはずなのにー!!

あー、あと、丹羽長秀を恫喝ね。この、「主人公が大きな声でぐうの音も出ない論を吐いて正面突破」みたいなのは、半沢直樹的なカタルシスを視聴者に与えるための良いエサになるんでしょうね〜(って感じで醒めた目で見ちゃうのは脚本が甘いせいでしょう)。

長政は、先週の又兵衛との再会に続いて、糸との出会いで朝ドラパート担当。父との確執のネタは割に細かく仕込んでいるようではあるが、これも「シナリオのためのシナリオ」に見えて、ぐっと入り込んで見られるかどうかは怪しい。高畑充希ちゃんは声がいいし、舞台経験豊富だし、時代劇似合うよねえ。一年おいて、再来年も出ていいのよ☆

光秀がさー。本作の光秀は、適当に描かれたといってしまえばそこまでなんだけど、決して悪いヤツじゃないし、ダメなヤツでもなく、信長が「新しい世」というならば、光秀は「まっとうな世」をつくるためにがんばったわけよね。だから公家どもに持ち上げられてもいい気にならないわけで。

なのになぜ負けたかというと、結局このドラマでは、「官兵衛」が理由でしょ? 光秀には官兵衛がいなかった。秀吉には官兵衛がいた。その違い。「官兵衛か・・・!官兵衛にしてやられた・・・!」っていう。

官兵衛が主人公である以上、当然そういう文脈になるんだろうけども、それが成功したとは言い難い展開だったよなあ、と。敵は強くなければ盛り上がらないし、悪いヤツにしないんだったら、「死なせるのが惜しい」と視聴者に思わせないといけない。「私は間違っていない」と言いながら農民の竹やりに刺される光秀に対して、浮かんだ気分はものすごく中途半端な哀れみだった。(竹やりを構えて目を光らせている農民たちのカットは怖くてなかなかよかった)。

かといって、「光秀には大義がなく、こちら(秀吉&官兵衛)には弔い合戦という義がある」とアピールしてたけれども、「信長の新しい世」を推す官兵衛の軸にもともとついていけてなかったから、視聴者としては、何が何でも官兵衛を応援したい!って気にもなれないんだよね。

この先は、天下人へと駆け上がっていく秀吉が、またそれなりに牽引してはいくんだろうけど、なんとなーく、なしくずしな展開が続きそうな予感・・・。「ご運がひらけました」が天王山だったかー。