『軍師官兵衛』 第25話「栄華の極み」

まずね、アバンタイトル、「我が子も他所の子もみんな我が子、夫婦はもちろん、子どもたちも家臣たちもじぃじ・ばぁばもみんな仲良しな黒田ファミリーの光景」っていう描写に反吐が出るわけよね(笑)。鳥肌たつほど、絶望的なほどに嫌い(もうホント見ないほうがいいですよね私このドラマ。うぅぅ大河でなければ…)。何この欺瞞。今どき、朝ドラだってそうそうやらないよ、こんな嘘くせぇ設定&描写。ほんっと、古御門研介 (from リーガル・ハイ)あたりが出てきて、すべてをぶち壊してくれませんかね。

姫路城での羽柴ファミリー&黒田ファミリーのドンチャン騒ぎ(死語)も大概バカバカしい(いろんなものスッ飛ばしてこーゆー場面ばっかり)が、その中での「羽柴と黒田が一堂に会して(飲んで)、これで絆は深まりました。もう家族も同然ですね」「はい!」っていう、おねと光、ふたりのバカ妻の会話にも虫唾が走った。どんだけ軽い絆だよ。古御弁護士ーーー助けてーーー!

同じくおね&光の会話、「この手を離れても、松寿は我が子。そう思ってよろしゅうございますな」「はい。見守ってやってくださいませ」のやりとりも、その背後に脚本の積み重ねがあれば良いのだけど、ない(断言)から、薄っぺらくて。今回つくづく思ったんだけど、このドラマの、内容も言い回しも薄っぺらく、軽く飛ぶようなセリフが、本当に言いにくそうなのね、中谷美紀

この「見守ってやってくださいませ」も、そうだったけど、官兵衛の「わしはおまえがいればよい」を受けての「本当でございますか」「うれしゅうございます」も、ものすごーく言いにくそうだった。そりゃそうだよね。時代劇の呼吸じゃないんだもん、会話が。どう言っていいかわからないんだよね。ここまで、時代劇のセリフが崩壊した大河も初めてじゃない? これに比べりゃ、スイーツ大河の最高峰だった『篤姫』は、まだ格調があったな。『江』とは・・・うーん、どっこいどっこいか。

この点、黒木瞳あたりは、まぁ光と違って正ヒロインじゃないし、秀吉とともにコメディリリーフ的ポジションでもあるから、思いっきり下世話に、現代の世話焼きおばさんみたいなセリフ回しで演じてる。それが本人の苦渋の判断なのか演出の指示なのかわかんないけど、まぁ、おねの場合、そうするしかないかなーとも思いつつ、ものすごーく、スベってるよね。かつて、大河ドラマに限らず、時代劇の中でこれほど好感度の低いおね(北政所)っていたでしょーか?!

セリフ回しといえば、「官兵衛によって、姫路城は生まれ変わった」っていうナレーションにも盛大に脱力した。なんだその漠然。どこがどう生まれ変わったんだよ。大規模化か? 見た目が華美なのか? 堅守のための工夫でもあるのか? その金は、官兵衛がケチケチ貯めた懐から出したの?それとも秀吉(小一郎秀長または三成)が? 全然わかんねー!観光資源的にも、かなり重要なとこじゃないかと思うんですけどね!

てか、相変わらず、官兵衛の活躍をまったく描く気のないドラマだよね。鳥取城の戦いもスルーだし(悲惨な作戦だからか?)。村重がいなくなったとたん、「家中で一番の勢いは光秀。その様子を探って来ましょう」なんて、いきなり光秀をグレーな目で見つめるあたり、主人公補正は甚だしいんだけど、その思考回路がサッパリわからんので超ストレス。

坂本城に行ったら村重の嫡男の元嫁が出てきて、さめざめと泣くんだけど、この人なんなの? 官兵衛をなじるでも、労わるでもなく、故人を一緒に偲びたかったってこと? ぬるい話。それを聞いてる官兵衛も、痛ましげな岡田くんの表情はいいんだけど、何か意味のあることを言うでもなく。この人ほんと、信長の所業について、「新しい世(笑)」について、どう考えてるんでしょうかね。そこんとこ、問いただしたいですよね。無邪気に「南蛮は子どものころからの憧れでございます」とか言ってるけどさ。そーゆーことじゃねーだろ!!っていう。

光秀は光秀で「村重の気持ちもわかる」とかベラベラと饒舌に喋り、宇喜多直家宇喜多直家で「信長は、危うい」とか断言し、信長は信長で「広い世界をこの目で見たい」とかお目目キラキラさせて頭の悪そうなことを語り、もうホントにおまえらどうしちゃったんだよ状態である(笑)。そのすべてを主人公の特権で目の当たりにしている官兵衛やんが、本能寺の前にうすうすと気づいて…みたいな展開なんでしょ、どーせ。クソだな!! 

んで、相変わらず地球儀とかオルガンティノとか弥助とか蘭丸とかお城のライトアップとかにかまけてる信長タンである。時代劇史上、もっとも「ゆとり」な信長だよね(笑)。マジで仕事しろ。挙句の果てに「広い世界を見たい」発言。何このビューティフルドリーマー。「わしの気持ちがわかるのはそのほうらだけか…」ってわかるわけない、わかりたくないわ(笑)。イランかイラクアフガニスタンあたりにでもぶちこんでやりたい(笑)。