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ひとり “昭和天皇関連本” フェア

歴史

以下は1か月以上前に書いといた記事なんですが、気づけば今上の陛下の御誕生日間近に。これも巡り合わせね(違)。

最近、昭和天皇関連本をあれこれ再読してた。それで思うに、あたりまえのことだけど、ひとつのテーマに対していろんな種類、いろんな角度からの資料を見ることはとても大事だな、と。どんな大著、名著であっても、星座の中のひとつの星であって、その位置やその色は、周りの星やその並び方を知ってこそ、より見えるものだよな。これからも自分の読書をどんどん進めていきたい。読むべき本はいくらでもあるのに、時間は限られてる。老眼になるまであと10年もないだろうし…。

●『天皇論』小林よしのり
ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論
絶賛するかアレルギー反応を起こすかっていう極端な感想に分かれそうな印象があるけど、なにげに使い勝手のいい部分もあると思ってる。分厚くはあるけれどマンガだから読みやすいし、皇室の歴史、現在、未来への問題などよくまとめられてて、入り口には最適かも。目から鱗っていう読者も多いんじゃなかろうか。多くの学者や言論人たちの過去の発言や立ち位置を随所に取り上げていたり、章末にコラムとして関連知識をまとめていたりするのも良い。絵もうまいし、かなりの力作である。ただし著者の作風上、主観はかなり強い勢いでぐいぐい迫ってくる。天皇の「祭祀」を超プッシュ。「シラス」と「ウシハク」の概念はこの本で初めて知ったかも。

●『昭和天皇』(上・下) 保坂正康
昭和天皇〈上〉 (中公文庫)昭和天皇〈下〉 (中公文庫)
誕生前、お腹の中にいるころから死までの一生を丹念に追っていったノンフィクション。全体にかなり昭和天皇寄りなスタンスが感じられ、戦争責任などについて踏み込んだ見解は無し。だからこそ読みやすいともいえる。幼少時代や皇太子時代の豊富なエピソードは興味深く、いかにして「人間・昭和天皇」、「立憲君主昭和天皇」そして戦後の「国民の象徴・昭和天皇」ができていったのかよくわかる。すべての時期にわたって昭和天皇が詠んだ和歌を多数紹介し、その心情を慮る手法が効果的。

●『陛下のご質問―昭和天皇と戦後政治』 岩見隆夫
陛下の御質問―昭和天皇と戦後政治 (文春文庫)
表紙の神韻縹渺たる笑顔は、昭和53年生まれの私の印象そのまま。日本国憲法によって政治的な発言、行為の一切から離れた昭和天皇であるが、戦後も政治、行政、経済、地方、国際情勢、あらゆることに通じていた。政治のゆくえに直接影響を及ぼすことはなくとも、天皇からの鋭い質問は、政治家たちを震撼とさせ続けたことが窺える。短いエピソードが散発的に連ねられているだけだが、一冊を読むと、唯一無二の存在である昭和天皇に対して存外に深い感慨が得られる。