2019.7.23「耕論」より「目先の経済成長訴え 抱え込むリスク」藻谷浩介

SNSはどうしてもエコーチェンバー(自分と似たような価値観・意見ばかりが反響している)になりがち。「へぇ~」と思った新聞記事をメモります、その2~。藻谷さんです!

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・経済は生き物なので、政策で好景気にしても何年かあとは必ず不景気になる。だから過去の政権は経済成長を数字で公約にしなかった。

・第二次安倍政権はそのタブーに挑み、選挙で勝ち続けてきた。

・「経済成長」という言葉を、消費税や年金、格差、マイナス金利など複雑な問題を見えにくくする「魔法の言葉」として使ってきた安倍政権。
 多くの有権者は理論はよくわからぬまま、その「真摯さを信じた」のでは?

・現実は、2012~18年で株式時価総額は年率16.1%の増加、GDP成長率は年平均1.7%。

・しかし、その間に政府の純債務が年率2.5%増加。
 個人消費は年率0.9%しか伸びず、多くの国民や企業には好景気の実感はない。

アベノミクスにより若者の就職率が改善したことを強調しているが、これは少子化団塊世代の退職が主要因。

年金問題。安倍政権が掲げる2%インフレが達成されれば、「マクロ経済スライド」が発動して、物価は上がっても年金は増えない。
 同時に、消費増税で年金受給世帯の負担感は増すことになり、ダブルパンチになる。
 これを理解して投票した年金生活者がどれだけいただろうか?

・日銀の「異次元の金融緩和」の副作用についても同様。

・本来政治が取り組むべきは、抽象的な経済成長などではなく、女性と若者の賃上げによる内需拡大少子化の食い止め。だからこそ参院選で多くの政党が最低賃金の引き上げを訴えた。

・わずかばかりの経済成長のためにとんでもないリスクを抱え込んだのがアベノミクスの実態。

・目先の経済成長を求めることは、来たるべき反動への不安をかきたてて、少子化を進めることにつながり、長期的にな日本の繁栄にはマイナスである。

…ということで、藻谷さんの主張は「いつもどおり」ですが、非常にわかりやすくコンパクトにまとめられていて保存版だと思いました😊

(2019.7.23 朝日)
(藻谷浩介 日本総研主席研究員)