『伝わる・揺さぶる!文章を書く』 山田ズーニー

伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)

わたくし、この本を中古で入手したんですが、2014年、43刷!
静かなロングセラー。それもそのはず、というクオリティ。

そのものズバリなタイトルのとおり、伝わる、それだけじゃなく揺さぶるような文章を書くための本である。とはいえ、“文章術” つまり「このとおりにやれば上手く書けるよ」というテクニックの本ではない。魂の本だ。といっても気合いで涙腺に訴えろ、というスポ根的発想からもほどとおい。

「考える」ための本だ。何をどのように考えるべきか、その道筋を照らし出してくれる。

学校って、やたら作文は書かさるのだけれど、どうも「表現力」とかいう漠然としたものを、漠然と評価していた記憶。で、その漠然と求められる空気を察して書くのは苦手じゃなかった私のような人が、大人になってからちゃんと「機能する」文章を書けない、というあるあるが発生するw

いったい何が言いたいのか。何をめざして書くのか。誰に伝えたいのか。根拠をどう示すか。

そういった、1つ1つをクリアにしながら書くこと。それはつまり、1つ1つについて、ゆるがせにせず、しっかりと考えるということだ。たぶんそれが、日本の教育に(少なくとも、私の世代が受けた教育では)もっとも足りないことの1つだと思う。

考えることを嫌う人は少なくない。「考えよう」よりも、「考えるより感じよう」というフレーズのほうが、支持率がずっと高いはずだ。でも、考えることのすばらしさ、考えて考えて表現された言葉がどんなに胸を打つか、この本ではプロローグで鮮やかに教えてくれる。終章の「揺らぎの大切さ」もまた、同様。書くことは考えること。考えることはよく生きることだと感じさせてくれる。もっとこの本を読み込んで、私ももっと良い文章を書きたい。だってこの感想文、考えぬかずに、感覚で書いている(だめやんw