『デート』 第7話

次回以降、つまりドラマ終盤に向かっての地ならしといった感も強い回だった。初回から引っ張っていた巧母の病気問題にケリがつき、とりあえず健康を回復。ってことはつまり、結婚するもしないも当人同士の問題になったわけだ。

「さぞや重病かと匂わせて、実は全然違いました、てへぺろー(^^)」ってネタは「リーガルハイ」にもあったな。古沢良太ったら、意外にもこんな古典的なプロットが好きなのかな。患者本人以外の全員が勝手に騙されていた今回と、主人公が患者本人(副主人公)を徹底的に騙していた「リーハイ」と、どっちがひどいバージョンかは考えるまでもないですね(笑)。今回、依子が「医者には守秘義務があるから」と繰り返してみんなの騙されっぷりを強化してたわけだけど、古御門は医者を抱き込んでグルにしてたから、ほんと、ひでー奴だったww

「末期がんなんて言い出したのは誰だ」って話になったとき、依子がしれっと責任回避しようとした仕草はおかしかったですねw 責められると「だって留美さんが・・・」って、媚態じゃないのにアヒル口になってモゴモゴして。

泣けたのは、病床の和久井映見がチビ依子を抱きしめるシーン。チビ依子は泣かせても母親を泣かせない脚本はさすが。だからこそ泣けるんだよね〜。

「違うね。あなたのためを思ってなんかじゃないや。ホントは、あなたに泣かれたら私がめんどくさいから。嘘ついてるほうが楽ちんだったの。ごめんね」。

子どもの泣き顔を見たくないから嘘をついた、というのは先週の依子父とまったく同じ。「娘のためではなく自分のために嘘をついた」とすぐに認めた母の賢さ、強さが表れているけれど、現実に余命が短かったから嘘のつきようがなかったという悲しさでもある。そして、母の賢さ、強さは、死後10数年、娘を騙し続けた依子父と対比させて貶めるものではない。彼自身、愛する妻の懐かしい味を味わうのを、長い年月、あきらめていたわけだ。「まだ後悔し続けている」と言ったとおり、愛する人の死を、遺された人間はこんなにも引きずり続ける。

だからこそ、依子は巧母のために動いてゆく。「死を前にした人間はナーバスです」云々、整然と述べる依子に「君に人の心の機微を教えられるとは思わなかった」と巧が的確なツッコミw 依子は平然と「経験にもとづく知識です」。

そうそう、母娘の回想シーンの直後「これはフィクションではなく現実です」と無表情に述べる依子にワロタw 「このドラマはフィクションです」の逆ww

結婚契約書の草案w 「契約を詰めているところ」「甲、乙」等、いちいち言い回しがビジネスくさい依子w 「そんな通達なかったので」ってのもあったなw 通達ってww で、冒頭の、「親権は渡さない!僕の子どもだぞ!」のくだりへ。「経済力がないでしょう」って言われて間髪入れず「養育費をくれよ!」の巧がブレないw 働けよww 性交渉の回数と開始時刻まで条項でさだめられ、「やだ・・・はずかしい・・・」って恥ずかしがる様子がかわいくてイラつくwww

そんなこんなで巧父の所在が判明し、やがて手術前の病院に依子が連れてきて、せっかくの婚姻届を破棄するくだりになるのだが、「悲しくてやるべきこともできず途方に暮れてばかり、それが人間だよ!」という巧の言うことはもっともだけれども、「母の死を待ち望んでいるようだ、テキパキ進めやがって!」って激昂するあたり、巧ってやっぱり子どもなんだなーと思った。そりゃ、肉親が余命わずかというときに取り乱すのは無理もないことなんだけどね。

佳織と佳織兄にそれぞれ「やるべきこと」を指示し、巧父の家まで同行し話をして、徹夜で契約書の条項を詰め、わずかながらも仮眠をとっていったん出勤したあと早引けて病院に行く、しかもその合間に区役所に寄って婚姻届まで用意する・・・。いわゆる実務、雑務の類って、配偶者のためであってもまったくやろうとしない人間は意外に多いし(「俺は外で仕事してるんだから」と奥さんにすべてやらせるとか)、しかも睡眠時間を削り仕事に穴を空けてまでやるだなんて、気持ちが入ってなければ絶対にできない。

まぁ依子のやり方は確かに性格的にテキパキしているのだが(笑)、自分が途方に暮れているときに、やるべきことをテキパキやってくれる人がいるって、とても有難いことなのだよ。そういう人がいるからこそ、途方に暮れることに専念できるわけで。依子はそれを引き受けてくれていたのだよ。君のために。

もちろん母親への思いが強いというのもあるけれど、社会に出ずに、そういった実務・雑務の類をやったことがない巧ならではの反応だよなーと思ったわたくしでありました。ま、依子がそれを「あなたのせいでしょ!」とちゃんとツッコんだわけだけどね。

さんざん献身的に動いたあげく、巧に婚姻届を破棄された依子が、それでも父に電話をかけて巧の言葉をなぞり、「後悔する必要はないわ」と慰めるシーンは超切なかった。で、家に帰っても、もはや幽霊母も出てこないのよね。今回、一度も出てこなかったよね。やっぱり先週ので、成仏してしまったのか? 来週の予告では出てた気もしたけど。

巧の両親が4,5年前から焼けぼっくいでよろしくやってたのは、古沢さんには珍しく、前話までにそれらしい匂わせがゼロだったなー。たまに、巧母が妙にゴキゲンなシーン(フラダンスしながら超笑顔でニートの息子をdisるとか)があったけど、あーゆーときが逢瀬のあとのタイミングだあったのかな、と脳内補完してみる。世捨て人を気取りながらパシフィック・リムに35点をつけている巧父www

終わってみれば、依子も巧も、それぞれ両親は深い愛情で結ばれた夫婦だったことが明らかになったわけである。夫にしっかりと手を握られた母親の姿に、「たった一人の身内である母をもうすぐ亡くす」と思っていたころ以上に、巧が孤独感を漂わせる映し方がうまいと思った。母のために急いで結婚する必要は、もうない。母には父がいるのだし。

・・・という状況になって、「愛していないけど結婚する」べきなのかどうなのか・・・と、ここからドラマ終盤の2人は、正真正銘、自分たちのためだけに悩んでいくのだな。予告の「君がしたいのは結婚じゃなくて恋だ」っていう一瞬にみなぎった!! めっちゃドキドキするーーーー!!

佳織の、「私、愛されたいんだわ」もすごく良かった。佳織、超いたいけ。「君は君でがんばれ」も超いい女。佳織に惚れる。今回も「だべ?」とか言ってたけど、時折出る横浜弁も超かわいい。鷲尾くんも「イラッとさせるサムシング(by あまちゃん尾美としのり)」的なキャラで徹底するのかと思いきや、憎めない感じになってきて、どうやって着地させるんだろうねーまったく!