スイッチインタビュー 杏×和田竜

だいぶ前の放送を録画してたの、やっと見た。

村上海賊の娘』の一節が数度、ナレーション吉田羊によって朗読されたんだけど、こうやって聞くと、なんかアレだな、妙に気恥ずかしいっていうか・・・。や、エンタメ文学なんだし、一気に読ませる力があるってことで(私も「のぼうの城」一気に読みましたからね)、これでいいんだろうけど・・・。

ご本人がまた、非常に作品と違和感ないというか、「なぜ(現代でなく)時代小説なのか?」という杏の質問に対して、「バトルものが好きだから。日本でバトルものが説得力をもって存在できるのは武士がいる時代」とか答えるのが非常に正直で(笑)。や、いいと思います。「人気のあるもの(映画や小説)で、これは自分に合わないなって思うものはないから、自分が面白いと思うものはあるていど大衆に受け容れられると思う」という、「堂々メジャー宣言」も潔いと思う。こういうど真ん中な人をど真ん中だからといってつまんない呼ばわりするのはつまんないこと。

「武士がいる時代はプリミティブで生な感じ」うん、そうですよね、わかる。しっかし資料の読み込みの様子はすごかった。相当インプットしたあとで、それはそれとして!って感じでアウトプットしてるんだろうなーというのは作品を読んでてもわかるけど。そういう作風なんだからそれでいいんだと思う。

杏のほうは、なぜ幕末が好きなのか、という質問に「今に一番近くて一番遠い。ちょっと遡れば手が届きそうな距離感」と答えていた。わかる。中学校の終わりにおじいさんが持ってた池波正太郎の「幕末新撰組」を読んだのがきっかけ、みたいなこと言ってたけど、なかなか早熟ですね。

「ちょうどそのころって、自分のアイデンティティ、存在意義を見出せないような時期。家庭(にあるわけ)でもないし。でもそこで、すごく引いた目で見ると、歴史の一員なんだ、日本に生きてる日本人なんだ、ってとこに存在を見いだせるのかなって」。

うん、中2病で歴史に走る、ってのは歴史クラスタの王道ですが(笑) 学生時代の杏さんに起こった出来事を思い浮かべてしまってちょっと切ない気持ちになる。でも彼女はそこから歴史の本を読み、同時に後ろ盾のない状態で海外に渡ってモデル業に励むという武者修行をして、自分の道を切り開いて今があるんだよね。畏敬の念を覚えます。

しかし杏の↑の言葉がまったくピンとこなかったかのように「どういうこと?」と尋ねる和田氏(笑)

「自分の意識をどこに帰属させるのかっていう問題。今、東京都に住んでいる人ではなく、日本の長い軸のここらへんにいるんだ(ということ)。自分の周りのもので自分を形成するっていうよりは、ポイントを遠くに飛ばしてエックス軸ワイ軸みたいなところの点をのばして(自分の位置を認識する?)」

当時は無意識だったにせよ、そういうふうにして自分を見失わないようにすること、客観的に見ること、存在意義を見出そうとすること・・・をやってのけたって、賢い人だ。本を読むことを自分の血肉にしてきたという点で、東出くんとも気が合うのかなって適当な推測したりする。