SMAP@27時間テレビ、45分ノンストップライブ

録画をようやく見た。すごーく良かった。特にSMAPの大ファンというわけじゃない。CD持ってないし、スマスマよりは嵐のバラエティを見ることが多いし、「SMAPのメンバーが出るから」って理由でドラマや映画を見ることもない(ちなみに彼らを俳優として見るなら草磲くんの演技が一番うまいと思う)。

でも、すごーく良かった。見てよかったと思った。ライブが始まるまでの煽りの長さとか、ライブが終わったあと歩いて帰らせる(しかも森くんの手紙を読む)演出とか、そもそも寝てないおっさんたちにクソ暑そうな衣装で野外ライブさせるのとか、疑問は多々あれど、それでもライブ自体にはすごく惹きつけられた。なんか、特別なものを見た気がする。

1.これでもかってぐらい良い楽曲ばかり

こうやって聴いてると、この四半世紀のJ-POPは、SMAPの楽曲をズラッと網羅すればかなり掴めるものがあるんじゃないか、と思うね。まぁそりゃそうだ。楽曲提供陣の豪華さといったらない。そう、彼らは基本的に自分たちで曲を作るわけじゃない。でも、一流のミュージシャンたちが、自分たちのポップセンスを試すかのように、こぞって良曲を提供する。そうされるだけの価値のある、「一流の投資物件」であり続けてるのがSMAPってこと。

2.おっさんら、完全無欠のアイドルじゃねーか!

もう長いこと、ソロでの活動が多い。役者にしろゲストにしろキャスターやMCにしろ、ソロな彼らを見るときに「アイドル」って言葉は似つかわしくない。普通の30代(40代)に見えるときもあるし、仕切り上手いなーって思う時もあれば演技イマイチだなーと思うときもあるし、ベテラン芸能人だよなーって安心感で見てたり、「SMAPもいろいろ大変ねー」って思ったりもする。総じて、なんか「テレビの中の社会人」って感じで見てる。有名芸能人というお仕事を地道に続けている人たち。

でもライブになったら違う。アイドル。さすがに、「キャー」って言いたくなる感じじゃないけど、次々に切り替わるカメラが追いつけないくらいにポーズも顔もどんどん決まるんで、目が離せない。で、目が離せなくてずっと見てたら、だんだん気持ちが高揚してくる、幸福感に包まれてくる。おっさんのはずなのに、なんかキラキラしてる(ように見えてくる)。これぞアイドルの力!! 

3.中居先生のザ・プロフェッショナル仕事の流儀

生放送時はラストあたりをチラっと見て、途中、中居くんに体調不良があったことは知ってたので、どれだけやらかすんだろうと思って見てたら、倒れ込んだり、ずーっと戻ってこなかったりってわけじゃなかったんだね。だから軽症だった、っていうんじゃない。多分相当きつくてヤバかったはず。それでも、朦朧とする頭で、ちょっと休めるところと、絶対キメなきゃいけないところをちゃんと峻別して動いてたのが、ものすごい。

ゆっくりの曲ではちょっと座ってみたり、逆に階段上がったり大きな手振りや速いダンスがあるとこはちゃんと合わせたり。「次の曲はハードだからちょっと抜けるなら今」とか「このパートは絶対笑わなきゃ」とか、その場その場での判断力、対応力。

だって無理し続けてステージでバターンと倒れて「救急車!!」みたいな騒ぎになったらシャレにならないし、かといって完全にギブアップして戻ってこなくても番組としてはかなり痛い。破たんのないように、ギリギリのラインで乗り切ったのはすごいとしか言いようがない。

たぶんメンバー全員、中居くんのヤバさを理解してて、草磲くんあたりが時にチラッと見たり、ちょっとかばうような動きもしてたんだけど、おおむね、意に介さぬような素振りで意欲的なステージを続けた。ほかの4人だって当然きつかったはず、彼らの判断力と遂行力もすごい。経験値だなーと思う。コンサートだって数限りなくこなしてきて、ピンチな場面って、これまでもたくさんあったんだろうね。

4.共有するものの多さ、いぶし銀の総合力

ポッと知らない人たちが出てきてコレとおんなじことやるんじゃ、どんなに曲が良くても、どんなに歌やダンスがうまくても、こんなふうにぐっとはこないよね。やっぱり、5人それぞれのキャラとか、今までにあった事件とか(笑)をのみこんでるし、彼らがたいして歌もうまくないこと、もうそんなに若くないこと、ずっと忙しくしてることを、テレビのこっち側で知ったうえで「なのにここまでやるか!」って思えるからこそ、すごいな、って気持ちが生まれるんだよね。

だから逆にいうと、全然世代の違う人や、普段からうっすらとした程度でも彼らに好感を持っていない人とかには、共有しにくいんだろうと思う。でも、彼らが、現代ニッポンで多くの人に共有されてる存在のひとつなのは間違いない。こういう王道のポップカルチャーがあるからこそ、そのカウンターとして、サブカルチャーハイカルチャーも、いっそう栄えるんだと思う。

彼らのほうだって、ここまで27年間いろんなことがある中でやってきた経験や、プライドや、プロ意識、周囲への感謝があるから、あそこまでできるってのがあるはず。ほんといつも思うんだけど、アイドルって、ものすごく「簡単にこきおろされる」存在なんですよ、ある意味。アーティストでもなくアスリートでもなく、「しょせん顔」「しょせん事務所の力」「しょせん、しょせん」って言われ続ける存在だと思うんですよ。それでもずっと、世の中の表舞台に、明るいところにいて笑ってるのがアイドルであり、ポップスター、ポップカルチャーを担う人々だと思うんですよ。それをずーっとずーっと続けてるSMAPって、やっぱりすごいと思いますね、私は。

追記

『世界に一つの花』を、敢えてフィーチャーせず、隠しもせず、短いバージョンでつないでいくメドレーの中でサラッと歌ったのがすごくセンス良かった。SMAPの歴史を語る上でこれは外せないけど、でもこれが前面に出過ぎるのは、やっぱりなんかよくない気がするから。てか、私がイヤだから(笑)。個人的には、SMAPの転換点は『夜空ノムコウ』だと思ってる。でも、それ以前にも、「がんばりましょう」とか、「俺たちに明日はある」とか、いい歌いっぱいあるんだよなー。あーそっか、『青いイナズマ』『SHAKE』『ダイナマイト』『セロリ』と続いたあとが、『夜空ノムコウ』だったのかー。この連続のたたみかけ、すごいね。なんだか、『夜空ノムコウ』にたどり着くのは必然だったようにも見える。

最近の歌で好きなのは、ダントツで『さかさまの空』。『夜空ノムコウ』然り、こういうささやかな歌が似合う、ささやかな歌を名曲にするアイドルグループだと思う。