8/26 綾野剛@スタジオパークからこんにちは
えっと、最初に申しあげておきたいのは、スタパのアナさんは、あれでずいぶん感じよくなった、っていうか、慣れてきたんだなって思いましたよー。アナ就任と歌舞伎座開場がほぼかぶったせいだと思うんですけど、四月初頭の坂田藤十郎丈や市川染五郎丈が出演したときなんて、今回の10倍ぐらい「そ、そりゃないぜ…」と思ったもんです、受け答え。今は、歴代スタパアナの平均値にほぼ近づいてきたように思います(近田アナは良かったよね)。
なので、アナの最初期と、先々月だったかの、あやのん@情熱大陸を知る私としては、今回のスタパなんて超穏やかに見られたのでしたww なんたって、「綾野剛、大河スペシャル」っていう企画が圧倒的に正しい! あんな作品やこんな作品、近年だけでも、そして公開中や公開待ちだけでもいくつもある中、NHKだからこそできる大河スペシャル!!
視聴者が選ぶシーンベスト3は、
綾野剛が選ぶベストシーンは
- 江戸城登城禁止を伝えられ呆然と「大君の義…」と家訓の一節を諳んじるシーン
だったわけで、まったく異論ないんだけれど、そのほかにも、修理に切腹申しつけるシーンや、ご宸翰がやってくるシーン、孝明帝との最後の語らいなども忘れ難いし、黒谷本陣で上座に座ってる姿がチラリと映っただけで今や感無量になる。短いシーンでも、一話での「御家訓朗読」のあたりとか、江戸城で水戸藩の扱いについて発言するとか、井伊との対面とか、上洛時の馬上で三条大橋を渡るシーンとか、孝明帝と互いにフォーリンラブするシーンとか、雨の中の馬揃え「進めー!」とか、慶喜とのシーン全部とか、帰藩する横山主税に「体をいとえよ」とか、「官兵衛、久しいな」のシーンとか、あ、出陣前の官兵衛との談笑もそうだよね。あと、「これが終わったら皆で帰ろう」とか、出陣する白虎隊に声をかけるとか…あ、いいかげんもういいですかね。
いや〜、“史上最強のイケメン目移り大河”の称号をほしいままにしている(←わたし的にね)「八重の桜」ですけど、やっぱり容保は特別な存在だったな、と。会津編29話の容保の存在感の屹立具合といったら、どうよ。ほぼ全般、重いシーンで、硬い演技が続くし、発声が…とか思ったりもしたけど、なんかそういうのは枝葉でしかないぐらい「容保ってこういう人だったに違いない、こういう人の下にああいう会津藩士たちがいたに違いない」って思わせるもんがありました。綾野さんが実力ある俳優さんであることはそれまでのキャリアでも十分証明されてたけど、大河で、しかもこんな役で、ここまでやってくれるとは正直想像してなかった。
んで、前回(2012年3月、『カーネーション』出演で)、初めてスタパに出演したときのことも非常によく覚えてるんですけど(拙ブログでの記事はここですね http://d.hatena.ne.jp/emitemit/20120325#1332676989 )話しぶりの印象は、その時に比べると今回はやはり違って、まあアナが違う人(前回は近田さんだったからな〜)ってのをおいといても、敢えてこの言葉使いますが、前回のほうが謙虚なムードでした。
や、今回がゴーマンかましてたわけじゃないですよ。今回もとても真摯にいろいろお話してくれましたよ。けれど前回って、かつての自分のブログの言葉を使えば、「“自分の言葉で自分の思いを伝える”機会に初めて恵まれた喜び、とでもいうようなものが、そこはかとなく漂っている」感じだったんですね。対して今回はというと、「自分はこういう信念で役をやってるんです。わかる奴だけわかればいいけど(fromあまちゃん)」って感じかな。
だからもしかしたら、売れたせいでちょっと変わった、って感じる人がいるのかもしんないけど、私は、いかんともしがたい変化だなーと思ってます。最近ちょうど読んだ文章を思い出したりもした。村上春樹が自分のキャリアについて書いたもので、「作品が10万部売れているころは、自分は支持され、愛されていると思っていた。けれど(『ノルウェイの森』で)100万部売れると、自分は批判され、嫌われているのではないかと思うようになった」という。
ただでさえ「忙しい」って「心を亡くす」って書きますしね、度を超えた忙しさは人間を荒ませます(綾野さんは荒むまでいってはないと思いますが、「情熱大陸」のつくり方が恣意的だったせいもあるし…)。しかも役を演じて衆目を浴びるっていうのは、どこかで自分を守らないと大変なことになりそうだもんね。なんかほんと、仕事、すんげー詰め込む事務所だなって半分引いてるんですけど、あやのんなら大丈夫ってことでやってるんだろうか。体調不良の噂もちょいちょい流れているが。
ともかく、そういう、「あまりに急に注目され多忙になったがゆえに時折若干不安定になりつつも必死に一つ一つの仕事をやりきろうとしている感じ」を、ぜんぶわかって接してくれてたっぽい柳沢慎吾と佐藤B作のコメントがすごく良かったです〜。まあ慎吾ちゃんは自分の役割をわかっていて(笑)かなりおちゃらけていたが、酸いも甘いも噛み分けたB作が、イヤホンのノイズにダメ出ししたり控え室でひとり叫んだりというあやのんの行状をしれーっとバラしつつ、なおかつすごく暖かい広い心で見守っている感じで、しみました。
つーか会津家臣団全員(あと照姫さまとケーキ)から殿およびあやのんについてのコメントをとってきてほしかったぜ!(絶対無理)
あと、鶴ヶ城開城前に八重の大演説など、家臣たちの思いを受けとめるシーンで「ほとんど無呼吸でしたもんね。顔が真っ赤になって血管が浮いてる」と本人がコメントしてるのを見て、そうかと思い至ったのが、彼の陸上選手としての経験。800mが専門だったんですよね。2分ほどをほとんど無呼吸、全速力で走るという、超苛酷な、ドMでないとできない(?)競技です。容保のように、すさまじい緊張感、集中力、感情の研ぎ澄ましが必要だと思われる役を彼がこなせる素地に、800mでの競技経験があるのかなと。しかも中高、県大会で優勝するとかいうぐらいのレベルだったんですもんね。
あれだけひとつひとつの役をテンション高くやって、しかも同時期に数多くやっていて、体調不良は伝えられるものの仕事をまっとうできるのには、ひとつには、10代前半のころから心身をギリギリまで追い込む能力を磨いてたってのがあるのね、きっと。
★追記
番組ラスト、視聴者からの質問メッセージを読むコーナー。「開城前のシーンでは、テレビの前で『殿ぉ!』と叫んでました」みたいなメッセージが読まれると、ポテサラの下ごしらえ中の夫が「エミみたいなのがいっぱいいるんだな…」と呟いていた。