「ボクらの時代」 古田新太×宮沢りえ×小出恵介

古田の唯我独尊っぷり、宮沢の自然なたたずまい、そして小出のヘタレ発展途上中、という三者三様を堪能。

30年やってるとのことで、舞台に関する古田の言及の「気負いはないけどプロフェッショナル感」がすごい。稽古について「嫌いじゃないけど早く行こうとか思う」「稽古場でいろいろやってみて“そうなっちゃった”ていうのが正しい芝居」という古田。宮沢も同じく前向きで「まだお客さんからお金をもらってないので失敗しても許されるし」と。一方の小出恵介は、いま蜷川に絞られてる最中とかで、苦しんでた。この子がさー、とても好青年なんだけど、古田に「モテますか」などと尋ねて(モテるよ、と笑顔で即答の古田)、その流れで宮沢に「もてますか?」と聞かれると、「どうでしょう。どう見えます?」なんてもったいぶった返事したりして、なんかそのへんもヘタレだなあとww 29歳ってこんなもんかね。蜷川に怒られまくりな現状を愚痴ったあと、宮沢に「でも立ってることは許されたんだ」と言われて「かろうじて許されました」と答えたとこはかわいかった。ちなみに、古田は(蜷川劇団以外の役つき俳優で)小出ぐらいの若い子と一緒に蜷川舞台に立つのが初めてで、「あんなに怒られてる人がいるの初めて見た〜」と笑ってました。

宮沢りえがもう、がばい(佐賀弁)すてきで、この人、自然体でかわいい。「最近、(仕事が)できる人だと思われてるのが苦痛で〜〜〜」と言ってた。あと、古田も宮沢もそうだし、ほかの舞台が長い俳優を見てて思うのは、(映像系の役者と比べても)使う言葉がいちいち的確だよなあ、と。やっぱり舞台ですごく練られたセリフを繰り返し言っているからじゃないかと思う。ケータイをもたない古田新太を羨ましがって、りえちゃんが「私たちって、セリフを覚えてるときなんかにも、“句読点の「まる」を打つように”しょっちゅうケータイ見ちゃいますもんね」と言ってたんだけど、なんて文学的なたとえだ〜。10代で初めて本格的な舞台(唐十郎のだったらしい)を見たとき「セリフや話の理解はできていなかったんだろうけど、そのエネルギッシュさに泣かされてしまった」と。わかるー。古田さんは、小学校の芸術鑑賞みたいな授業で舞台を見たとき、「舞台俳優になったらこういうことやるの全部許されるんだ」と思ってそのときすでに将来を決めたそうです。やっぱりいるんだねえ、そういう人。

あ、あと古田の演劇談義。最近の芝居がとみに長尺になることを「どう思われますか? 役者もスタッフもお客さんも、だァァーーーーーッれも幸せにしないと思うんだけど」とコミカルに言ってたのが面白かった。それから演劇史の一端。自分は先輩たちのアングラ演劇が面白くて真似してたけど、そういうのはひとつ下の世代(八嶋智人など)までで、もっと下(マギーや大倉孝二など)になると、「真似してる奴らダサい」となった、と。小出が「じゃ、全く新しいものを作り始めたってことですか」と聞くと頷く。「等身大の芝居になったね。こう、今みたいに3人で話してる、っていうような芝居。「どうなんですか、そういうのは」とさらに小出。「そういうのがあってもいいとは思うけど、歌舞伎にしろ何にしろ、舞台はスペクタクルで魅せる部分もあると思うから、そういうのばっかりになったらつまんないかな」とのこと。