ことば・5 満1歳11か月

前回の覚書から1か月、すんごく喋るようになった。つねに何かしゃべりながら動いてるという感じ。

●「あ、○○た!」は相変わらずよく言う。名詞+「た」。ベビーカーの中からも、「あ、ちゃいんちゃいん、た!」(自転車)、「あ、ぶっぶ、た!」(車)、「あ、ちょーちょ、た!」(蝶)、など、見えるものを次から次に指さして発語し続け、「いっちゃったー」「とんでったー」など、顛末の報告も欠かさない。

●ごはんを食卓に並べるのを見ての、「おいっしょー、た!」(おいしそう、あった?)のような誤用(大人の言わない言い回し)はなくなった。今は、そういう場合は、「おいっしょー!」だけ。つねに脳内で、収集・創造・修正が行われているな。

●食べた後には、「おいしかったー」と言うようになった。その他、「とえた」(=取れた)、「おちた」、「できた」、「ついた」(=到着した)、「あいた」(=開いた)」も言う。「とえた」を過拡張する傾向。

●「動詞+否定のない」を発語。

  • とえない(=取れない。新しいサンダルで外出から帰ってきたとき、玄関に座り込んで)
  • あかない(=開かない)

活用の間違いは、まだない*1

●ある日、夫が出勤したあとに、「パパ!」「パパ!」と言う。何かと思ったら、夫が調理台の上に置いて行ったマグカップ(TDLで買ったドナルドの形)を指さしていた。その他、玄関に置いている夫のサンダルや、取り込んだ洗濯物の中の夫のTシャツを見ても、「パパ!」と言うように。かくして2週間後、「パパの!」と言った。最初の格助詞だ。

●「ある」「ない」の概念は前月からマスターしていたようなのだけれど、この月、「いない」と言うように。沖縄旅行中の夜、ホテルの部屋からママが消えたとき、探しまわりながらさかんに言っていたのが最初のようである(そのとき私は氷を取りに行っていた。もちろん泡盛用)

●「つーぎーはー!」と言う。しかも、かなり用法が正しい! ある日の散歩中、花を見たサクが、「さーいーたー、さーいーたー」とチューリップを歌い出したので、私も相伴した。そして歌が終わると、「つーぎーはー、しんかんしぇん!」と言う言葉を挟んで、「しんかんせんでゴーゴゴー」の歌を歌い出したのだ。それからは、この「次は」はサクの頻出用語。次は、次は、といろいろ歌っていたかと思うと、突然「つぎはー、おっぱい」と、いきなり矛先を変えた宣言をし、おっぱいぱくっとしてきたりする。

●そう、すごくたくさんの歌を歌う。歌詞の意味でというよりは、語感で覚えてるんだろうなと思うと、幼児の脳ってすごいなと感心する。私が促さなくても、勝手に次々に歌を繰りだしてくる。「そ、それも覚えてたのか!」というような歌(私が歌ったことのない歌)も覚えてたりしてびっくり。

●もちろん、割舌はたどたどしいんだけど、そこがまたかわええ〜。我が子がなんの歌を歌っているのか、すぐにピンとくるのは、ママならではの能力ね。

●「おかあさんといっしょ」の中の「ポコポテイ島」のコーナー(昔のニコニコプンだと思ってください)でムテキチが歌う「デッキブラシロック」では、歌が終わった後の、「イェーイ! サンキュー!」まで律義に言う。おかしい。

●かといって、外でいきなり「あしょいおー しぇーとあーんまえーけんー」(遊びをせんとや生まれけむ)と、大河『平清盛』のテーマ「タルカス」を歌われると、なんかちょっと恥ずかしい。

●おっぱいを飲んでるサクに、「おっぱい、大好き、だよね〜?」と話しかけると、「おっぱい、だいしゅっきー」と返すようになった! これまでは、2語文以上で話しかけても、「おっぱい」とか、「だいしゅき」とか、サクがリフレインするのは1語文だった。

●そういえば、「ぷいん(プリン)、あまーい」とか、「おなな(お花)、いっぱいいっぱい!」なども言う。主語+述語の2語文か。

●「みてみて〜」と言いながら、見てほしいものを持ってくる。「みてみて〜、でんしゃ〜!」(電車のおもちゃをもって)のように。

●大小の概念がわかっているらしい。たとえばパズルで遊んでいるとき、「大きいの持ってきて」「今度は小さいの」と言うと、ちゃんとそういうピースを持ってくるし、落ちている石や葉っぱを見たり拾ったりしたときも、「おっきーい」「ちっしゃーい」と正しく言う。

●目に入ったものの名前を教えたり、「そのことば、知ってるよ」とばかりに得意げに発するなど、サクにとって、最初は遊び道具のひとつようだった言葉。だんだん、意思伝達の道具として使われるようになってきた気がする。「ぎゅーにゅ!」(牛乳ちょーだい)とか、「えーびーし!」(ABC=Eテレの番組「えいごであそぼ」を見せろ)とか、言葉で要求を伝えるということをしはじめた。

●ただし、「ちょうだい」を「あい、どーじょ!」(はい、どうぞ)と言うとか、「いってきます」と言うべきところを「いってらー」(いってらっしゃい)と言うとか、欲しいものをもらったときに「あーとー、いーえー」(ありがとう、いいえ)と、ひと息に言うとか、そのシチュエーションでかけられる言葉をそのまま口にするような誤用は見られる。

●定点観測。上空を行く飛行機を見て指をさすとき、最初の頃は「おっおー」と言っていた。それから、「ぶーん、て」と言うようになった。これは、私が「ぶーん、て飛んでったね〜」と言っていたののマネだと思う。その後「き、たー」。これは「ひこうき、あった」かな。今は、「ひこーき」か、「ひこーき、た」と言う。

●「これ、だーれ?」と指さすと、「パパ」「ママ」と言える。ママに対しても2割くらいは「パパ」と言う(しくしく)。サクを指さして「これは?」と指さすと、「シャクー」く、の音が相変わらずくぐもっていて、すんごくかわいい。

*1:まちがってほしいと、わくわくしながら見守っている。誤用のサンプル収集はとても興味深い