電卓とテンキーは指先の延長だと思うべし

●2月8日(月)
本格的に引継ぎを始めてるんだけど、こういうことをやると哀惜の念が募る。会社に対して・・・ではない(たぶんそれを実感するのはまだ先のことだろう)。業務に対するものだ。それぞれの業務そのものを、自分がとても大事にしてきたこと、そして引き継ぐ人にもそれを受け継いで欲しいと心から願っていることを思い知る。なんか先輩に引き継ぐ仕事が多くてアレなんですけど、後輩には、心おきなく伝えたいと思う。伝えきるには、時間は全然足りないんだけどね。

単にシステムから出てくる数字を拾い集め、加減乗除するようなやり方で仕事をしてほしくない。会計基準や税法のさだめ、業界特有の慣例を理解し(「なんのためにこういうルールや習慣が作られてるのか?」というとこから考えること)、速いスピードで変わっていくそれらの情報を常にアップデートしていってほしい。

社内の基幹システムと会計システム、帳簿との関係を常に説明できるようにしていてほしい。たとえシステムがエラーを起こしたりダウンしたりしても、すべての会計処理ができるのが経理パーソンの条件。システムの自動仕訳を見るとき、手作業で仕訳を作ろうとするとき、必ずその背後にある取引の具体的な内容や流れ、書類関係について把握していてほしい。当社の営業や事務方、取引先など、それぞれの意向について想像し、わからなければ尋ねること。

数字は、マクロ、ミクロ、トレンドなどいろんな視点で見ること。経験の浅いころは、どうしても「1円でも間違ってはならぬ〜」てことでいっぱいいっぱいになるものだけど、それじゃ「作業者」にしかなれない。だいいち、自分が面白くないしね。ルールの範囲内で、数字は「作る」ものでもあるし、どうしようもない部分もあるし、利益が出てなくてもそれは将来のための“損出し”であったり、いろいろあるから。

・・・なんて、自分だって完璧にできていたわけじゃないけど、後輩に伝えたい経理の理想みたいなものを綴りはじめたら、斯様にどんどん出てくるのであります。もちろんこういうことを松岡修造的に暑苦しく(松岡さんは好きだけどね)直接的に言って聞かせたりはしないけど、なんていうかね、そういうマインドみたいなものが伝わるように引継ぎはしたいなーと思っている。仕事に対する熱意とかスタンスは人それぞれなので「自分流」を伝えるのに腰が引ける部分があったけど、どーせ辞めるんだから、最後くらいいいよね。

●2月9日(火)
仕事のあと、飲みに行く。大楠「くーた」。3,500円のコースにしたら、予想をはるかに上回われて驚きっぱなしだった。「なんか、どんどん出てくるね〜」「あっというまに終わっちゃいそうっすね」なんて揶揄してた前半の自分たちをポカスカ殴りたいほどの品数だった。しかもどれもこれもおいしい。安くて美味しいのが博多の繁盛店の条件とはいっても、ここはかなりのもんだと思います。あまりにお腹がいっぱいで、デザートを食べることができなかった(食べきれないのがわかっていて申し訳ないのでサーブしてもらわなかった)。お酒が飲めない今、食後のデザートはささやかな楽しみだってのに、無念である。

城山三郎の「落日燃ゆ」と「男子の本懐」がすっごく面白かったって話を聞く。広田弘毅とか井上準之助浜口雄幸なんかについて口角泡をとばす勢いで語ってたど、危ない団体ではありませんので>お店の方へ。高校の日本史の先生が授業中に「落日燃ゆ」を薦めていて、というのは、広田弘毅は我が福岡が生んだ唯一・・・じゃなくなったのか、麻生さんが出たから。唯一だった総理大臣であり、同時に、戦後の東京裁判で、文民にして唯一、A級戦犯として極刑に処せられた人物だからなのだが、その先生の話はずっと覚えてるのにまだ一度も城山三郎の本を読んだことがない。11時、帰宅すると、夫に「服がすっごくタバコくさい」と嫌な顔をされた。ええ、浴びましたとも。しかし我が家も変わったものだ。

●2月10日(水)
有休。引継ぎについて熱く綴りながらも、有休もできるだけ消化していくのだ。今日はまた、浮力を求めてフラフラとプールへ。スイミングクラブには月4回分の月謝しか払っていないので、こういうときは市民プールに行きます。区内の市民プールに行くのにバスは都市高速を使って走ります。なんとなく腑に落ちない。協力ですかね。自転車で行けば早いんだけど、転んで万一のことがあったらと思うとやっぱり嫌だもんねえ。愛は人を臆病にする。

で、「陸がダメなら、水に入ればいいじゃない」て話で、やっぱり水の中は気持ちいい〜。ひとりで1時間半ほど過ごしていたんだけど退屈しません。マタニティスイミングコースではアクアビクス・ヨガや水中座禅(!)が中心で、なんとなく泳ぎいでみたかったので、試す。私は、走るのに比べたら、泳ぐのは全然得意じゃありません。でも嫌いじゃないんだよな。クロールしてみたけど(ゴーグルないと辛いっすね)やっぱり上手じゃないから力が入る。力が入るとお腹が張るので、休み休み、25m×5本くらい。なんか猛烈に泳げるようになりたくなってきた。

そして事件は起こった。満喫しすぎて2時間の制限時間ぎりぎりになってしまい、退出間際あわててトイレに駆け込み、急いで膀胱を空にして、水を、ジャーッと・・・ギャーipod流した!!! 全損です。ショックに打ち震えながらプールを後にする。天神のベスト電器(ローカル色あふれるブログでしょ)に寄って新しいのを買った。さらば、父にもらった(彼は忘年会のくじ引きでもらったらしい)第2世代のipod nanoよ。3年3ヶ月ほどの付き合いであったな。ハロー第5世代のipod nano君。なるべく長いご縁であることを望む。