世界陸上、7日目! 男子4継リレー予選始まる!

大会も7日目、日本時間の深夜に行われている競技はDVDに録画して翌日に見ているのですが、翌日たる今日は土曜日ということで夫も終日在宅なので、彼と話したり、また家事を行いつつの観戦ということで、ちょっとこれまでよりは集中力を欠いた観戦になりました。まあこれは仕方ないですね。てか、やっぱり木・金と(世界陸上のために)あらかじめ夏休みを設定してた私、グッジョブ!

男子50km競歩は、日本人選手の中でもっともメダルに近いといわれていた山崎選手が登場。序盤から果敢に先頭に立っており、沿道からQちゃんも激しい(そう、大きなというよりも、激しい)声援を送っていたが、3度の歩型違反での失格となってしまいました。両足が常に接地していないといけない、というのは知っていたけど、膝の形とか、ほかにもあるんですね。なんというか・・・どんな競技にもルールってもんはあるけど、なんかことさら残酷な気がしたのはなぜだろう? 確かに、走る競技との境界線を設ける必要はあるんだろうけど・・・。んー。

男子やり投げ予選、試合前のTBSがまとめたVTRで紹介された有力選手がいかにも魅力的な面々・・・まあ、つまりはイケメンさんたちだったってのもあり、ワクテカと見ましたよ。こ、これもひとつの、にわかファンらしい観戦姿勢ですよね。しかしこの日のベルリンは荒れ模様。上空の風もかなり乱れていたらしく、90m以上の記録をもつ選手たちも、まったく乗り切れません。解説の方によると、なんでも、今日の風だと、常道どおりの、斜め上40度の角度ではなく、35度くらいでないと槍が飛ばないんだそうです。うーん、5度の調整。できるもんなの?! 

で、そんな中、予選通過ラインの82mを初めて超えたのは、なんとニッポンの村上選手でした! 日本選手権10連覇中(すげぇな)という、国内ではまさに敵なしの彼だけど、世界大会でこういう状況ってのは初めてだったらしいです! この大会、槍に限らず、ハンマーだろうと、砲丸、円盤に至るまで、すべての投擲種目の解説を一手に引き受けてきた小山さんも、これまでになくエキサイトなさってました。決勝、北欧のイケメンたちが修正してくるのか、村上選手がこの勢いを持続するか?! 

さて、この日のシロウト熱狂ファン代表:織田さんの注目競技は女子200m決勝と男子4×100mリレー予選。この2種目に完全に魂を奪われている彼は、番組冒頭からやけにそわそわしている・・・と思っていたら、
「ちょっと、僕、サブトラック行ってきていいですか?! 向こうで最新情報をとってきますから!」
なんて中井さんに許可をとる小芝居を打って、小走りに去っていってしまいました。

そこからはしばらく、放送席に残された中井さんがひとりで番組司会を請け負ったわけですが、いやー、なんというスムーズかつ無駄のない進行! 淀みない口調で必要な情報を確実に伝え、これから競技する選手にエールを、また良い成績を収めた選手には祝福を、過不足なく送る姿に、彼女のキャスターとしての実力をまざまざと見せ付けられると同時に、織田さんのお守りがどんなに大変かっつーことを思い知らされました。「もういいよ、織田、帰ってこなくて!」と強く念じた視聴者も、何十万人かはいたことでしょう・・・。

しかしそんな願いも虚しく、2、30分あまり経ったのち、織田さんはサブトラックに到着してさっそく中継してきました。・・・・って、めっちゃ雨降ってる! どしゃぶり! ほとんど雷雨! サブトラックで試合前の調整をしてるはずの選手たちも、あまりの雨足の強さに、みなさんテントに引き上げていってしまってます!

「織田さん・・・やはり、嵐を呼んでしまいましたか。」
“やっぱり”という語に、やたら心情のこもった中井さんに対して、
「えー?! 僕じゃないですよ、“サンダー”ボルト選手が雷神を呼んだんですよ〜」
と、あくまで世界王者に責任をなすりつける織田さん。この雷雨の中、無理くりジョグとかしてる選手もいるが、
「みんなフードつきのロングコートをすっぽり羽織ってて、誰が誰だかわかりません・・・」
とのこと。
「なんか台風情報みたいになってしまいました〜。これ以上ここにいても情報なさそうなので、戻ります〜」
織田さん、敗れたり!

彼抜きで放送された槍投げ予選の快適さに、「このまま中井さんだけでどんどん進めちゃって〜」と、織田派の私さえ、うっすら思わないでもなかったが、みるみるうちにトラックもフィールドも水浸しになり、競技は小一時間休止に。番組では前日までのハイライトなどを流してお茶を濁していましたが、その間に織田さん、ちゃっかり戻ってきました。

この熱帯夜の日本視聴者の前で、茶色のコートをがっつり着込んだまま放送席に陣取った織田さん、
「いやー、すんごい寒くてコートがないと・・・あ、これ、自前なんですけどね。びしょ濡れになっちゃいました。台本ももう、めちゃくちゃで何が書いてあるか全然読めません〜。水性ペンなんかで書きこむんじゃなかった〜!」
と、ひとしきり個人的な愚痴をこぼしてました。その悪びれない笑顔が好きよ。以上、今日の織田劇場でした。

そうこうしてるうちに、雨が降りやまないまま、男子4×100mリレーの予選が押して始まることになり、ここに解説で出てくるのは、当然!ちょうど1年前、北京のこの種目でアンカーとして銅メダルに輝いた朝原さんです。

私のようなシロートにしたら、「こんなに降っててもやるの? どうしても?」とすら思っちゃうんだけど、陸上競技って、基本的に雨天順延とかないんですね。朝原さんも、「あー、2005年のヘルシンキ世界陸上)大会のときも、けっこう降ったあとでしたね〜」と、のんびりした口調。

時間が押したことで集中力を切らさないようにするのはもちろん大切ながらも、日本でもこういう突然の天気の変わりようってのは結構あるらしいです。そして、びしょ濡れというか、むしろ水たまりができてるようにも見えるトラックでも、スパイクにはピンがついてるからか、滑るってことはないんだって。「確かに、濡れると地面に接地する時間ってのが長くなるんですけどね」とのこと。私が心配するよりも、アスリートたちは全然、過酷な状況ってのに慣れてるんだなあ。あらためて凄い。

日本が入った予選1組は、織田さん笑顔でいわく「うん、スイス以外、すべて強敵ですね。」ってことで、まあそんな言い方もどうなのよ?て感じだけど(ただしこのあと、『しかしスイスも日本と同じく、短距離で予選突破してる選手はたくさんいます』てフォローはしてた)、フランス、トリニダード・トバコ、ブラジル、南アフリカといった強豪ぞろいです。

迎え撃つ日本のメンバーは、1走:新星・江里口、2走:熱すぎる男・塚原、3走:涼しげな高平、4走:筑波大の藤光という、平均年齢23才とかいう若いメンバー。1走はスピードランナー、2走はエース、3走は(カーブがきつい中のバトンの受け渡しがあるので)テクニシャン、4走は責任感の強い人(?)をそろえるのが日本の常道らしい。戦前、3走でおなじみの高平選手が、
「これまで、いつでもぴったり同じ位置とテンポで走ってくる末続選手からバトンをもらってきたけど、今回2走の塚原選手は、コースをフルに使ってむちゃくちゃな勢いでくるので、だいぶ違います」
と言ってたらしく、それに対して朝原さんが
「はっはっは。確かに僕もツカポンからバトンをもらうのは怖い」
と笑い飛ばしてたのが印象的でした。チームメイトだったからこそ言えるこういう軽口にも、しろうとファンは胸が熱くなります。

そうして、雨がほとんどやんでた(のかな?)の中で始まった40秒たらずのトラック1周は、息もつかせぬ争いでした! 速い、速いのよーこれが! ニッポン! 全然、世界の強豪たちと勝負できてる! アンカーの藤光選手が確実に2着でゴールして決勝進出を決めた瞬間、その頼もしさによっしゃ!と叫んでしまった。日本選手のリレーに賭ける思いをほんとに感じるレースだった。メダルに届くか届かないかはおいといても、今年のメンバーも、決勝でまた私たちをものすごく熱くさせてくれるでしょう!

女子200mの決勝は、混戦になるかと思いきや、意外や意外、アリソン・フェリックスの圧勝でした。一着でゴールを駆け抜けるアリソンの顔の涼しげなことといったら! ジャマイカのキャンベルはハムと脛にテーピングしてたけど、足が本調子でなかったのかねえ。いずれにせよこの二人は、

  • 2007年大阪−フェリックス
  • 2008年北京−キャンベル、
  • 2009年ベルリン−フェリックス

ってことで、まだまだ勝負づけはついてない感じですな。キャンベルのほうが4歳くらい年上なので、今後はちょっと分が悪くはなるけど。バハマのベテラン、ファーガソンが3位に入ったのもうれしかったです。なんか目を引く選手なんだよね。

徹底的なアリソンびいき(今日の髪型にまであーだこーだ言ってた・・・)織田さんが、この優勝にどんだけの反応を見せたかは、残念ながら見ることができませんでした。途中の雨で競技時刻が押したため、彼女がゴールして間もなく、私の録画は切れてしまったのです・・・。

ま、それはいいとしても、このあとの男子400m決勝が見られなかったのは無念。メリット、ウォリナーの順で、アメリカが1,2位を獲ったとのことですね。同じアメリカのマイケル・ジョンソンが打ち立て、「難攻不落」といわれた世界記録、200はボルトに2度も破られてしまったが、400のほうはまだまだ将来の話になるようだ。この400mで彼が前人未到の世界陸上4連覇を成し遂げ、同時に世界記録を更新したのは1999年のセビリア大会のことで、その瞬間を深夜放送で見たのを覚えてる(織田さんもいた)。彼は20歳の私の英雄だった。