ベルリン世界陸上、6日目! ボルトまたも世界新!

8月20日、世界陸上は6日めを迎えました。

日に日にヒートアップする織田さんの様子から書き留めますと、6人もの世界記録保持者が登場する本日に、冒頭から大興奮。「今日のベルリンは晴れ。ピーカンです!」と笑顔全開。さすがは織田さん、死語を口にすることに躊躇なんてないのです。10年ぶりくらいに耳にしたかもな、ピーカン・・・。続けて、
「今日は寝れません! 明日、会社は午前中、お休みになってください。」
不敵な笑みを浮かべてサボりを指示。山本さ〜ん、マネのしどころですよ!

ノリノリの織田さんを尻目に、男子棒高跳び予選の日本人第1人者、澤野大地選手は冷静なスタートを切りました。前回の世界陸上、酷暑の大阪で水分不足などによる全身の痙攣を起こし1度も跳躍できずに終わるという、あの大会での日本人選手の不振を代表するかのような痛々しい姿を見てしまっていたので、祈るような思いで跳べ!跳べ!と念じますと、予選通過ラインの5m65cmは3回とも失敗に終わってしまいましたが、上位15人の中に入って決勝進出を決めました。いやー、最後は「あと8人! うち成功者3名以内なら、澤野、決勝!」というテロップが画面の左上を飾り、その数字が徐々にカウントダウンされていくという、なかなか珍しい中継を見ましたね。

男子走り幅跳びは、前回大会の決勝でパナマの英雄・サラディノ選手とイタリアのヒッピー(?)ハウ選手との熾烈な戦いが印象に残っていますが、この日の予選にハウ選手の姿はなく。こうなると、涼しげな目元のサラディノ選手のひとり舞台かと思いきや、やはり強力なライバルというのは出てくるもの。1位通過したアメリカのフィリップス選手は、よみがえったかつてのチャンピオン、ということになるそうです。サラディノさんはちょっと不調みたいだった。決勝どうなるかな。

男子5,000m予選、さあ、また皇帝ベケレのお成〜り〜ですよ。1万に続いて2冠を期待しましょう! 4,600mまで、皇帝は位置どりだけに気を配ってのジョギングです。ラスト1周、体もじゅうぶんにあったまったところで、おなじみのゆうゆうスパート。しかし、周りの選手も速かった〜。すごいスプリント勝負に、「これは一体なんの競技かわかりませんね」と解説の金哲彦さんも苦笑い。最後はきっちり前に出て、ベケレ選手が1位通過。

もう1組ではアメリカのラガト選手に注目。彼は、中距離である1,500mとのダブルエントリーです。1万と兼ねる選手、1,500と兼ねる選手、両方いるのが面白いですね。1,500の決勝では銅メダルに甘んじたラガト選手、当然、雪辱に燃えていることだろうが、きのうの今日ということもあり、こちらの予選では確実に通過着順をとる走りでした。両雄、決勝に向けて力を温存しているのか?! キプスロ(ウガンダ)やキプチョゲ(ケニア)といった有力選手もいます。決勝が楽しみだぃ!

男子110mハードルは大変なことになりました! 現レコードホルダー・ロブレス選手はハードルを3台超えたところで棄権。やはり、足の不調が深刻だったようです。しかし観客が呆気にとられ、ほかの選手が駆け抜けてからもどよめきがやまなかったのは、係員に左右から支えられて退場するロブレス選手の姿に息をのんだからというばかりではありません。

ブラスウェイト(バルバドス)、トランメル、ペイン(ともにアメリカ)の3選手が、まったく同時といっていいほどのタイミングでフィニッシュしたのです。走ってる本人たちもわからないほどの接戦、写真判定により優勝認定されたのは、ブラスウェイト選手でした。100分の1秒間に3人ともゴールしてるんだもの、写真を見ても、さっぱりわからないわけです。
「俺? 俺だった? ほんと? 間違ってないよね?」
と、にわかに信じがたいといった様子で拳を突き上げる金メダリストでした。

女子400mハードルも決勝。こちらはジャマイカのメラニー・ウォーカー選手の完勝でしたね! もう、ジャマイカの選手がハードル競技で優勝しても驚きません! 

織田さんがうるさくてかなわない女子200mは準決勝。ちなみに、解説は今日も、こちらはもうちょっと喋ってもいいよ〜という朝原さんです。熱狂的ながらシロートファンの鑑である織田さんは、特に女子選手については見かけ重視らしく、キュートなアリソン・フェリックスが“イチ押し”なのです。織田さんに敬意を表して、私も死語でいきますよ! なんせ、今大会、アメリカの若手選手に怪我が続出している、という話になって、中井さんが軽い気持ちで
「ここでアリソン選手も・・・なんてことになったら」
と口走った瞬間、最後まで言わせずに
「ちょ! やめてくださいよ! んなこと言うのは!!!」
と全力で阻止。椅子からは完全に腰が浮き、中井さんの両肩をつかんで揺さぶる勢いでした・・・。

まあまあ織田さんよ落ち着け、ご安心めされい、アリソンは今日もまったく安心できる走りでした。しかし決勝に進出した面々、最大のライバルであるジャマイカのキャンベル、アメリカの伏兵たるムナ・リー選手、そしてバハマのベテラン、コワモテに爽やかな笑顔が魅力のファーガソン選手、皆さん調子良さそうでした〜。明日の決勝では、さぞかし織田さんの血圧も上がることでしょう。

そして迎えた男子200mの決勝! 「もう、仕事を忘れそうです! 起きててよかった〜」と、戦前から織田さんも絶好調。そうか、いちお、仕事という認識はあったのね。いいから落ち着け、とりあえず座りなさい。この暴君と組んで11年も世界陸上のメインキャスターはってるだけあって、織田さんのフルパワーに特に動じない中井さんの実力も光を増しつつある大会後半です。

それにしても今大会は、「まさにウサイン・ボルトのためにある」と認識する人も多いだろう中、本人の終始落ち着いたふるまいには驚嘆させられます。100mと兼ねるということは、この200の決勝で、既に彼はこの大会8本目の競走となるのです。圧倒的な力があるとはいえ、その1本1本で、ミスをしないように、決勝で最高のパフォーマンスをできるようコンディションに気を遣いながら、一大会で8本も走るというのは大変に疲れるものであるらしい。彼自身、インタビューで本当に疲れている旨、漏らしていましたね。

しかも、ボルトの一挙手一投足には文字通り世界中の目が集まり、彼の行くところ行くところ、無数のフラッシュが焚かれます。レース前の調整をするサブトラックでもたくさんの選手にサインや写真をねだられたり、スタジアムに姿を見せただけで怒涛の歓声が起こったりと、少しの息をつく間もありません。そんな中で、リラックス→集中という流れを少しも乱すことなく、彼は8本目、200m決勝のスタートラインに立ちました!

選手紹介を受けると、「ふっふっふ、さあ、盛り上がりたまえ、皆の衆〜」と言わんばかりに両手のひらを空に向けて軽く煽るボルト。余裕の表情のようにも見えますが、彼はもともと200mを専門にした選手でもあり、100以上にここは負けたくないレース。笑顔は少なく、心中に期するものがビンビンと感じられます。一発目で内側のコースの選手がフライング。周りもつられて出かかる中、ボルト選手だけが反応しませんでした。リアクション大丈夫? 疲れてない?と不安がよぎります。

しかしそんな凡人の心配は杞憂に終わるのです。ボルトは、ピストルの鳴るタイミングをはかってではなく、きちんと音を聞いてから出ているだけなのでした。現にスタートのリアクションタイムも一等賞だったそうです。走り始めてわずか40mか50m出たところでは、もうシロートの私の目をしてはっきりとわからしめるリードぶり。あまりのちぎりっぷりに、直線では朝原さんから、
「最後まで(力を抜かずに、ちゃんと)走ってくださいよ・・・・」
という、それが決勝の解説かよ?!というような、ぱっと聞いただけではトンチンカンなコメントも飛び出します。しかし世界中が、心中で朝原さんに完全同意したでしょう! 頼む、ボルト! 最後まで全力ー! 

「うわ〜、また出た〜!」彼がゴールした瞬間、まるでお化けでも出たみたいな叫びが朝原さんの口をついてでました。19秒19。100年は破られないと半ば信じられていた、マイケル・ジョンソンの19秒32という大記録を上回ってみせたのは、わずか1年前の北京五輪。そのときは19秒30でした。今回は、19秒19! な ん と い う 進 化 ! まさにバケモノじみてます!

きのう、円盤投げで優勝した地元のハルティング選手に逆さ宙吊りにされた恐怖をものともせず(中の人、同じなのかな?)、大会マスコットのベルリーノ君がボルトに近づいてきました。逃げろ、ベルリーノ、そいつの筋力もハンパないんだぞ! キープ・アフェイ・フロム・ザ・モンスター!

しかし、着ぐるみの短い腕で、ボルトの「サンダーポーズ」をやってみせるベルリーノ君の愛らしさを、この怪物は大いに喜んだだけでした。ボルトと着ぐるみ、並んでのサンダーポーズに、カメラを向けるおおぜいの人たちも大喜び! てか、ボルトの前で、これは既にひとつの競技といっても差し支えないような、カメラマンたちの激しいポジション争いが繰り広げられてたのも見ものでした。凄いスピードで、はるか遠くまでウイニングランをしていくボルトを、追いすがるかのようにダッシュで追いかけてった太っちょのカメラマンさん、あなたもナイスランでした!

織田さんも全身鳥肌だったようで、カメラの前で袖をまくろうとしてましたが、いいんですよ、そんなもん見せなくても。

さて、この熱狂で割を食ったのは、同時に大詰めを迎えていた女子走り高跳びの決勝。フィールド競技の宿命なのでしょうが、トラック競技がスタートやゴールで盛り上がるたびに、試技が中断されるのです。しかしさすがの大型美女軍団は、表情も変えずに試合を続けています。この競技、ほんとに驚くほど美女揃い。

クロアチアの天才ジャンパー、会心のジャンプ後、ノリノリのダンスを見せてくれることでもおなじみのブランカ・ブラシッチ、地元ドイツ選手として金メダル候補の最右翼とされている、ほとんどプラチナに近い金髪のパンキッシュなフリードリヒ、そして、学級委員長みたいにまじめな顔つきのロシア、チチェロワ選手が激しいメダル争いを繰り広げるさまに、200mの余韻冷めやらぬまま、観客の目がフィールドに注がれます。

織田さんは、女王ブラシッチにメロメロで、「美しい・・・このユニフォーム姿」と番組の冒頭から感嘆のコメントを漏らし、「今大会のベスト・ユニフォームですね!」と勝手に認定したのを始め、この競技が始まるまだまだ前から、ブラシッチとフリードリヒの写真を大きく掲載する地元の新聞などを、中井さんの制止も聞かずに紹介しまくってました。
「織田さん、これから始まる男子走り幅跳びのほうを見てもよろしいでしょうか?」
「・・・・・(無視)こっちの新聞も見てください!」
さすがに織田派の私も擁護しきれません。走り幅跳びの関係者の皆さん、さぞやご不快だったと思います。この男を懸命に止めようとした中井さんのご苦労に免じて、許してやっていただきたいものです・・・。

前日の予選でも、低いバーから着実にノーミスで跳躍を重ねたブラシッチに対し、パスを繰り返し1m95cm、たった一度の跳躍で決勝進出を決めたフリードリヒと、両選手は対照的なスタートを切ります。素晴らしい調整ぶりを見せつけたブラシッチ、一発勝負を見事決めてみせたフリードリヒ、戦法は違えど、互いに獰猛なまでに、ほかの選手へのプレッシャーをかけていました。そうです、こういう心理戦、駆け引きが、跳躍競技の見どころのひとつなのですよね。

決勝の舞台、2m2cmの跳躍を最初に成功したのは意外にもチチェロワでした。ブラシッチは2回目でクリア。唇に1本指を立て、観衆を静まらせて跳んだフリードリヒは、2回続けて失敗し、もうあとがありません! こうなると、地元の大声援は逆に重すぎる圧力になりかねない。7万の観衆が息を殺し、固唾を飲んで見守ったフリードリヒの3回目! 跳んだ、跳びました、バーを超えました! ここは鳥肌立ったね。フリードリヒも、美しい顔の2分の1に相当するほど、口を大きく大きくひらいて絶叫を上げるーーー! 

しかし結果的には、ここが彼女の最大の見せ場となってしまいました。さらに上がったバーは2m4cm。つい数ヶ月前に行われた国際試合では、フリードリヒが2m6cmを飛んで優勝、ブラシッチはわずか1cm及ばず準優勝に甘んじたことからも、両者、不可能な高さではありません。

そして、チチェロワにとっては自己新記録への挑戦ですが、彼女がまず、3回の失敗で試合を終えました。ブラシッチは2回目でクリア! 優勝が決まったわけではないので控えめながらも、この大会初のダンスを披露です。うーん、姐さん、ステキ☆ 2回失敗したフリードリヒは賭けに出ます。同じ高さで3回ひっかかると終了するのが跳躍競技のルール、分が悪くなった彼女は、3回目の試技をパスし、仕切りなおして2m6センチにチャレンジです。しかし・・・

もうあとがない2m6センチ、彼女の上体は完全にバーの上をいっていましたが、手ごたえを感じて地面に落ちながら両の拳を握り締めたとき、その足が残酷にかかってしまいました。この瞬間に、ブラシッチの優勝が確定! フリードリヒは両手で顔を覆ったものの、地元で善戦を繰り広げた満足からでしょう、すぐに笑顔で大きく腕を振り、大観衆に応えていました。続いてブラシッチがボーナス・ステージとして世界記録へ挑戦し、跳躍前に観客に手拍子を求めると、笑顔で一緒に手を叩いてもいましたね。

女子ハイジャンプの世界記録というのは20年以上も破られていないとかいう金字塔らしく、この日のブラシッチの挑戦も失敗に終わりました。しかし、ほんっとうに素晴らしい試合、美女たちの競演に大満足です! なんかさ、浮き上がって足を開きぎみに落ちてくるあの動作って、妙にエロいんよね。みんな、ショーツタイプのウェアだし、おへそも出てるしさ・・・。眼福〜。や、そんな邪な思いをあらわにするべきではありません。鍛え抜かれた肉体が躍動する姿は、純粋に美しいのです!