ベルリン世界陸上4日め!

昨日もいろいろありましたね。

男子障害3,000mの決勝は熾烈を極めた。ケニア勢4人(!)とフランスのターリ選手という有力どころが順当にトップ争いを繰り広げるも、終盤にさしかかったところで、07世界陸上大阪、08北京五輪で金メダルをとった現王者キプルトがずるずると後退。残った4人の逃避行(?)は、ラスト1周でかつての王者ケンボイが抜け出し、あわやケニア勢が表彰台独占というところまでいったが、ラスト2,3メートルで最後の力を振り絞るかのようにターリ選手が3位に食い込み、初のメダル獲得。

3,000mの間に障害(おっきなハードル)を28個、水濠つきのハードルを7個も超えるこの競技はほんとに肉体的に過酷なんだろう。それでも8分00秒台でのゴールってすごすぎるんですけど! 

上位4人もヘロヘロで、勝ったケンボイ選手はゴール後まもなくトラックに仰向けに転がり、それは歓喜のあまりってのもあるけど本当に力尽きた様子で、ランニングを脱ぎ捨て、左右のシューズはチームメイトふたりに左右から引っ張って脱がせてもらうありさまで、
「おいおいケンボイ〜、さあさあ立って! 金メダルなんだから! ウイニングランだよ!」
という感じで手を引っ張られ、やっとのことで起き上がってた。パンツ1丁状態で歓喜のダンスを踊ってみるも、どうにも力はこもらず、すぐにフラフラ〜っとチームメイトに倒れかかる。ほんっとうに死力を尽くしたんだね! ターリ選手の、力尽きながらも最後の最後でひとり抜き去る追い込みにも、解説の金哲彦さん、絶賛でした。

女子400mは、サンヤ・リチャーズが念願の初金メダル! よかった〜、よかったよ、やっとだね! 大阪でも北京でも圧倒的一番人気(違)でありながら優勝を逃す姿を見ていただけに、かなり遠い道のりのように感じられたけど、実はまだ23歳なんだって。若っ。

男子400mハードルも、最低倍率(違)カーロン・クレメントが危なげなく優勝! 戦前は「ボルト並みのずば抜けた才能をもってると思って応援し続けてるんだけど、なかなか足踏み状態が続いてるんだよね〜」なんて、エラそうなこと言ってた織田さんをも捻じ伏せる快走でした。最後、大外(違)から追い込んできたプエルトリコの長身の選手も凄かった。それにしても、いやー、やっぱり本命が勝つレースっていうのはやっぱり、大いに納得できてスッとするもんがありますね。

これでアメリカはトラック種目で金メダル2個かな。織田さんも、「これでアメリカの陸連も安心したことでしょう〜」なんてうそぶいてましたね。うんうん、なんか織田さん、だんだん調子が出てきた感じです。ボリュームをかなり抑えた声も、ところどころ裏返ってきましたし、上体も、豊かな動きを見せ始めてます。辛抱たまらんくなってきたかな? へっへっへ。

男子3段跳び決勝は、北京で競り負けたエボラ選手を抑えて、イギリスのイドウ選手が優勝。この人は恐怖のピアス男ですよ〜。両耳はもちろんのこと、眉にも鼻にも顎にもキラリと光る輪っかが! ああ〜こういう人、久しぶりに見たよ〜、と震えていたのですが、なんと開いた口の中、ベロにも赤いピアス! しかもベロの上下に! ぎゃー、髪も真っ赤に染めてるし、間違いなく危ない人だよー! 

しかし、人を見かけで判断してはいけません。特に、トップアスリートを! エボラ選手の最終跳躍が低調に終わり、自身の金メダルが確定した瞬間、どんだけ歓喜に暴れまわるかと思いきや、全然冷静・・・っていうか、ごくごく落ち着いた様子でエボラ選手と握手をかわしてました。表情筋をほとんど動かさず喜びをかみしめている(だろう)優勝直後の様子に、アドレナリンの分泌はまったく感じられません。ま、まあ・・・確かに変わった選手ではあるのかも。でも、もちろん素晴らしい勝利でした! おめでとうございます。

男子200m2次予選、高平選手は残念だった。1次予選の最後の流しっぷりも堂々としたもんだったし、2次予選も余裕のたたずまいでスタートラインに立っていたので、かなり期待がもてたんだけど・・・。解説の朝原さんも、中盤から「ああー、ちょっと硬いですね」と。藤光選手もここで敗退。でも、織田さんにとっては納得の戦いぶりだったようです。「こういう経験をして、みんな強くなっていくんです。まだまだこれから!」兄貴〜、さすが、世界陸上をライフワークにしてる男! 長い目で見てる! もしかして、日本陸連をちょっと、考慮してます?

しかし、4日目までいろんな競技を見てると、やっぱり優勝するような、あるいは優勝候補といわれるような人たちって、総じて理知的というか、すごく澄んだ目をしていて、たぎるような闘志を高度な集中力、ここ一番での精神統一で覆った結果、非常にスマートな雰囲気をまとっているものですね。この日のサンヤやカーロン、昨日のベケレにしても然り。私たちは、「これぞトップアスリートの凄み・・・」と仰ぎみて、感嘆するわけですが、そこには当然、一種の近寄りがたさというものもある。だからこそ、ボルトのやんちゃ少年みたいなキャラクターが破天荒な勝ちっぷりをすると、やんややんやと盛り上がるわけです。

そのボルトの200mについては、まだ、あーだこーだ言う段階ではありませんね。スタートラインでのパフォーマンス、「ボクちん、まだ、おねむです〜」ってポーズだったし。彼のライバルを応援する人たちは、さぞかし「もういい! そのまま最後まで寝ててくれ!」と、かつての自民党選対委員長(だったっけ?)ばりに祈ってることでしょう。ま、走る姿は、必死に前傾姿勢を保ち、胸からゴールする周囲に反して、上体起こしすぎのランニングフォームになるのが早すぎるんですけど。

さて、この日の女子槍投げ決勝は、ボルト・イシンバエワに並んで、世界新記録が出る可能性がもっとも高いとささやかれていた競技のひとつです。その期待を背負って投擲するのは、この種目の女王、バルボラ・スポタコバ。なんか、「チェコの軍人の血が騒ぐ!」とか言われてましたけど、ほんとうに兵役についてるんでしょうか? わからないけど、確かに涼しげな目元に通った鼻梁、もちろん素晴らしいガタイ、宝塚の男役も真っ青のイケメン女子です。

しかしこの種目で頂点に立ったのは、大ベテランの37歳、今大会ではほぼ無印に近かった、地元ドイツのシュテフィ・ネリウスだった! 第1投で彼女がいきなり出した67m30の記録を、ついに最後までスポタコバは抜くことができませんでした。後半の投擲では、両者ともにプレッシャーに押されたのか、このベルリンスタジアムの熱気に飲まれたのか、飛距離が出ない。「こんなに一流の選手でも、メダルが近づいてくるとこうなるんですね〜」と解説の人も言っていた。

スポタコバの最終投擲でネリウスの金メダルが確定した瞬間の、場内の湧きっぷりといったら、酒に酔っぱらってもないのに、思わず私ももらい泣きするほどでした。「私はベルリンを熱狂させる!」という文字を刻んだ、気合にみちみちた(しかも、優勝候補でもないのに!)白鉢巻をして臨んだネリウス選手、ほんっとうにそのとおりになりましたね! ドイツにとっては今大会初の金メダル! お見事でしたー! 織田さんもウルウルきたそうです。

さて、私は明日から夏休みの後半に入ります! ふっふっふ、8月は容赦なく休むぜ。なので明日からも、織田さんの楽しいコメントやリアクションを交えつつ、観戦記録を残したいと思います!