『ランドマーク』 (吉田修一)

ランドマーク (講談社文庫)

ランドマーク (講談社文庫)

25歳くらいのときに、もう大好きでたまらなかった吉田さん。新進気鋭の芥川賞作家だったあの頃の彼は、それからたくさんの作品を発表し、でも私は彼の作品とはいつからか距離を置くようになっている。

常に苛立ちや不安を鋭すぎる筆致で描き出す彼の小説に、リアルに共感できない年齢や環境になってしまったんだろう。でも、時々読みたくなるのよね。あまりに上手い小説だからかなあ。これも例に違わず、最初から不穏な空気にみちあふれていて、すごく「読ませる」力がある本だった。読み応えあった。読み終わってしばらく茫然とした。