『重版出来!』 2話・3話
●2話
坂口健太郎さんの演技、初めてちゃんと見たけど、素敵だったわぁー。感情がないみたいな前半の様子がハマるなぁと思ってたから、こみあげる思いをかみしめる歪んだ表情にぐっときちゃったわぁー。かかとがね。すり減ってるんだよね。いつのまにか。重版おめでとうございます! #重版出来
部数決定会議とか、フェアのしかけ方、書店員さんと営業のつながりとか。マンガ業界の裏側って全然知らないからすごい楽しくて仕方ない。子どもの頃から楽しんできたマンガの世界は、働く大人たちによって支えられてるんだねえ。#重版出来
和田と岡の関係とか、いいんだよねぇ。相手とぶつかり合うのも、協働するのも本気。自分の仕事(目的)のために、ぶつかるのも協働するのも必然なんだよね。そしてその目的を超えた連帯感というか心のつながりみたいなのも多分ある。#重版出来
それにしても、黒木華ちゃんの黒沢心! 行動型ヒロインで昨今、ここまで気持ちよく、魅力的な人物がいたかしら。私の中では最近でずば抜けてる。セクシーな振りのはずなのにセクシーさのかけらもない重版出来ダンスー!(悶)#重版出来
黒沢心の「いつでも何でもがんばります!(キラッ!)」感ってまぎれもない彼女の強みだし、今回の小泉は巻き込まれていったけど、ダメな人には絶対受け入れられないだろうな、って感じがちゃんと漂ってるんだよなー。そこがいいなと思う。ヒロイン様になってない感じ #重版出来
松重さんの和田が良いなーと思っていたところ、岡営業部長に生瀬さんが登場して、なんという私得ドラマでしょう! キャリアに中身が伴った上司役、2人ともすてき。2人の絡みがまた、面白い。怒りの内線電話からの、会議での激突・物別れ、からの、喫煙室。仕事(公)での関係だけなんだけど、部長として部の利益を最大化するためにぶつかり合ったり協働したりする姿と、そこからちょっと離れた、仕事の話だけど私的な雑談みたいなのがこぼれる喫煙室での姿とが両方描かれたのが、超ツボだった! 会社員あるある。
で、このドラマと、「とと姉ちゃん」とのたたみかけで、私は坂口健太郎くんに落ちたといっていいと思います。「たんぽぽ鉄道が売れるまで」は、目の前の仕事を一生懸命にやったらその意義が見えてきたし結果にも結びついて充実感も味わって、というプラスのサイクルに入る、お仕事ドラマとしてとてもオーソドックスなエピソードだったんだけど、とにかく爽やかで気持ちが良かった。最後、いかに新刊発売とはいえ、電車の中が「たんぽぽ鉄道」を読む人だらけになってるのはやりすぎだったけどw ワンピースだってあんなになんねーよww でも黒沢心の重版出来ダンスが最高だったから全然許す!って気分。
●3話
前向きにがんばったら良いサイクルにハマって成果が出たのが2話なんだけど、当然そんなうまくいくことばかりじゃないよね、っていうのを荒川良々の顔だけで如実に語って見せた2話のラストはすんばらしかった。あの顔ー、唇!! そのまんま3話に続くかと思ったら、滝藤賢一の高畑一寸の話も並行でした。
もともと要潤が好きな私なんだけど、今回の滝藤さんめっちゃ良かったわー! 決して最後の尻に落ちたわけではありません(感動したけど!!) あの、窪んだ眼窩でギョロっと力のある充血した目。どんぐり帽子。やさぐれた様子。彼女がいなくなって大騒ぎしても、原稿は絶対落とさないってのが人気長編漫画家らしくて良かった。でもネームのクオリティは下がっちゃうっていうね。
週刊連載ってほんと地獄のエンドレスロードだよね・・・。高みを目指して果ての無いトレーニングを積むアスリートとマンガの週刊連載とに、同じ孤独とストイックさを見出す描写が良かった。あの黒沢でさえ夢から覚めて「もう練習しなくていいんだー!」って諸手をあげちゃうぐらいのしんどさなんだよね。
そんな孤独な走者、週刊連載を持つ漫画家を二人三脚で支える編集道。五百旗頭の「漫画家に自由に書かせるのはいい。でも楽をさせちゃダメだ」って言葉が、とてもハード。マンガ家の苦労を一番近くでわかっている編集者だから、労わりたくなる、肯定したくなる。なんせ世知辛い世の中だから、力を抜いて楽に生きよう、って風潮もある。でもアスリートにしろ漫画家にしろ、自分をとことん追いつめて最高のパフォーマンスにたどりつくのが一流なんだよな。編集道の二人三脚は追いつめる役割も含んでいて、追いつめた上で伴走するのが仕事なんだ、っていう。雑誌の看板マンガを書いてる高畑一寸も、アンケート最下位の成田メロンヌでも、それは同じ。
そしてマンガは孤独ゆえに独りよがりに陥りやすいところ、そこはアスリートと違って仕事だから「読者(=顧客)とどう向き合うか」って問題もある。息子5歳は巨大カメムシのプレゼンにウケておりましたw
心が仕事の合間や終えたあとにごはんをもりもり食べるシーンがいつもあって、いいですね。サラメシみたいで。「働く大人は腹が減る」。で、現在のところ完全に支える側に回っている五百旗頭さんだけど、オダギリジョーが演じてるっていう贅沢さが、五臓六腑に染みわたりますぅぅ。
ところで!
#重版出来 3話でフィーチャーされた「ツノひめさま」の作画は河合克敏が描いてたとのこと、どっかで見たことある絵&名前だなーと思ったら、「帯をギュッとね!」の人だった! 懐かしいぃ、中学時代大好きだったんだよ。で、書道マンガの「とめはね」も河合さんの作品だったんだねー。たまげた。