『クロコーチ』第1話・第2話

すごく面白い。「踊る大捜査線」が警察モノにおける本店−支店システムに着目したドラマを発掘・普及させたものの、自身は経年劣化で骨抜きになって終わってしまった今、このハードさに嫌悪より期待をおぼえてしまう。

過去の未解決事件への糸口を探り、さらに45年前の三億円事件に辿りつこうとするために、事件を誘発し、差し向けられた殺し屋ふたりを返り討ちにした黒河内。そのあとに言う「善悪は自分で判断するしかないの」ってセリフの重みにぞくぞくした。

けれどそのセリフに清家が返すのは「警察官は人を撃ち殺してもいいんでしょうか?」という、単純な○×を問う言葉なんだよね。ただし「人を殺すのに正当な理由があるのか」という究極の問いともいえる…。思考停止を許さない、大人のためのドラマだ。

黒河内は悪の力をテコにする才覚のある男だと思っていたけれど、第2話で風間杜夫にあえなく自殺されてしまったので、ちょっと不安に。東幹久と金子賢の死体、ちゃんと足がつかないようになってるんでしょうねぇ…? いかに長瀬が大男とはいえ、大の大人ふたりを埋めるのは難儀よな。

ともあれ、第2話の終わりで沢渡が釈放される様子を見ながら黒河内が「俺、消されちゃうかも・・・?」と言い、まるでそれすら見透かしているかのように、記者たちの前で沢渡が黒河内の名を出すのも最高レベルの引きの強さだった。

長瀬くんの演技って、最初はたいてい「ちょっとキャラを作りすぎじゃないのかな」って思うんだけど、見ていると気にならなくなってくるんだよね。それは、「せいかーい」を始めとする普通のシーンじゃなくて、感情を爆発させたり、内に秘めたものを一瞬出すような、難しい芝居が迫真で、そこで見る人をぐっと引き込むからじゃないかと思う。

渡部篤郎は、終始、柔和な笑みを浮かべる薄気味悪さもいいが、最後には悪鬼のような本性を剥き出しにする演技を見せてくれるんだろうなあと思うと楽しみ。そして剛力さんかわいい。まあ、私はもともと剛力アレルギーも武井咲アレルギーもない人なんですが。虚を衝かれたような表情の剛力さんが、ときどき松坂桃李くんとだぶる。ふたり、兄妹の役やったらハマると思う!