『とと姉ちゃん』 第10週 「常子、プロポーズされる」(下)ツイートと追記: とと姉ちゃんとは何ぞや問題

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星野からのプロポーズと別れは、とても悲しいんだけどまっとうした感じがすごくある。第1週、第6週、そしてこの10週と、叙情的で、ある意味わかりやすい結末でもある。これらの週の終わりに、ふだん賛否両論のタグTLが賛に傾くのは、美しい撮影風景や役者のすばらしい演技もあるが、やはり筋もあるのだと思う。「好きだけど別れるしかない」というのは普遍的なシナリオとして私たちの内面にあるってこと。理解しやすいのだ。

常子はとと姉ちゃんであることを自分で選んだ。星野の「本当の言葉」に刺激され深く内省して、自分の本当の気持ち・本当の言葉にたどりついたというのがポイントなんだと思う。「自分で考える」ことがとても大事とされている物語なんだけど、そこにはいつも(相手が意識的・無意識的にかかわらず)誰かの助けがある。そして自分で考えたことはとても尊重される物語。

今回も常子の選択に留保はなかったのだけれど、とと姉ちゃんとは何ぞやという問題には相変わらず結論が出ていないと感じる。それがアイデンティティであることは間違いないけれど、ポジティブな人生観なのか、はたまた逃れようのない「業」なのか。呪いでないことは今週で確実になりました。呪いと業とは似ているようで違うと思うのよね。

考えてみれば、簡単に結論が出ないのは当たり前。とと姉ちゃんとは何ぞや、とと姉ちゃんであることを選ぶ常子の人生とは何ぞやという問題は、常子がこれからもずっと、人生をかけて追い求めていく問題なんだと思う。誰の人生もそうなんだと思う。