4歳児の年度末

3学期になってから、幼稚園では随時「4月になったら、年中さんだよ」と言って子どもたちの自尊心を刺激してきたようだった。子どもたちは素直に、年中さんになることを楽しみに、誇らしく思っている。「おかあさんと門のところでバイバイできるよ」「お弁当の袋も、タオルも、自分で用意できるよ」「だってもうすぐ年中さんやもん」といった具合。

自分たちが年少から年中になるということは、今の年中さんは年長さんになり、タンポポさん(未就園児クラス)は年少さんになり、そして年長さんは小学一年生になるということ。サク、その理論も、すんなりのみこめたようだった。

ある日、「年長さんと幼稚園で会うのは、○日が最後なんだよ」と言い出した。「先生が言っとったっちゃん。ほら、ここだって」と、出席ノートのカレンダーを示して言う。確かに、卒園式(土曜日)の前日を指していた。

卒園児と在園児とは、お別れ会がひらかれたらしい。以下、担任のベテラン先生による「クラスだより」より。

○日にお別れ会をしました。


年中と年少が作った(折り紙の)輪つなぎを部屋に飾って。


年長さんが長い長いおわかれのことばを言うのを、じっと真剣に聞いていましたよー。
年中もおわかれのことばを言って・・・
年少からも。自分たちで考えたのですよ。


年長さん、あそんでくれてありがとう
かかりをしてくれてありがとう
おさんぽにつれていってくれてありがとう
えんそくいってくれてありがとう
リズム いっしょにしてくれてありがとう
そり してくれてありがとう
いっしょに きゅうしょくたべてくれてありがとう
べんきょう がんばって


ひとつひとつに 年長さんから「どういたしまして」と言ってもらいました。

○日 年長さん、お父さんお母さんが見守る中、修了証書をもらい、卒園していきました


年長さんには、年少さんはとてもお世話になりました


ころんで泣いていると声かけてくれ、ケンカをしているとどうしたのと聞き、仲裁してくれたり、私を呼びにきてくれたり、もうみんな食べたかなと見に来て、食べてない子に食べさせてくれたり、なにか運んでいると手伝ってくれたり、いっぱーい、いっぱい・・・ありがとう年長さん!!

普段から、違う学年との活動については、クラスだよりや、懇談会等でもよく報告を受けている。上の学年は幼い子たちをサポートすることで自尊心を高める、下の学年はお兄さんお姉さんたちにあこがれる…などを期待して触れ合わせているんだろうなというのは、大人ならすぐわかる。

すごいなと思うのは、先生が、口頭にしろ、たよりのような文面にしろ、年少の保護者に対しても(年長の保護者は見ない・聞かない場でも)「年長さんが手伝ってくれて助かりました」「年長さんがこういうふうに言ってくれたのですよ」「ありがとう」と、常に詳しく具体的に、感謝を込めて報告してくれること。それを聞いたり読んだりしてると、親のほうも自然と、年長さんに感謝する気持ちになったり、親しみを持ったりする。

まあ、送り迎えで毎日親も登園しているし、小さな園で行事でも何かと一緒になったりするので、学年の違うお母さんと話す機会もちょくちょくあるからってのもあるんだけどね。先生がこうやって違う学年との間もとりもってくれるから、こちらもさらに、年長さんの卒園をお祝いする気持ち、なんだか淋しい気持ちになったりしちゃうのであった。

終園日、この日は降園前に、引っ越す子とのお別れ会や、定年(!)退任される先生のお別れセレモニーがあって、親たちは涙、涙だったのだが、年少の子たちはイマイチわからなかった様子。帰り道、「4月から、年少の部屋にはタンポポさん(未就園児)が来るから、棚とか、片づけたんだー」とサク。「じゃ、サクたちは違う部屋に行くってこと?」「そうだよ、年中さんのお部屋に行くんだよ」。誇らしげ。

  • 私 「明日から春休みだね」
  • サク「なんにちまで?」
  • 私 「4月のはじめまで、ずーっとお休みだよ」
  • サク「たいくつだね」
  • 私 「そうだねー」
  • サク「ママも、○○くんのおかあさんや、○○くんのおかあさんとあえなくて、さみしいでしょ?」
  • 私 「だね(笑)」


など、会話しながら歩く、晴れやかで少し淋しい帰り道。

夜は夫に、「パパ、かいしゃには、はるやすみないの?」と聞いてた。夫が「ないよー。パパも春休みしたいよー」と言うと、「はるやすみ、たいくつなんだよ。だから、かいしゃいったほうがいいよ。」と優しく諭していた。