『問題のあるレストラン』 1話、2話
キャストや設定だけを何かでチラリと読んで、坂元裕二脚本の木10だからと気軽に見始めたら、とんでもなくヘビーなセクハラ・パワハラ描写が続いて度肝を抜かれました。正直、謝罪のためと称して(しかも男女平等を標榜して)女性社員を脱がせるシーンも、最終的に脱がされた彼女が書き綴っていた重たい日記も、好きじゃなかったです。ああいう日記をメニューノートの隅に書くかね、内容が暗くなってきたら別紙に書くもんじゃないかね、と懐疑的な目で見てましたね。非常に不自然な、作為的な描写だと思いました。
しかし、初回からここまでドぎつくしたら逃げていく客も多かろうことは容易に予想できるのに、敢えてやったってことですよね。坂元さんの抜刀の意味が気にならないわけはなく、最後に(シャバに笑)出てきた真木よう子の陽性の姿にも惹かれないことはなく、もちろん東出くんの「悪い男」も見らいでか。
で、2話。ふむふむ次はモラハラですかー。これまたエグかったです、丸山智己のモラハラ夫。でも、一話に比べるとだいぶ見やすかったかな。たま子とヤスケンがレストランを作っていく描写も楽しかったし。あと「ゼネP」ね(笑)。
「美談って人を殺すんだよ」こういう衝撃的なフレーズが坂本センセイの脚本のウリのひとつだと思うんですが、この手のセリフが出ると私いつもその語尾に「ドヤァ」を感じてちょっとモゾモゾしちゃうタイプですw 確かに印象的だから記憶に残るんだけどさ。
1話、2話の時点では、圧倒的に「女性寄り」のスタンスで書かれてるドラマなんだけど、これずーっとこのままなのかな。
もちろんそういうドラマはいっぱいあるけど(視聴者層に女子を想定したドラマのほうが多いのだから)、私、あんなに好きだった『最高の離婚』でも、TLで光生がクズクズ言われ、「不器用女子」たる結夏に共感が集まりまくるのを見てたら若干もにょってた人でしてね。それでも『離婚』は光生の生きづらさにも言及してたし、灯里が結夏の不器用の皮をかぶったズボラさ・無神経さを糾弾するシーンがあったりしたのでバランスとれてたと思うんですが、今回、鏡子が被モラハラ妻の立場から救われる必要はもちろんある(ありまくる)にしても、彼女が1話でオカマ・ヤスケンのセリフをいちいち下ネタに解釈して笑う描写をわざわざ入れながら、その偏見とか、「弱き者たちの中でのヒエラルキー」みたいなのに言及しないのでは、ずいぶん片手落ちだとは思います。
ま、その点に関しては、ヤスケン回も必ずあるんだから、そこで何かしらの言及はあると思うんだけど、「女性=弱い、迫害されている」ってだけのスタンスで描いて「そうよそうよ、男は敵だ」だけの感想TLになるんなら古沢良太が『デート』の中に仕込むだろう牙にはとうてい太刀打ちできないですよね。
フジドラマの常連になっている真木よう子の「敵」として、レストランに東出・高畑・菅田の『ごちそうさん』陣、会社の男たちには杉本・吹越の『あまちゃん』陣という野心的なキャスティングにふさわしい作品になることを祈る! 『ごちそうさん』陣の悪者っぷりが輝いてるだけに、フジも負けるな!と願ってますw