皐月の十三: 沖縄旅行三日目

●5月某日: 
8:00  朝食バイキング。ランチバイキングとはまたメニューが違う。スクランブルエッグうまー。自家製ベーコンやソーセージ、温野菜、山盛りのサラダ。サクを交代で連れ出しながら、結局1時間以上かけて朝食を堪能。多少ハードルがあろうとも、人は、自分のやりたいことには貪欲なんだろうと思う。部屋で最後のリラックスタイムとパッキング。かーえりたーくーなーい、かーえりたーくーなーい(←“ニコニコプン”時代のおかあさんといっしょのメロディーで)

10:45 チェックアウトすべく部屋を出る。エレベーターのボタン押しやカードキーのロック開閉などで活躍していたサクも最後のお仕事。フロントが近づくにつれ、サクの足取りが重くなり、ついには止まって座り込んでしまった。両親が大荷物を持っているし、帰るってわかるのか? 帰りたくないのか?

12:00  レンタカーを返却。シャトルバスで空港へ。

13:00 空港でおみやげを買い、昼食をとる。1日目の夕食時に飲んだ泡盛がすごくおいしかったのだがさんざん物色しても名前が思い出せず、ふたりで苦悶。最後の最後で、ミニボトル5本セットの中に「多良川」という1本があり、「こ・こ・これだー! これの、なんかカタカナがついてた。えーっと、ゴールド…?」お店の人に聞くと、ブラウンでした。多良川ブラウン。土産物屋ではこういったミニボトル以外、扱われないものらしく、同じ酒造が出している古酒を買った。宮古島のお酒だったけど、まーいいや。

14:00 空港の中をバスで移動し、機内へ。バスを待っている間もサクがすごいはしゃぎっぷり。家庭でならこんな姿もかわいいもんだが、こういうところではドキドキものだ。「しーっ。みんな静かに待っているからね」と言うと、制されているのはわかるようで、「はて」「なんでだめ?」という顔をするが、気をとりなおしてまたはしゃぎだす…。

14:20 定刻だが、やはり滑走路の混雑で、離陸は14:45。サクは15:15に寝ついたのだが、ほぼ満席の機内に入ってからたっぷり1時間以上暴れん坊っぷりを発揮され、はふー。寝たら寝たで、膝の上に乗せていると重いわ、暑いわ。私は車の運転をしない分、夫に働かせているし、狭い飛行機の座席では夫よりも私の膝の上のほうが当然広いので、基本的に私が「飛行機係」を申し出ているのである。サクが寝たあとは「シドニー!」の残りを読む。気流が悪いらしく、小さな飛行機はけっこう揺れてけっこうしんどいが、「村上さんだって、エアコンの使えないホテルで鍵が壊れたりMacを盗まれたりしながら黙々と仕事(オリンピック観戦&原稿書き)をがんばってるんだ」と自分に言い聞かせて耐える…。

16:20 迂回を余儀なくされたらしく、離陸時刻だけでなく、フライト時間も予定より延びた。ふー。地下鉄とタクシーを乗り継いで帰りながら、あーあ、帰ってきちゃったなー、という気持ちと、家が近づくにつれ、別の力が湧いてくるような気持ちとが相反する。帰り道も、帰ってからも、「旅疲れ? なにそれおいしいの?」という感じで、サクは超元気。その姿を見ると安心し、思わず笑みがこぼれ、元気づけられる。庇護されるべき存在ではあるけれど、子どもが親を支えている部分は確かにあるんだよな。夫と分担・協力して、旅装を解いたり家事をしたり。夫もサクも大事な家族だな、としみじみ。