1998フランスW杯のヒデ

楽しいワールドカップの副読本として、本棚から久しぶりに引っ張り出してきて読んでます、『nakata.net 1998』。中田氏(ほんといつも思うけどこの呼称に彼とマスコミとの距離感が表れてるよね)からファンに向けて公式HPでアップされたメールを集めて書籍化したもの。

nakata.net 1998 (新潮文庫)

nakata.net 1998 (新潮文庫)

今では芸能人ブログなんてそこらじゅうにあふれ返っているが、仕事の宣伝やあたりさわりのない楽屋話なんかに終始するものが大半で、本当に読む価値のあるものは少数だ。そこへいくと、ヒデのメールはまさに「少数派」。わざわざ本になったものをお金を出して買って、もう何度も読んでるのに、たまに読み返すとやっぱり面白い。

1998年といえば、今から12年前、そう、やはりワールドカップの年である。開催国はフランス、日本は悲願の初出場。代表の中には我らがヒデの姿も! 代表監督は、奇しくも今回と同じく、岡ちゃんです。てなわけで、この記事では、1998フランスW杯中にヒデがHP上でファンに向かって放ったシュート(?)を抜粋しちゃうよ☆

確かにつまらない試合ではあったけれど、このような大会で重要なのは、「だめな試合でも勝つ」ということです。

「ブラジルは強い」ということです。「うまい」ではなくて、「強い」ということです。

  • 日本の初戦が行われる、トゥールーズのMunicipalスタジアムについて

私が見た限りのground状況としては、かなり滑りやすいように思われました。その滑ることを除けば、なかなか良好といえます。ただ、滑るということはシュートを打つときに、転びやすいということです。その点には、十分に気をつけなければいけません。

  • 日本の初戦直前に

さあここからは、リポーター・ヒデの個人的なフランスWCの感想について、話しましょう。どの試合においても、初戦ということでどのチームも緊張があるのか、前半の立ち上がりは、あまり動きが良くないように思われます。しかし、初めの1点が入るとリラックスして、それ以降は次第に動きがよくなってくるように思いました。たとえブラジルでさえも、初戦は緊張していたようでしたからね。みんな結局は同じ人間ですから。

得点の半分くらいはセットプレーからなので、みなさんセットプレーになったらトイレに行かないように。

  • 初戦のアルゼンチン戦に敗北後

月曜日というのは週明けで辛いけど頑張ってください。そうそう、今は、まだ試合が終わって、2時間もたってないんだけど、僕はもう、試合があったことも忘れてしまったよ。
次の試合まで、また僕の嫌いな練習の日々だー、誰か助けてくれー。

  • 試合の日の代表のスケジュールについて

基本的には、選手は試合の1時間半前には試合会場に着いていなければなりません。そして、試合開始45分から50分前にW-UP(ウォーミングアップ)を始めます。このW-UPの開始時間は、試合の日の天候や気温によって、フィジカルコーチが指示を出します。ということは、会場に着いてからW-UP開始まで、約40分から45分の時間があるわけです。その間は、トレーナーが足などにテーピングなどをする時間となるわけですが、テーピングをしない選手は、その間何をするかというと、何もすることがないのです!!

僕が昨日「岡ちゃん、試合前に読書をさせてくれ〜」と書いたのは、この時間にすることがないからなのです。この時間は読書が禁止されているので、音楽を聴くことくらいしか出来ません。しかし、僕の場合は、それだけだと眠くなってしまうのです。だから、読書をさせてくれー!!  ねっ、岡ちゃん。

昨日の僕は、その時間何をしていたかというと、やはり音楽を聴きながら、寝てしまっていました。これじゃー困りますよね(ま、いいか……。でも、顔に跡が付かないようにしなくては……)。

  • 「試合前読書禁止令」のその後

今日監督に話をしたところ、な、な、なんと「一部解禁」となったのです。一部というのは、漫画や雑誌類はだめということなのですが、小説などであれば、「試合の前に読んでもよい」ということになりました。これもよくわかんないけど。これで明後日の試合前は、暇を持て余さなくてすみそうです。よかった、よかった。

「漫画や雑誌はだめ、小説はOK」って。なんかすごい話ですよね。日本らしいというか・・・。U-15とかじゃあるまいしねえ。今大会はこういうルールのないことを祈りたい、なんとなく・・・。