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『真田丸』 第43話 「軍議」

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うっうっ、着々と話数が積み重なり残り少なくなってきたのが淋しい季節・・・ていう感傷を吹き飛ばすくらい、面白いのう!



「源次郎の好きにさせてやりたいのです。あれは14年間、この時を待っていた」って、信之の器どんだけ無尽蔵なのーっ!!
願わくば、その14年間の、兄弟それぞれの互いに対する胸の内をもうちょっと見たかったのだけど。てか、源次郎に至っては、挙兵決意以来、いまだに兄への思いを劇中で披瀝しないのが気になってるけど。

思えばいろんな人間に“好きにされてきた”信之である。そんな人生の中でなぜ彼が折れずに、ヒネずに、すべてを糧にしてこうまで大きくなれたのか。持って生まれた器も放送当初から描かれてきたけど、鬱屈した思いや劣等感だって描かれてきたよねえ。

信之の場合、根っこの自己肯定感みたいなものは引っこ抜かれずにきたのが大きいのかな。なんだかんだいって、昌幸は信幸の良さ(太平の世で真価を発揮する男)をわかってたし、信繁もずっと兄上が大好きだったし、病弱な嫁もツンツンした嫁もなんだかんだ夫ラブで、舅にも惚れられ、今や将軍秀忠にも心許されている様子が先週あった。周囲のそういう愛情が信幸を苦労と鬱屈だけの男にさせなかった。でも、なんで周囲に愛されるかっつったら信之のまっすぐさと器の大きさゆえだからな。卵が先か鶏が先かどっちだ!

とにもかくにも、このままいくと「真田丸」って真田幸村の日本一のつわものぶりより真田信之がいかに傑物だったかが胸に焼き付けられるドラマになりそうだ。いや信繁もがんばってるけどね。

兄上のまさかの間接的援護射撃で、最後には、「真田は兄と弟に分かれて戦った」じゃなくて、「真田はひとつ!」な戦いになりそうな気がしてきてわくわくするよ。離れていても心はひとつ、っていう美しい比喩じゃなくてね、ほんとにある意味での共闘ができそうな。だから姉上もがんば! 忘れないで、書き留めメモ落とさないで!!



茶々と武器庫 → 軍議開始、籠城案に対して源次郎「打って出る」 → いや籠城でしょ → じゃあ九度山に帰ります → 木村重成が呼びに来る → 詳細説明 → 毛利勝永以外全員反対 → 休憩 → 大野修理の根回しが判明・後藤又兵衛は信繁案に反対するの明白 → 長曾我部盛親・明石全登は賛成 → 大野治長・木村に言い含める大蔵卿 → 後藤又兵衛「天下一の城を枕に討ち死にしたい」からの「やってやるか!」 → 有楽斎「ひっこんでろ」 → 大野「おまえこそ引っ込んでなさい、決めるのは秀頼公」 → 秀頼「打って出よう!」 → 信繁「なんでここに来たかは自分でもよくわかんない → 茶々「籠城しかありえない」 → 大野「すみません籠城で」


ざっとこんな感じだったっけ? 
わくわくした。信繁のハッタリや五人衆「それぞれの思い」(←昌幸の言葉を思い出すよね)が明らかになるところ、特に勇名とどろく又兵衛こそが実は勝つ気より討ち死にする気まんまんだったと判明するところやそこからの心変わり、有楽斎が本音を出すところ、そして治長が気張った甲斐もあって秀頼が裁断を下し大坂の心がひとつになった!!!というカタルシスからの、茶々のちゃぶ台返しね! コロコロ気持ちよく転がされてもらったよ。





何が何でも籠城を、っていう親玉が茶々なのがいいんだよね。ドラマ上での、その意味付けを考えるとほんと面白い。茶々は最後には結局は秀吉を愛していたことに気づくのでは?と思ったのは、今回、「愛した人々リスト」に秀吉が入っていないことをご丁寧に描写したのでのちにひっくり返すのかな、と思ったんだけど、ともかく現時点で茶々にとって、源次郎よりも、秀吉の作った大坂城のほうを信頼してるのは明らかなわけで。

だって彼女は思い出の場所・武器庫で源次郎の背に頬を寄せた直後に、大蔵卿&大野治長に「真田が野戦を提案するから何が何でも潰すように」と命じてるわけでしょ。真田以外の浪人たちは信用できないから、って言ってたけど、源次郎の案を真っ向否定するってことは源次郎のことも大して信頼はしてないのだよ。まあ太閤秀吉(が作った大坂城)に比べたら、馬廻衆で実戦経験も乏しい源次郎ふぜいの案が信頼できないのは至極当然の結果ではあるw 

でも、ここで「実は昔から源次郎が好きだった?」とか言い出して源次郎案に心酔しちゃうような茶々像(そしてそれにクラクラっときちゃうような信繁像)じゃなくてほんと良かった。

だって大坂城にこだわる茶々が立ちはだかる、っていうのは秀吉が立ちはだかるのと似ているわけでね、ただの次男坊で馬廻衆で14年も九度山暮らしだった、ちっぽけな真田信繁が幸村になって、茶々のバックにいる秀吉と対峙し、そして家康の首をとろうとしてるってことだよね。秀吉と家康と両方を相手にするようなもんだよね!!

信繁が「どうしてここに来たのか自分でもわからない」というのも腑に落ちた。あの、九度山編ラストでの回想シーン( http://emitemit.hatenablog.com/entry/2016/10/13/205715 )
のカオス状態を思えば。そして、あまりにもいろんなことがあった過去、いろんな人々に突き動かされるように大坂に出てきたものの、その気持ちを簡単に言語化しようとしていない源次郎が、ちょっと変わったなと思った。小賢しくない。

・「勝負は桶狭間のように時の勢いを味方に」なんて言いながら、時の利があるうちに家康の首を獲ろうとする信繁案を一顧だにしない有楽斎。

・家康に懐柔されて大阪極秘情報を洩らしてしまう片桐。彼は信之と同じく、報いの少ない、周囲に振り回される人生を送ってきたけど、信之と同じ器にはなれなかったんだよね。同じように人は良いのに、その差は…って考えると、片桐はやっぱり、(決して悪気はなく、むしろ良かれと思ってなんだけど)要所要所で嘘をついたり、口から出まかせを言ったりしちゃうところがあったんだよなあ。これも、卵が先か鶏が先かわかんないけど。

・頑迷な大蔵卿。でも彼女の底にあるのは茶々への忠義なんだろうな。

・戸惑いの連続ながらも一生懸命に聞いて考えて決断した秀頼。

・大坂城で必勝案を練る父・ハッタリかます父の背中を頼もしそうに見つめる大助。

いろんな人の顔や言葉が心に残ったけど、やっぱりこれ!



やっぱりこういうとき、舞台畑の人は決めゼリフがピタッと決まるなあ、とも思うのでした。