ソチ五輪 女子フィギュアのメダリストたち(下)

3位 カロリーナ・コストナー

おめでとう!! 27才、3度目の五輪で彼女がメダルを獲ったことを、世界中のフィギュアファンが喜んでる。ショートプログラムのためにリンクインしてきた表情がとても晴れやかに見えた。そのとおり、至高の演技だった。昇天…。「音楽と共に呼吸しているような、息づいているようなステップ」という解説が心に残る。そう、こんなにもすごいスピード、ダイナミックなスケーティングなのに、柔らかく、暖かい。長い脚を前に振り上げてから優雅に回してアラベスクの姿勢をとり、後ろ向きに円を描くスパイラルとか、もう、どうなってんのっていうぐらいの美しさ。以下はショートのあとにインタビューより。


リスクをとる、というのは、最初のコンビネーションジャンプを、3T-3Tではなく、より難易度の高い3F-3Tにすること。すべての試合を見ているわけではないが、これまでほとんど試合で成功・・・どころか、挑んでもいなかったジャンプではなかろうか? 見事に成功、しかも1.5点の加点がついた結果はもちろんすばらしいが、この大舞台で、それに挑もうという気持ちになったことに、言いようのない感動を覚える。「怖がらなくていい」「翼ができたような」「さあ、前に進もうと言い聞かせた」。そんな境地になるまでの彼女の道のりを想像する。ショートの演技のあと、振付師のローリー・ニコルが泣いているのを見て、私も涙。コストナーには、若いころから、メダルを獲る力があった。五輪の舞台でショートとフリーをそろえるのは、本当に並大抵のことではないのだ。それでも彼女はずっと競技を続けてきて、すばらしいプログラムの数々を届けてくれた。昨年の世界選手権では鼻血というアクシデントに見舞われてしまったFSの「ボレロ」の完成版が見られて、本当にうれしい。ラストのポーズ、その充実の表情を見た瞬間、また涙。昨日に引き続いて泣いているローリーを見て、また、うるうる。

浅田真央への特別な思いはあるけれど)五輪のメダリストにふさわしい3人だったと思う。私はどうしても、心情的にはベテランびいきで、この4年間、第一線に立ち続けてきてくれた選手、円熟した演技にメダルを獲ってほしいという思いがある。けれどエキシビションで、最後に金メダリストとして登場した10代の若いふたり、アデリナの「オブリビオン」、羽生の「ホワイトレジェンド」を見たとき、なんだかとても感慨深い気持ちになった。新しい時代は、ベテランが退くから始まるんじゃない。若い人たちはいつのまにか力を蓄えてて、力ずくで(いい意味ですよ)幕を開けるんだなー、と。清新で、頼もしいフィギュアスケートの時代がまた始まった。