『とと姉ちゃん』 第16週 「『あなたの暮らし』 誕生す」 ツイートと追記: 間違っても貶されても駆け続ける人

f:id:emitemit:20160417213136j:plain

 





















































twitter:756303331488731136:detail








あの焼け跡のバラック街で、「もう、間違えないようにしませんか」と常子は言ったけど、それは「間違えないために行動しようじゃありませんか、立ち止まって後悔しているばかりではなくて。」ということだったんだろうと思う。

実際に行動すれば、人は細かく間違う。迷惑かけることもある。どうしても、何度でも。それでも凹んで反省して失いながらも行動することをやめない人だけが為せるものがあるんだと思う。正しく空気を読み間違いを避け、危ういものには寄らず触らず、それだけでは事態は何も変わらない。何もしないくせに人のことにツッコミ入れたり批判したりすることだけはいっちょまえなのは世の中悪くするだけ。

ここ数年そんなふうに思って生きてるので(大げさ)、常子たちのこと超応援したくなるし励まされる。何やかんや難癖な勢いで批判され貶められているのを見ればみるほど、「それでもがんばって」って思うし実際がんばってくれる常子たち超尊い。物語に対する視聴者の反応(の一部)が現代の世界を炙り出してて、炙り出しながら物語は自分たちの道を進んでいって、ほんと面白い作品になってる。10年後に再放送したら全然違う反応に・・・って、そんな世界になるといいな。

 

 

『真田丸』 第29話 「異変」

f:id:emitemit:20160111201544j:plain

 
















もちろん面白いんだけども、実はけっこう視聴ストレスをかける回だったなーとも思う。カタルシスがないのはもちろん、思いきり感情移入できる人物(たとえば前回の秀次のような)もいない。不穏な秀吉、不穏な豊臣家、かわいいけど謎な新妻、子を授かったものの2人とも幸せなのかな?ってな信幸の妻たち、不穏な真田家、なんといっても信幸・信繁兄弟。これがピークじゃなくてこの後にどんどん不穏を増しますよーっていう作りなのが何とも重い。そんな内容だけど、TLに視聴ストレスを訴える声は少なくとも私は見なかったのが、すんごいなーと思う。

大坂編(秀吉編?)もラストに近づいてきて、多様な登場人物の影にややもすれば隠れがちだった信繁に、私の中でぺかーっとライトが当たった。兄信幸の重ねての質問に、同じ答えを返す信繁。秀吉の容態を伝えない信繁。

かつて「真田のために働きたい、叔父上のように兄を支えたい」とキラキラした目で語っていた少年が、こうなったんだなーと。でも、そうだよねって思う。秀吉の周りでいろんなものを見ていろんな人と接して仕事してきたわけだから。何も知らなかったころと同じじゃいられない。「真田のため」という目的意識に立てば、つまびらかに情報開示すべきだけど、その目的意識がそもそも正しいのかどうか、っていう話、何のために働くのか、それは上(父や兄)から決められるべきことなのか、それが唯一無二なのか。

一方で、今の信繁が秀吉に(豊臣に)心酔しきっているかといえば全然そうではないわけで、秀吉の残酷さも、茶々の危うさもよくよく見てきているし、豊臣の中で出世したい!というような願望もなさそうに見える。

信繁は何となく「場当たり的」に見える。茶々を怖いとは思いつつ、固辞せずに一緒に武器蔵に入ってやる。三成にも刑部にもある種の敬意を抱いている。秀吉の振舞いがおかしいと思えば策を講じてみたり度胸よくぶつかったり(前回のたかの件)、利休に相談してみたり、けれど利休の所業を告発したり、家康に頼まれれば氏政の説得にも全力であたり、秀次付きになれば力を尽くして支えようとする。

いっぽうで、家族に対する愛情が変化したわけではなく、父への真心もあり(「瓜売」)、兄に子ができたことも心から喜んでいる。真田を飛び出したいなんて気持ちは毛頭なさそう。

で、きりに対する態度はどうだろう。いくらきりちゃんがうざいとはいえ、ひどいよね。って思うよね。

仕事熱心で正義感も責任感もあり、度胸や知恵もある。気が優しくて、人の痛みを感じ、人のために動くことができ、でも他方では近しい人(きり)に残酷な態度をとってたりする。「真田のため」という目的意識や「あわよくば独立したい」みたいな大志は、ない。

信繁って、「仕事ができてそこそこモテてコミュ力もあって、要するに光るものがあるけどイマイチ突出できないサラリーマン。人を平気で傷つけている部分もある」って感じの造形だなって思えてきた。その場その場の仕事には一生懸命だけど、跡取り息子とか起業家みたいな強いものはない。それって、視聴者の平均像かも。その彼が、いかにして「己のさだめ」を見つけ、動くか。って話なんだなあ。梅のハリキリワーキングウーマンみたいなのも、秀次の合わない仕事で発したうつも、秀吉ほどの人物でも老いて認知症に至る姿も、いろいろが現代に似てるよね、っていうツイートを見た。だからこそ、信繁がこういう造型なんだな。

それにしても兄弟そろって周囲の女に甘え過ぎなんじゃないのかな、って状態でかなりの回数が過ぎてるのが、そろそろ気になる。稲が自分からガバーッていったのも、尊厳を尊重された真田丸の女らしい行動だったけどさ、お兄ちゃんあんまりなし崩しじゃないのかな。きりちゃんのキリスト教傾倒、そんなのきりちゃんらしくないよって思って見てたしゆうべもそういうツイートしたけど、もしかしたらきりちゃんの己のさだめは「祈る人」になるのかな。そう一筋縄じゃいかないとは思うけど・・・。春と話して「私とお梅ちゃんのいいところを併せ持ってる!」って、ちょっとそんじょそこらでは出てこない名言でありました。