『軍師官兵衛』 第36話「試練の新天地」

面白かったのは、国替えになった豊前に入ってきた官兵衛一行が、領民たちに向けて「主君・親・夫に従え」「ケンカはするな」「田畑をごまかすな」等の(わざと)簡潔な触れを出し、「まずは検地だ!」と動き始めるところ。うんうん、新しい領地に入国したらまずは検地だよね、という、現実的・実務的な描写で好感をもった。

本編でよかったところは、以上。たはは…。

先週から引き続き、官兵衛のキリスト教への思いがどんなもんかまったくわからんので、抵抗心も、葛藤も、全然ドラマにならない。右近に「あなたのように全てを捨てることは自分にはできない」と自嘲してたけど、それがなぜできないのか、そこにあるのは弱さなのか、それとも信仰心の薄さなのか、それを上回る戦国武将としての野心あるいは志なのか・・・・全然わからんので、まったく何の感想も持ちようがありません。

かといって、信仰を貫く右近が崇高に見えるかと言うとそういうこともまったくなくて、「この人はこの人でなんでここまでこだわってるんだろう?」って感じでしかないのも、このドラマのクオリティです。くそー、せっかくの生田斗真の大河出演をこんなことにしやがって・・・・『平清盛』で役に恵まれて実力を発揮できた森田剛くんは幸運でしたな。

平清盛』といえば、福島正則(あれ?加藤清正だっけ、どっちだっけ?)役の石黒英雄くんに続いて、今週から、長政の子分Aとして辻本祐樹くんが出演なんだけど・・・後藤又兵衛役の塚本高史まで含めて、みんな、どーでもいい役でしかない! それは、小西行長役の忍成修吾やら佐々成政役の大谷亮介やらも同じで、一応もっともらしくピンクレジットで表示されているけれども、まったくもって没個性。ほんと、脚本は役者ナメてんのか?!と思う。

ホワイト黒田ファミリー劇場には今週も反吐。光さんはふだんやたらとニコニコ笑いすぎじゃないですかね、そんでちょっと何かあるとハラハラ泣いて、なんか、鬱陶しいんだよね。おふくが九州には行かず播磨に残ると言い出して、すったもんだあって、「やっぱりおゆうが残ります」っていう・・・そんな変化球、全然欲してない(笑)。おふくにもおゆうにも全然感情移入できてないし、や、そもそも、光さんに感情移入してないし。てか、おゆうは、夫がこっちに残ると言ってるんなら、おふくがどうこう関係なく、ハナから自分も残りたかっただけじゃねーか、こんなギリギリで言いだしやがって。

官兵衛は長政に対しては超冷酷。「獅子は子を千尋の谷へ」にはとても見えない。豊前で家族再会してウフフアハハ〜〜〜「とっても疲れました」「まあ糸さまったらお若いのに」「おふく様が元気すぎるのです」「長政、久しぶりに糸と会えてうれしいでしょ?」「母上、何をおっしゃいます・・・」ってな具合で(誇張なしに、この通りに!)クソぬるいやりとりに花を咲かせといて、まったく平成の現代劇としてもぬるくて仕方ないってのに、父子の関係だけ頑固おやじ的に厳しいんだから、ダブスタも甚だしい。

ラスト3分の「官兵衛紀行」が一番興味深いな、ってな最近である。