今さらですが 『過保護のカホコ』

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大好きでした。TLの評判を見て3話から視聴。ずっと遅れながら録画を見てたんだけど、最終回を前にして3週間ぐらい視聴を止めてた。なんか、最後まで見終わって、カホコの世界とお別れするのが悲しかったんだよ~!

毒母とか格差とか依存症的なものとか、社会派っぽい設定を入れてるけど、このドラマって結局、若い2人(糸ちゃんを入れたら3人)の出会いと成長そして恋の物語だったよな、と思う。それはデコボコざらざらしていても、ピュアで、すっばらしいよな!と思えた。

恋をして世知辛い世の中を知っていく過程でカホコはたくさん傷つくのだけど、また、初はカホコを知ることで自分の「持ってなさ」を知って傷ついたりもするのだけど、それでも2人は欲しいものを欲しいと求めていく。そして欲しいものを得るために何かを捨てようとしない。カホコはあくまで家族みんなを愛し、そのために奔走し続けるし、初も夢をあきらめたりしない。

こういう物語って往々にして、カホコの世間知らずや初の劣等感を「欠落」として、それを埋めたり矯正していくような描き方になるんだけど、「カホコ」にはそういう図式をあまり感じなかったんだよね。矯正されることやあきらめることじゃなくて、傷ついても傷ついても求めていくことで成長していくんだと思えた。私こんなの初めて、と大粒の涙をホロホロ流すカホコは、傷ついても全然擦り減らない。たくさん傷ついても大丈夫な力を持っている。

その強さの源はカホコが両親や祖父母に愛されて育ったことにあるわけだけど、その因果関係は意外に厳密でないと私には感じられた。親に溺愛されているとはいえ、カホコの家も、祖父母や親せきの家にもかなり問題はある。でも、カホコがそのことに毒されず、あくまでピュアだ。

初も、家族の愛情に恵まれず育ったからといって、ことさら闇を抱えていたりコミュニケーション能力に問題があるわけじゃない。常識的なことも知っている。そして絵の才能はさほどでもないw 

「こういう生まれ育ちだから、こうなる」という紋切り型のセオリーから、2人はそこそこ自由なのだ。希望を感じた。遊川さんって最近は露悪的な筆致じゃなくなったのね、という驚き。今からでもいいから「純と愛」を、とりわけ純さんを救ってほしいんですけど。

特に好きだったのは、齟齬が広がって別れてしまった初とカホコが、いろいろあって初を捨てたお母さんに一緒に会いに行くことになり、初は「すっばらしい家族作って見せますから」と母にうそぶくものの、おにぎりをバクバク食べながらボロボロ泣きだして、「会いたかったよー!」とカホコにすがりついて号泣するシーン。「ずっと孤独だったから強い」じゃなくて、男子をこうしてわんわん泣かせる脚本がなんだか優しいなと思った。そうだよね、男子だって、いつもは強い人間だって、泣いていいよね、泣けてよかったよね、って思って見ながら私もボロボロ泣いてた。

カホコがあまりにかわいいので、かなりダメな感じの時任三郎と黒木瞳すら、「でも悪い両親じゃないよね」って思えてくる高畑充希の演技はすごい。脚本や演出だけではあのかわいさは完成しないと思う・・・。いやでも黒木さんもかなりの好演だったよね。あくまでツケツケしてる、かわいくない感じがすばらしかった。

高畑充希によって作られたピュアで鬱陶しくて強靭で、だけどとってもチャーミングなカホコは当然のこと、竹内涼真のはまりっぷり、魅力もすっばらしかった。大きな身振り手振りで、自然なお芝居というよりはこちらもキャラクターを演じているんだけど、回を追うごとにそれが馴染んでいった感じ。なんといっても、基本的に饒舌でお調子者、おせっかいな面もある初が時折見せる、傷つきやすいナイーブな表情と、それでも前に進んでいくピュアな強さ、これは演出がうまいのかしら、竹内君の持ち味なのかしら、両方かな、でもきっとどちらも今この時期にしか出せないものかなーと思われて、たまんなかったな。

私は普段、ドラマの録画は消していくのだが(キリがないから)、なんと、ハジメくんが出るシーンをメインに編集してHDに残しています・・・!