サクことば37 「〜〜〜すぎる」の用法

3歳0か月のころの記録として( http://d.hatena.ne.jp/emitemit/20130822#1377170021) 「ニュアンスの言い回し」として「長すぎる / 短すぎる / 大きすぎる」など「〜〜〜すぎる」という表現をするようになった、と書いたが、その後、気づいたことが。

ふつう、日本語で「〜〜〜すぎる」と言うときには、単に程度が甚だしいという意味だけでなく、「用途に合わない」とか「役に立たない」「困る」みたいなマイナスのニュアンスが吹かされていると思うんだけど、サクはそのニュアンスで使ってない。じゃあ何か?というと、「とても〜〜〜」「すごく〜〜〜」みたいな意味合いっぽい。

たとえば、私が、丈の長いワンピースを初めて着たのを見て「ながすぎるね〜〜このスカートは〜〜〜」と言ったり、大きいケーキを買って「じゃじゃーん」と見せたときに「うわ〜〜〜これ、おおきすぎるじゃない?!」と言ったりする。

私のスカートの丈が長くてもサクは特段困らないし、まして、ケーキが大きいのはむしろ好都合のはずであり、実際にひどくうれしそうな表情と声音で「おおきすぎる」と発している。やっぱり、「ながすぎる=とても長い」「大きすぎる=すごく大きい」という、単純に、英語でいう「very」のニュアンスで使っているらしい。確かに、「長すぎて困っちゃう」「大きすぎて使えない」みたいなニュアンスまで察するのは難しいか。

では、「すごく おおきい」 「とても かわいい」のように「very+形容詞」という発語はないのか…?と振り返り、また、日々の会話で気を付けてみると、まったくといっていいほどないことに気づいた。親が「すごくかわいいね〜」とか言ったのを反復することはあっても、自分から発することがない。とても意外。たいして難しいとは思えない二語なのに。

「副詞+用言」の組み合わせの発語は、2歳3か月の記録で、すでに数多く出ている。「いっしょに あそぶ」「また やる」「もうすぐ かえってくる」「もういっかい したい」「じょうずに できた」「まだ かえらない」など。「すごいね〜」という一語も、かなり前からよく発する。それでも「すごく+形容詞」は出ない! なぜだ!

「すごい」が「すごく」に変化するのが難しいのかな。でも、それなら「とっても」とか「めっちゃ」とか言ってもいいようなものだし。程度の甚だしいことを二語で表すってのが難しいのかな。

ちなみに「ちょっと ちいさいね」のように「ちょっと〜〜〜」は、けっこう聞く気がする。でも、よくよく考えると、ちょっとじゃどころじゃなく小さいようなときも「ちょっと ちいさいね」と言っているような・・・? そして私が「ちょっとじゃなくてすごく小さいやん」と訂正したこともあるような・・・?

そういえば、「ちょっと おおきすぎる じゃない?」など、「ちょっと + 〜〜すぎる」の合わせ技もあるな。「very very = すごくすごく」ってところか。むずかしい用法を編み出すもんだなw

同じく3歳0か月のころの記録として、「あかい しんかんせんは よく かっこいいの?」という誤用を挙げているけど、この「よく」が、「すごく」の意図だったのかなあ。ほぼ1回しか聞いていない誤用だと思うので、言ってはみたものの親にも通じないし本人もピンとこなくてすぐ消えたのだろうか。いろいろ謎である。