霜月の一 / トーベ・ヤンソン

●11月某日: 『マッサン』見てからランニングに出ると、もう弱い雨が降りだしていた。せっかく着替えて出てきたし、ゆうべも元気にカロリーオーバーだったので、ウエストポーチの中のスマホの水没を気にしつつ、4km走る。帰ると、夫がiPhoneから写真をPC(iTunes)に落としてプリントアウトするのに往生していた。昼ごはんはほうれん草と肉入りのそば。これで冷蔵庫の中身がほぼハケた。こういうときっていつもスッキリする。午後、夫の実家へ出発。サクはおみやげだといってみんなの分の紙飛行機を作ってリュックに詰め込んでる。雨の篠栗に着くと、それほど寒くなくてホッとした。夜はすき焼きと水炊き(ふうスープ)が同時に作られているというすごい事態だった。さすがですお義父さま。カロリーを気にしつつも美味しいのでついつい食べすぎる・・・・。

新聞書評欄より。『ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン』(トゥーヤ・カルヤライネン著)。ムーミンの著者の評伝である。

「女性芸術家には困難な保守的な時代の中で清新に生きたトーベの全貌に迫る」。父は彫刻家、母は画家で、母は志を折り、国で初めての切手デザイナーとして家族の生計を支えた。献身的なムーミンママの原像だろう、とのこと。同性愛者が病人扱いされる当時の社会で、トーベはレズビアンだった。徹底的な自由人であり、抑圧と命令を憎んだ。しかし第2次大戦が始まる。その間、彼女は雑誌に戦争を揶揄する風刺画を描きつづけた。その一方で、戦時下の暗い心に灯をともすため、ムーミンの物語を書き始めた。

けれどムーミンは牧歌的なだけの物語ではなく、火山噴火や洪水など、言い知れぬ不安や暗い影が色濃く漂う話でもある。谷の皆が世界の破滅に怯える『ムーミン谷の彗星』(1946)には、広島と長崎の原子爆弾のイメージが大きく響いていると著者は指摘する。「ムーミンのかわいらしさとは元来、戦いを憎む激しい反骨精神を母胎とするものである」。友だちがムーミン好きなのでことさら興味深く読んでしまった。ほかに、「この3冊」のコーナーでは須賀敦子の本が紹介。いつか読んでみたいと思っている作家(というか未だに読んだことがないのが多少恥ずかしい)。61才で最初の著作を出版し、69才で逝去したとのこと、活動期間がそんなに短かったとは知らなかった。