3/25 毎日新聞 「福島・南相馬に書店を開く柳美里 / 「時代の風」藻谷浩介

●3月某日: 今日は朝から新聞読んでうるうるしてた。

facebookより)
日曜日の毎日新聞に掲載される長編ルポタージュ「ストーリー」。毎回読みごたえがあるんだけど、今日のもとてもよかった。思わず朝から泣いてしまった。芥川賞作家の柳美里。正直なところ、私もその名前で数々のトラブルを思い浮かべる人間の一人だ。でも、とりあえず彼女の「今」を見てほしい。

原発事故のあと現地を訪れるようになった柳美里は、2012年3月から臨時災害放送局南相馬ひばりエフエム」でラジオ番組をもった。「ふたりとひとり」南相馬に縁のある2人の話を一人で聞く。「ふたり」が知り合った経緯、震災の瞬間や避難生活、昔の暮らしぶり・・・。とりとめのない雑談も多い。

「当たり前だった日常の記憶こそ住民が生きる糧になる。私はよそ者だから本音を話しやすい面もあるのだろう。マスコミは悲劇や美談がなければカットするが、私はそうじゃない」
この記事のため取材に行った新聞記者も、気づけば自分の体験や葛藤を話し込んでいたらしい。

この記者はTwitter
「ラジオ番組で約600人もの南相馬の方々のお話を傾聴してきた柳さんだけに、どんなボールを投げても柔らかく受け止めてくれるのです」
と書いていた。

3年後、柳さんは鎌倉の自宅を引き払い、家族で南相馬に移住。原発から20キロ圏内の小高駅から徒歩3分の場所に構えた自宅で、来月から書店を始める。なぜ書店なのかというと、小高駅を利用して通学する高校生が立ち寄れる場所を作りたかったからだという。電車は1時間に1本しか来ない。カフェとミニ図書館も設ける。仙台行きの終電が出る21時20分まで店を開ける計画。

去年のクリスマスには、自宅敷地内の倉庫でイベントを開いた。アナウンサーによる小説の朗読、ピアニストの演奏、前衛舞踊……。150人ほどの住民が集まり、みんなでクリスマスソングを歌った。

「除染に伴う汚染土を詰めた黒いフレコンバッグの山を見て、絶望する人がいます。気持ちがふさぎがちな小高で、美しいものに顔を向けてほしかった。ここから奇跡のような物語を始めたいのです」
人々の話を聞き、事件性やキャッチーさよりも「雑談や日常の記憶」を大事にしてきた数年間がベースになっている彼女の行動にとても共感する。
もっと詳しく知りたい方は、ぜひリンク先の元記事を。(あっ、掲載から一定日数たつと、有料記事になるのね・・・💦)

mainichi.jp

facebookより、その2)
どうも。新聞記事を紹介するマンです。

今日の第2弾は 藻谷浩介さん^^ が毎日新聞『時代の風』欄に寄せたコラム。私なんぞが要約するのは恐れ多いので、どうぞ元記事をごらんください。森友問題を起点に、辺野古問題、そしてアベノミクスによって景気は回復したのか否か…?まで明快に述べておられます。決して多くない文字数で、藻谷さんの俯瞰した視点、地理オタクぶり、そしてご専門の人口問題への精通までも堪能できる文章はさすがです・・・

mainichi.jp

・「部下の不正はトップの責任」「情報が上がってこないトップは監督者失格」が世界の常識。
「首相は知らなかったので責任はない」という政権の開き直りは日本の国家ブランドをどんどん毀損(きそん)している。

 

・国会での「知らなかった」「知らなかったはずはない」の応酬、いつまで続けるのか。野党はなぜ「知らなかったのであれば、むしろそちらの方が問題だ」と指摘しないのか?

 

・「アベノミクスで5年間に就業者が250万人増えた」「いや増えたのは主に非正規雇用だ」というだけの応酬もピンボケ。増えたうち、211万人は65歳以上の高齢者。それ以外の39万人の内訳は、女性が109万人増で男性が70万人減(で差し引き39万人増)。
つまり、「一億総活躍」の名のもとに、高齢者や、出産退職した女性の再雇用が増加したのは素直に評価すべきだが、景気回復で雇用増というなら、64歳以下の男性の雇用も増えるのが筋ではないだろうか?

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藻谷さんの新聞への寄稿は、「数字を読む力」「グローバルな視点」だけでなく、歯に衣着せぬ舌鋒も見どころです。今日の

・野党や反政府の新聞への非難を繰り返す論者がいるが、都合の悪い情報がトップに上がらない体制はまるで戦前の大本営だ。挙国一致はむしろ国を弱くするものであり、反対勢力がいてこそ社会は健全化するというのが民主主義の基本原理。大政翼賛が好きな方々は、民主主義ではない外国に移民されてはいかが?

という文章は、ちょっと政権与党や体制を批判するとやたら「ここは日本だ」「気に入らないなら日本から出ていけ」という決まり文句を繰り返す愛国ネトウヨ系の人々に対するウィットに富んだリプライだと見た(笑)。

ちょうど一年ほど前、森友問題が報じられ始めたころには、やはり同じく新聞への寄稿で

・現政権は権威主義的な道徳観を推す面々で構成され支えられ、そこにすり寄ってうまい汁を吸う連中も増えている。幼児に国家主義・排外主義的な思想を教えつつ(←エミ註: 森友学園のことね。幼稚園児に教育勅語を暗唱させ「安倍総理ばんざい」と言わせていた)、国民の財産たる国有地を破格の安値で入手して開き直る人間が表に出たのは必然の流れでは?

 

・世界中に排外主義が蔓延し、「自国中心主義者」たちの間に「反グローバル」というグローバルな連帯感が生まれている皮肉。日本も同様だが、八百万の神々を持つ国に生まれながら他者を排除する世界観に染まること自体、すでに日本の本流ではない。

 と、政権や排外主義者を痛烈に批判する文章を書いていた藻谷さんです。
恐れ多いとか言いながら、やっぱり長々と書いてしまった・・・(笑)