師走の十八 / コバルト文庫の思い出

●12月某日: クリスマスの朝、6時30分に目覚めるサク。ふとんの中の私と目が合うとニッコリ。「よくなったよ!」と言って体を起こしたものの、いったん戻る。「や、おとーさん、トイレに行っただけかな。もう1かいねたほうがいいかな」 夫が既に起床しきってる気配を悟ると「よし、起きよう!」と意気揚々と扉の向こうへいって「わー!」と即プレゼント発見。

・・・・えーっと? この人、もしかして、サンタクロースの中の人に気づいてるってことあります・・・? なんか、様子が変だなーというふしが、クリスマス前からちょいちょいあるのよね。気づいてないふりをしてるのかも。でも、何も言わないから、気づいてないふりに気づいてないことにしよう。

午前中から天神へ。無印でいろいろ買いこむ。夫のパンツも買った。クリスマスプレゼントね、ふふ。私? 私は年末年始に向けて本を買い込んでいます。そんなに読めやしないのにね、どうせ。いいの。積ん読は本読みのぜいたく。

昼ごはん、ちゃんぽん vs マクドナルドでサクとじゃんけんをして、私が完全勝利をおさめたのに、結局マクドナルドに行った。リンガーハットって天神から撤退してるのね・・・井手ちゃんぽんはちょっと、子ども向けの味じゃないしな~。




f:id:emitemit:20180303213151j:plain
(撮影や、SNSへのアップOKだった。最近、そういう展示多いね★)

で、サクと紀伊国屋でひとしきり立ち読みして、お互いに本を買って帰ったんだけど、レジで集英社の小冊子「青春と読書」の表紙に若木未生と須賀しのぶと烏兎沼さんという人の鼎談の見出しが載ってて。コバルト文庫創刊40年カタログの発売を記念したものらしい。思わずもらって帰る。

須賀しのぶが「私がデビューしたとき若木さんは既に殿上人だった」というのを受けて、若木未生が「私にも殿上人がいましたよ、氷室冴子さんと藤本ひとみさん。両先生はコバルトの背骨のような存在で、その太い骨に支えられて自分は少し外したことができた」と。胸熱すぎる内容!! 

そう、私がかつて若木未生の作品を愛読してたのは今でもわかる人にはわかるんだけど(ブログのタイトルw)、若木さんのデビュー前からコバルト文庫で特に好きだったのは、まさに氷室冴子と藤本ひとみ。まさに私の背骨でもある2人かもしれない。

私は20代半ばで蔵書を2/3くらい処分したことがあって藤本さんのはそのときにお別れしたんだけど、氷室さんの小説はこれからもきっと捨てないと思う。今でも時々読み返してそのたびに感動してる。本当に、少女をエンカレッジしてくれる少女小説家さんだった。今も早世が悲しい。ずっと書いてほしかった。

氷室さんといえば知名度もセールスもジャパネスクシリーズってことになるだろうけど(もちろん大好き)、私が歴史好きの皆さんに強くおすすめしたいのは「銀の海 金の大地」。中高時代、私はこれで古代史が大好きになった。かなり資料を読み込まれて書かれていて、今読んでも違和感がないのもすごい!

f:id:emitemit:20180303212937j:plain
(今でもほんとに時々読み返して胸を熱くしている。『精霊の守り人』のように、ファンタジー大河として映像化してほしい!) 

若木さんが「昔は雑誌Cobaltに、氷室さんの『銀の海 金の大地』一挙千枚掲載なんて号もありましたよね」と発言してて、そうそう私それ買ったよ、読んだよ、すごい熱量だったよ小説もイラストも!!って懐かしくてのう。

藤本さんは冴えないヒロインが逆ハーレム状態になる鉄板をおさえつつ、コバルトでもとにかく博覧強記な小説を書いていて、バイオリンやクラシック音楽とかフランスの芸術やローマの歴史などなど、1冊ごとにものすごい知識を得ることができるのが快感だった。事件のトリックも凝ってて。

氷室さんと藤本さんは作風は全然違うけど、どちらもすごく文章が上手で、歴史に興味があって、そして寄宿舎モノのシリーズを持っていた。寄宿舎モノって好きなジャンルだったなあ。ポプラ社文庫の「おちゃめなふたご」シリーズ然り。家が嫌いだったわけじゃないw 自由な共同生活へのあこがれ。鼎談では、須賀さん&烏兎沼さんによる若木未生評もよかった。

須賀さん 「『オーラバ』が学園サイキックファンタジーの先陣をきる勢いでバーンと登場したとき、本当にすごいと思いました。若木さんの時代からがらりと変わったと思います。」

烏兎沼さん「男子が登場してもあくまで女性目線で描かれている少女まんが「りぼん」とは全く逆ですね。「りぼん」が大好きだった少女たちが成長してコバルト文庫の読者になることを考えると、若木さんの作品は発売してみないと結果がわからないという感触だったかもしれませんね」

須賀さん「私が好きな若木作品は「グラスハート」シリーズ。ファンタジー全盛のあの時代で、バンドメンバーの青春を描いた異色作でした。よくぞ書いてくれた天才だ!とショックを受けると同時に「こういうのが読みたかった」と感動して泣きました」 

わかる、わかるわー!!

ふう。語った。夜ごはんは、ポークビーンズと白菜煮など。なるべくヘルシーなものが食べたくて。