霜月の十五 / 物語の中の「ばか」、どう扱う?
●11月某日: 8時半に学校集合。読み聞かせサークル主催の「おはなし会授業」、2時間目…5年生。3時間目…6年生。4時間目…さくら学級(支援級)という長丁場。私の担当は、絵本『さるとかに』、人形を使っての『ぐりとぐらのおやくそく』など。
それぞれの学年に向けて練ったプログラム。子どもたちはおおむね楽しんでくれた…はず。私もとても楽しかった。
でもね、実はちょっとした事件が。5年生・6年生に向けて、
『三人ばか』
というストーリーテリング(絵本なし、覚えて語る “語り聞かせ”)を予定してたんだけど、開催の数日前に先生から連絡あり。
「“ばか”のような言葉を使わないように子どもたちに指導しているので、演目を変更できませんか?」とのこと。
お話の内容は、愛すべきおバカたちばかりが登場する、ユーモラスな昔話(イギリス)。誰かと比べて劣っていると馬鹿にしたり、蔑んだりするニュアンスがないこと、「ばか」を、実際に友だちなど周囲の人に使うのは良くないこと、そういうのって、高学年ともなれば、ことさら説明しなくても理解できるんじゃないかなと私は思う。
夜、夫に話すと、「ばか」を、「ズッコケ」とか「トンチキ」みたいに変えたらよかったんじゃ?と言われた。ズッコケ・・・は商標な気がするので無理かもね(笑)トンチキは、うん、確かにそういうニュアンスなんだよね。トンチキって言葉、なんか、かわいくて好きです、私。
昔の本を見てると、「つんぼ」とか「びっこ」などの言葉が出てくる。今では、差別的ニュアンスがある語として改刷時に修正されることが多い。妥当だと思う。「ばか」は現代でも、テレビや会話等でそこそこ気軽に使う言葉ではあるけど、曲がりなりにも授業の場ではふさわしくないんだろうか?
もちろん面白いお話はたくさんあるので、何が何でも「三人ばか」をやらなきゃいけないわけじゃない。
結果的に、演目は変更しました(写真、『十二のつきのおくりもの』に)。まぁそれが無難かな、とは思いつつ、そうせざるを得ない教育現場の状況ってどうなの?とも、ちょっと思うわけで。
「ちょっとでも問題になりそうなものは避けよう」みたいな、大人側の忖度や、自主規制みたいなものも感じる。自主規制ってとても良くないものだと思っている私。これは、わが校の先生方への批判というより、「そういう世の中の空気」に対する疑問っていうか。みなさんはどう思われますかね~。
夜ごはんは、豚と野菜炒め、じゃがいものポタージュ、ほうれん草のサラダ。