『花燃ゆ』 第5話「志の果て」

割とまとまった一話だった、最初の回は松陰でその次の回は姉(寿)、前々回は兄(梅太郎)で前回は父で今回は母、っていうつもりで書いてるんだろうね。それが、いちいちそれほど魅力的に思えないのがつりとこ…。

麻生祐未がビシッと一本筋が通った存在感の役で、もちろん麻生祐未の演技の賜物でもあるんだけど、宮村さんはこういうの書くのがうまいんだろうなと思った。時代小説的というか。市井の哀歓、みたいな。

でも、いかに「幕末ホームドラマ」と銘打って、金子重輔の「母」と、吉田松陰の「妹」が交流する「歴史の裏側」を表側として描くからといって、どんなに隅っこに寄せようが裏側に隠そうが、史実ってもんがそこには横たわっているからね。。

史実は動かせない。金子が身分が低いために松陰の野山獄よりずっと劣悪な環境の岩倉獄に放置され回復せず死んだのも、松陰が獄の中でアホほど本を読んだのも、他の囚人たちを誘って俳句の勉強をしたのも史実。そこにどれだけ説得力をもち、見る者の心を動かすドラマを付与するかが、作り手の腕の見せどころ。・・・の、はずだが。

金子の境遇を知りつつも、無邪気な顔で読書し、久しぶりのお日様に目を細めて、同輩たちと牢生活をエンジョイして・・・で、妹に説教されてやっとこさ、ぐあああああ!って苦悶。これ、寅次郎はおバカすぎるってキャラ理解でいいのか?w 作劇が弱いだろw

「兄の志の犠牲になる者たちの存在を告発する文」が今回の眼目だったのはわかる。けれど、文ちゃんの糾弾のセリフ、こーゆー語彙と論理で10代(だよね?)の娘が喋るか?ってな感じでしたよね。文ちゃんの知能レベルに苦しむw 幼女のときから孟子(?)かなんか暗唱してたし、超頭いいってこと? でも、夢中で本を読んでるシーンとか全然ないしさ・・・。井上真央ちゃんはうまいけど、そういうディテールがドラマをがっちり固めていくもんだから、どうも乗り切れないんだよな。

で、宣言通りに笑顔で「おかえり」の滝ママ。「せわぁない」の乱発が、花アンの「こぴっと」よりも気にかかる・・・。でも、この人、ほんとにあんまり深く考えず「せわない、せわない」一辺倒で子育てしてきたんだろうなーという妙な説得力はある。きょうだい全員、性格違いすぎるもん。親の意向とかまったくなく、完全に子どもそれぞれの性質で長じてますよね(笑)。

とはいえ、歴史の大物が初登場してくると、なんだかんだ言うて湧いちゃう大河オタク脳w おヒガシさまの桂小五郎に瞠目しちゃいました。あんな小五郎なら完全に人望集めそうやんwww 狼藉者からの華麗な撤収の仕方、2回連続で他藩に酒を注げない描写などは、細かい技がきいてて「おっ」と思わされました。