サクことば 43 言葉の意味を尋ねる
まとめて書こうと思うとなかなか時間が取れないので、小出しに書いていくことにする。
会話や絵本やテレビの中に出てくる言葉の意味を尋ねることがある。
(EX)
- 「みつめる ってなに?」
- 「かいらんばん ってなに?」
- (「○番のりばに電車が参ります」というホームでの案内のマネっこをしながら) 「まいります ってなに? とまる ってこと?」
こういう質問が出てくるようになったのは、この2か月くらいのことで、最初は「おおっ」て感じがあった。
小さい子どもにとっては、大人の会話や本やテレビは知らない言葉だらけなのが当たり前で、その中から、自分に向けて丁寧に噛み砕かれた言葉にだけ反応するとか、分からない言葉は適当にスルーし、分かるところだけを抜き出して解釈するのがデフォルトなんだと思う。
知らない言葉の意味を尋ねる。って、あたりまえのことのようだけど、すごい成長なんじゃないかと思う。言語獲得途中の乳幼児としてではなく、「基本的言語をすでに獲得している子どもが、語彙を増やすための質問」をしている感じなのだ。しかも、会話の文脈の中で「こういう意味かな」と(無意識的にでも)類推したうえで、尋ねていたりする。
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記録を手繰ると、3歳になる少し前、やたらめったら「どうして○○?」とか「○○ってなに?」のような質問をしっっっつこくする時期があった。
言語能力が未熟なため、本当に尋ねたいことをうまく言語化できなくて、意味不明な質問になっているのか。そういうときもあるだろうが、大半は、尋ねている本人も、なんとなく惰性で質問し続けているというか、すごく知りたいことがあるわけじゃなく、言葉のキャッチボールを続けるのが楽しかったり、かまってほしいだけだったりのような感じもある。けれど、子どもの多くが通る道だということは、無意識の筋トレのようなものなのかも。こうやって、しつこくしつこく、しっつこく繰り返すことで、何かしらの文法や会話のルールを身につけていくのだろう。
(2013.7.17 サク言葉30 より http://d.hatena.ne.jp/emitemit/20130717#1374058046 )
それから3か月くらい経つと、少し様子が変わるように。
ママ「それ、閉めといて」 サク「どうして しめとくの?」 ママ「こわれちゃうから」 サク(ニッ、と笑って)「だいじょうぶだよ」
サク「これなに?(←知ってるくせに)」 ママ「マイクだよ」 サク「どうしてマイクなの?」 ママ「えー? マイクは、歌うときに使うんだよ」 サク「なに うたおっか?」
こちらが力尽きるまで続いていた「どうして攻撃」が、2,3回でやむのだ。ただがむしゃらに、どうしてどうしてと繰り返していた時期を終えて、「どうして」と聞きつつ、相手が答えた内容を考えて、それに沿った答えを返すことで、会話が続くようになっている。
「内容を吟味する → 会話が続くようになる」 というより、「反復することで(形式的にだが)会話が続くようになる → 中身のある連続した会話が生まれる」 という順番って感じ。意外で面白い。言葉は「ならうより慣れろ」だと、子どもは生得的に知っているのか。
(2013.10.8 サクことば36 どちて坊や100本ノックの意外な効用? より http://d.hatena.ne.jp/emitemit/20131008#1381221417 )
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引用した、過去のころとは全然違う。今は、大人が難しい用語に出会ったときと同じように、ピンポイントでわからない言葉の意味を尋ね、知ろうとしている。