『軍師官兵衛』 第40話「小田原の落日」

おひさしぶりです。簡単に。36話「試練の新天地」を見た後、37,8,9と3週飛ばして、昨日のを見ました。久しぶりに見ると、やっぱりオカジュンかっこええ。すげーかっこええ。だから次には「ああ、もっと良い脚本で主役やってほしかった」と思う。総じて、「いつもどおりやってるな」って感想でした。

岡田くんほんと頑張ってて、氏政を前に和睦を申し入れ、「何年でも囲む。兵糧が尽きるのを待つのみ」というセリフそれ自体や、そのときの酷薄な薄笑いなんかすごく見ごたえがあるんですが、いかんせん身震いするような興奮に乏しいのは、決して私が3週飛ばしたからってだけじゃございますまい。

単騎、小田原城へ乗り込み、開門を迫る黒田官兵衛。初回冒頭で示された場面です。ここまで、清濁併せのんでむしろ濁のほうに傾き謀略の限りを尽くしてきてこそ、ここぞというクライマックスでのまっすぐな大胆不敵さが際立つだろうと思うのですが・・・

実際は、「またソレか」「成長とは」「有岡幽閉とはなんだったのか」と思えてしょうがないんだから、困ったものでして。思えば、昨年、八重が男装して鶴ヶ城に入り鉄砲ぶっ放ち始めたときは、「ついにここに至った」という感慨で胸を熱くしたもんです。

櫛橋左京進に始まり、御着の鶴太郎も、島津も、北条も、そして三成も、本来「立ちはだかる大きな敵」となるはずの存在にそろって魅力が乏しいのも相変わらず。雑魚に勝っても格は上がらないのだよ! 

特に、三成がアレってのには絶望を覚える。田中圭はもっとできる子なのに!! 彼も大河の大役に並々ならぬ思い入れがあったのか、放送前はいろんな資料を読んで感情移入している、自分なりの三成像をつくっていると言ってたのに・・・まあ、役者やってりゃ、そういうことはままあるのでしょうが、視聴者としては悔やまれてしょうがないですね。

そこへいくと秀吉は面白くて、これはやはり(これも何度も書いてきたけど)竹中直人のハマりっぷりが脚本のマトモさの呼び水になっているのだと思う。ちゃんと官兵衛の上をいってるのがいい。ま、その分、官兵衛がアホの子に見えるんですが。官兵衛をすごい賢いとセリフで持ち上げといて、実際には「秀吉の掌中で転がされている」ようにしか見えないのは今作の陥穽のひとつですな。

茶々に対しても「おねを悪く言うのは許さん」のセリフに引きがあった。これは、なんのためのセリフだろうか? 「その線は死守していく」ってことなのか、それとも、もしや、「そのラインすら、老いとともにいずれ失われてゆく」という展開ための布石? 個人的に、秀吉の老醜描写ってもう悪趣味の域に入ってて見たくないなと思ってるんだけど、どうなりますか。

長政と糸が「離れたくないー」ってイチャコラしてるのは、これが戦国の大河だと思わず、そこだけを見るとかわゆいです。twitterは「そのころ忍城では」と「のぼう」ネタで盛り上がっとった。あの三成の方が、数段、魅力的でしたわよねー。