『黒田官兵衛』 第10話「毛利襲来」

官兵衛の初陣も、青山・土器山の戦いも、戦は割と見ごたえがあったので、今日はイケるかもなんてちょっぴり期待しちゃったんだけど、たは、たはは。なんだろう、この不完全燃焼感はww でもまあ、これが作風なんだろうから、ぬるくニラニラ見守るのが吉なんでしょうね。

序盤はホントにワクワクしなくもなかった。アバンタイトル、この期に及んで「余が来たからには鬼に金棒じゃ」な〜んてほざく足利義昭とか。ニコニコ無邪気に言うんじゃなくて、すわ、いっぱしの権謀家か!ってな風情で言いくさる(笑)吹越満のセリフ回しが良い。

石山本願寺との戦い。ここで「信長自ら兵を率いて戦い、負傷」ってのは史実とされているんだろうけど、それにしてもひどい映像化(笑)。このドラマに文脈っつーもんは、ないwww 撃たれて(あれ?槍だったっけ?)落馬した瞬間、「信長の奴、これで死んでも同情の余地なしだなw」と思ってたら、王子様よろしく秀吉がピンチを救いにやってきたー! あげく、「わたしが盾になります!」「よう言うた!」→ 実際に秀吉に盾になられつつ進もうとする信長wwおまいらwwww ここは、このドラマの信長=ネタキャラ、このドラマの信長×秀吉=バカップルとして見れば、毛利戦の前座として楽しめたのよ。

太兵衛の「ひとり4人倒せ。あとは俺様が千人倒す!!!」ってな大言壮語も、こういう脳筋キャラはお約束だからさ、これでいいわけ。はっはっは!と和む場で、ひとり澄ました顔で縦笛吹いてる井上九郎右衛門にも、「おまwww 相変わらずマイペースだなwwww」と、心中、笑顔でツッコんでましたよ私は(笑) あと、弟の兵庫助な。この人、今後、キャラ立てされることあるのかな、どうでもいいけどちょっと心配してみるw

なのに、肝心かなめの本編、真打、クライマックスたるべき毛利戦が、意外にぬるかった・・・・。千人 vs 五千人、相手の隙をついての襲撃、霧に乗じた人数かさ増し作戦・・・って、戦記モノの王道だし、実際、この英賀の戦いの史実(とされているエピソード)なんだろうけども、なんかイマイチ、盛り上がらないんだよな。かんべーやん、確かに五千人って聞いてガクブル震えてたし、セリフでも「五千人なんて前代未聞」的なことは盛んに言ってたんだけど、ドラマからは、なんか、切迫感を感じない。だから、敵を退けてもあんまりカタルシスがない。策を用いて当たったとはいえ、なんかやけに簡単だなって感じたし。小寺ピンチ → 殿も家臣もそろって無能 → 官兵衛の才覚で切り抜ける ってパターンがほんとヤだ。二番目のフェーズで萎える。大船団浮かべてやってきた毛利が、大船団の舳を返して去っていく絵が、なんかシュールで、ちょっと笑えた。「退却した」っていう描写なのはわかるけど、なんか、「スタコラサッサー」って感じがしてww

んで、そのあとが長ぇーよww 一向宗門徒のお姉さんたちが戻ってきたのも無理な話なら、当主たる官兵衛がわざわざ対面して逗留を許可するのも強引な展開。いくらスパイ嫌疑があろーとなかろーと、光さんなり家臣なりで裁量するべき案件でしょうよw 毛利はまたいつ攻めてくるかわからんのに、官兵衛は些末事にかかわっとらんで仕事に専念せんかい!と思って見てたら、なんと善助のコイバナ&官兵衛の浮気ネタにつながったwwww 前者はアリ。異存はない。てか、濱田岳かわええ。でも後者はムリwww 当主自ら膏薬を塗ってやるとか、ないない、ありえない。まして、「膏薬塗ってました(・▽・)」で浮気疑惑霧消とか、もっとムリwwww 無理くりスイーツ絡めるの、もうやめて。センスないんだからさ…。

たぶんその浮気疑惑は、秀吉−おねとの対比になってた・・・のかな? 例の有名なエピソードを、「おねが狙って書かせた」というのは、このドラマの創作?そういう巷説があるの? それ自体は、ナルホドなと思ったんですが、女ふたりの会話を聞くともなく聞きながら所在なさげに古着を物色(にしか見えないww)している信長がおかしくてしかたないwww そのくせ、口をひらけば立て板に水の如くベラベラベラベラと…www 超挙動不審www だいたい、夫の上司夫妻の面前で「わたくしに子どもがいないものだから」とかよく言うよね、お濃さんにも子どもいないし。んで、上司・信長にも山ほどの側女と、側女が産んだ子供たちがいるっつーのに。極めつけは、秀吉夫婦の浮気騒動のどさくさで、官兵衛が秀吉に宛てた書状が反故にされた、ってことね。うまく絡めたつもりなのかもしれんけど、全然絡まってないから!! 播磨情勢は現在のドラマの勘所、そこはおちゃらけてお茶を濁してほしくなかったよ(泣)

あと、前から思ってたんだけど、このドラマ、言葉遣いが激しく変なんだよね。以前、秀吉が「〜〜〜と言っても言い過ぎではありません」と信長に言ったときなんかも「ハァ?!」と思ったもんだが(“過言ではない”すら、もう、ドラマでは使えないのか? 特段、古語じゃないよね? 普通に現代でも通じる言い回しだよね?! てか、「過言ではない」を使いたくないなら、「〜〜とすらいえます」とかにしてよ…。「〜〜〜と言っても言い過ぎではありません」って、ものすごく不自然極まりないセリフだ)、今回の、「母上!私たちも手伝います」という子どもたちに対しての、光のセリフにもぶっとんだわ。

「ありがとう。母はうれしいです」えーーー?! そこは、「うむ」とか「そうか」、「よし」の一言でいいし、百歩譲って褒めるとしても、「よう言うた。母はうれしいぞ」じゃないですかー?! 女たちの戦したく、というシーンは良かっただけに残念。や、どこまで「現代的でわかりやすい」言葉遣いをするか、というのは作り手の裁量だとは思うんですよ。何もコテコテの古語的セリフ遣いでなけりゃダメってわけじゃない(私はそういうのが好きだけど)。ただ、それならそれで、聞いていて心地よいリズムとか、センスを感じる言い回しとかが欲しいのよね…。

妻の膝枕に寝転んでの、「怖かったんだ」「けれど、勝ちました」「ああ、そうだな。勝ったんだ…」のやりとりも、これシンプルイズベストっていう意図で書いてるのかもしれないけど、ほんとに何の芸もないんだな、としか思えませんでした。なんかもう、気を付けようって思うレベルだったもん。こういうの書いちゃいけないよな、って*1。誰かお願い、岡田くんと中谷さんを、この無味無臭地獄から救って・・・!

ただ、良かったのはですね、毛利の出兵を、「いつでもこれだけの兵が出せると知らしめるためのもの」という位置づけもしたこと。それを官兵衛も理解してること。そもそも官兵衛以下どいつもこいつも、毛利につこうが信長につこうがどっちにしてもリスク管理がなってなさすぎに見えてたからね。しっかし、だからといって、「まことの戦いはこれからだ!」とか言われると萎えるんだよね(笑)。少年漫画か、っつーの。や、「少年漫画大河」という作風を貫くなら、それはそれでいいんだよ? でも、あっちの口で「この乱れた世に終止符を」とか抹香くさいこと言いながら、こっちの口でバトル漫画みたいなこと言われると…。しかも繰り返すけどセリフにセンスがない…

もうひとつ良かったのは、曲がりなりにも別所の様子を挟んできたこと。なんだかんだいって、私、三木城の戦いとか有岡城の戦いとかの映像化が見たいんだよね・・・しかも「大河での」映像化が。こんなにも、くちゃくちゃと悪口書いてるのも、私の大河というブランド志向あってのもの。お恥ずかしい限りだわ笑

*1:別にもう小説とか書いてませんが