ソチ五輪男子フィギュア その1

高橋が足に不安を抱えている以上、チャンと羽生が頭ひとつ抜けた戦いになるだろう、という下馬評のとおりといえばそのとおりなのだけれど、SP終わって羽生101-点、チャン97-点、続くフェルナンデスからベルネルまで11人が86-81点台にひしめいているって、極端すぎるわ!!!


FSはFSで、心臓に悪い演技が続きまくりですよ! 氷の問題、過密日程、団体戦導入によるピーキングの難しさ、オリンピックの魔物…などなど様々な要因があったのだと思いますが、その中で容赦なく順位がついてしまうのがスポーツの一面です。


・・・しかし、翌日の日刊スポーツに、「オーサー@カナダ行きは本人が望んだのではなく、メダルを獲れる逸材であると見込んだ連盟(?)によって敷かれたレールだった、本人は行きたくなくて泣いたことも」という記事が出ていた・・・らしい。そういった経緯すら、「こうなったら頑張るしかない」という奮起につながったのかもしれない。真偽はわからない、すべてが推測。ただ、とにかく彼の姿は「ひたむき」以上の「がむしゃら」という言葉がぴったりに見えた。そのうえ賢さを兼ね備えているので(一流アスリートなんて賢くないわけないのだが)、ラスト一年で非常に冷静な自己分析もしつつ自分をコントロールした感じ。

もちろん、この勝利は本田、高橋などなど日本男子フィギュア界の人材たちのステップなしにはなかっただろうけど、それにしても19歳での五輪制覇は、すばらしい、おそるべき快挙だ。本人の「悔しい」発言のとおり、これほど伸びしろのある状態、「途上」での金メダルというのも珍しく思えて、本当に空おそろしい子だけど、北島康介の例を出すまでもなく、「一度目の金メダルは笑顔、二度目の金メダルは涙」とよく言われるもので、これからの道のりが安心安全なわけじゃない、やっぱりいろいろあるだろうなと思う。なんたってしばらくは大々的な羽生フィーバーが続くだろうし、そのあとはお決まりのような手のひら返しがありそうだし・・・どんなに賢い子でもしんどいだろう。まあ拠点が海外なのは救いかも。


銀メダル、パトリック・チャン

事前からわかっちゃいたけど、私ほんとうにパトリックがすごく好きなのね。いいなと思ったのはEXの「Don't Worry, Be Happy」や「Mannish Boy」(by マディ・ウォーターズ!)がきっかけで、テイク・ファイブで超絶スケーティングに瞠目した。アランフェスはまあ退屈でもあったけど、「エレジー」「ラ・ボエーム」そして「四季 夏」と、本当に世界王者にふさわしいプログラムだったと思う。逆に言うと、今季の羽生のロミジュリがわたくし的についに最後まで(まだワールド残ってるけどさ)王者プロとは思えんかったというのもある。なんかこう、モロゾフが作るみたいな「点数積み重ね第一主義プロ」感っていうか、ちょっと機械的で、堪能できる場面がなかった気がするのよね…。

さておき、まあしかし、これが勝負ってもんです。GPFあたりからの流れに最後までパトリックは抗うことができなかった感じ。ああ、羽生の金メダルは喜ばしい、でも、パトリックの銀メダルはあまりに悲しい。男子選手でもっとも好きなのは高橋だけど、羽生も好きだし応援してるけど、ある意味、高橋がメダルを逃したことよりも、パトリックの銀メダルが悲しいわよ、私は! オリンピック開幕前に、「4Sにも挑みたいし、現役続けるよ!」みたいな話があったけど、終わった今、去就のことはまだ考えられないみたい。そりゃそうだよね。膝の痛みがあるって話も聞いたことあるし…。ああ、ひたすら悲しい。

銅メダル、デニス・テン

あれ? テン君のツイートこれしかしてなかったかな? いや〜私の事前の勝手な希望は、ここに書いた通り、(http://d.hatena.ne.jp/emitemit/20140202#1391343203)メダル3個を「パトリック、高橋、あと誰かひとり」で分け合ってほしいというもので、あと誰かひとり、ってのは、ほかの日本選手か、ジェレミー・アボットデニス・テンあたりの誰かを想定したものだったので、テン君の銅メダルはすっごくうれしかったです!!! ショートではジャンプが3-2になったりしても「これでも事前練習から見るとかなり良い出来」と解説の本田さんが言うくらい、ずっと体調の悪い今季だったけれど、FSは起死回生の演技だった。4回転は1本に絞って、他の要素も確実にこなし、持ち前の端正かつエモーショナルなスケーティング。この171点のラインが、羽生が出てくるまで8人ぐらい?ついに超えられることなく、結果、銅メダルだもんねえ。すごいよ。

てことでクソ長くなってきたんでここで1回切ります。続きを書くヒマあるんだろか・・・・。