モスクワ世界陸上3日目:女子100m決勝ほか!

●女子100m準決勝
準決勝でびっくりしたのはジーターですね。予選では足にぶっといテーピング貼りまくりで、明らかに足の回転がスムースでなく、年齢も33歳と周囲より一世代も二世代も上の感があり、あ〜厳しいかな〜と思いきや、準決勝では別人のように、というかこのひと本来の力強い走り。脚は多少かくかくしているようだけど、文句なしの1位通過で、同じ組を走っていた新全米女王ガードナー21歳(米)にキャリアの差を見せつけた感じ。

番組サイドが推してるオカクバレ選手は1位通過はしたものの、重たげだった。昨日、走り幅跳び決勝で6本全力の跳躍をした疲れ…を朝原さんが指摘。かつて同じく走り幅跳び、100、200とトリプルエントリーしていたカール・ルイスは、走り幅跳びでは1本目に勝負を決めて、あとの試技はパスするような選択をして疲れないようにしていたそうだ。まあ、普通に考えて1本目に勝負を決めてしまえるほうがおかしいんですけどねww フレイザーはまだまだ余裕を残してる。同じジャマイカのカーロン・スチュワートが、フレイザーの影に隠れがちだけど実力派。 

●女子100m決勝
決勝のスタートライン。やっぱり錚々たるメンバーになりました。そして全員が美女に見える。や、「見える」ってつけたらなんか失礼なんだけど、みんなすごいオーラでひれ伏したくなる! アメリカが4人、ジャマイカが2人。昨今、だいたい3人ずつだったのに構成に変化が出たのは、やはりベロニカ・キャンベル・ブラウンの姿がここにないからでしょう(泣)。どうして、どうして・・・! 

号砲一発できれいにスタート、ここでもう既にフレイザーが抜群の反応を示した。「あ〜、こうなったら追いつけないですね〜」と朝原さんがのんびり見てる(?)間に10秒が過ぎてフレイザーの圧勝! すごい。ちょっと格の違いを見せつけられましたよね。新鋭も現れているけれど、まだ当分、女王の座は盤石なのではないかと思わせる。彼女、いいよね。何でかわかるでしょ? ほら、顔が。ちょっと似てるでしょ? 亀ちゃん猿之助に。走り終わった前後は少女のように柔らかな雰囲気なのもすてき。

2位にはコートジボワールのアウレが入った。この人、ええ、何年も前からよく見てますよ。きっぱりとした頭髪にキリリとシャープな美女です。実力あるのは知ってたけど、予選や準決ではよそに目が泳いでて〜。いやー決勝、後半の粘りすごかった。アフリカ勢に女子100m初のメダルをもたらしました。初めてだったんだね、意外だけど。もうひとりのアフリカ勢、オカグバレ選手は6位。疲れがねぇ。200でどう持ち直してくるか。つまりこの決勝には欧州勢がいなかったんだね。ラロワとかザイラーとか残れなかったんだ。時代の流れか、それとも。次回が楽しみ!

3位にジーター。くーっ、姐さん、痺れるぜ! スタートから前半までは明らかに後れをとっていたのに、後半、伸びる伸びる! 足は決して本調子じゃなかったろうに、地力があるのう。ゴール後まだまもない時間、互いに国旗をマントにした状態で、フレーザーと喋ってるのがなんか良かった〜。決勝を戦った同士としての儀礼的な抱擁とかじゃなくて、なんか普通に延々と会話してるの。

●男子ハンマー投げ決勝
室伏が長いこと活躍してくれているおかげで、世界のいろんな選手に馴染みができてるこの競技。今季も絶好調だというベテランのパルシュやコズムス、「タジキスタンの陸連会長」という肩書が必ず紹介されるナザロフ(31)、そしてもちろん室伏などの有力選手を押しのけて優勝したのは、ポーランドのファイテクでした。20代半ばの若い選手。誰もが完全にノーマークな中、1投めでいきなり81m97の大投擲。大舞台での自己ベスト更新(80mを超えたことすらなかったらしいからね)、すごい! 続く2投でも80mを超えて、このプレッシャーはすごかったね。2位パルシュ、3位メリッチ、4位コズムス、5位ナザロフときて、ディフェンディングチャンピオンの室伏は6位という成績でした。1投め、シーズンベストとなる78cm03で始まってすごくいい感じだったけど、世界には巨人がたくさんいるね。それにしても、繰り返しになるが日本人がハンマー投げをこんなに楽しめるのも室伏のおかげ。投擲の中でも、ハンマー投げは、室伏もそうだけど、すごく沈毅で、インテリジェンスな雰囲気を漂わせている選手が多いよね。

●女子砲丸投げ決勝
本日のナイトセッションは決勝競技目白押しで、日本人の絡む競技もおおかったので、放送から押し出されてしまいました〜。やっぱりインテリジェンスなオーラにあふれたアダムス(ニュージーランド)が優勝! 世界陸上4連覇だそうです。強すぎだろ。この競技は中国が強いのも特徴で、おなじみのGONG Lijiao選手が銅メダルを獲得しました。銀は、アメリカのカーターが有力かと思いきや、ドイツのシュワルツ。

●男子棒高跳び決勝
山本聖途選手6位入賞! 快挙! 大快挙です! 日本人史上最高位! いや〜、まず5m50を一発クリアしたのが良かったよね。そのあと、65、75と2回連続で失敗して窮地に追い込まれるのに3回目で成功する調整力、精神力! 75の成功では思わずテレビの前で「よっし!」とガッツポーズしちゃったよ。まだ21歳。技術がモノを言う競技なので今後が楽しみでしょうがない。

あ、もうひとりのラビレニは、なんと弟くんでした。決勝では5m50をクリアできず記録なしに終わったんだけど、そのあともずーっと、緊張した表情で兄の競技を見つめていて…てか、この兄弟、すげー仲良いぞ。や、兄弟でこんな大舞台だから当然なんだけど、すげーちょくちょく絡んでて、最後は熱くて長い抱擁。萌えたわ…(腐)。

さて優勝争いがラビレニ(仏)、オットー、ホルツテッペ(ともに独)に絞られたのは去年のロンドンと同じ。しかし三つ巴の戦いを今回終始リードしたのはこちらも21歳の新星ホルツテッペだった! 5m82、89の一発クリアはベテランたちに大いにプレッシャーを与え、ラビレニが王者の意地で追いすがったんだけれど、5m96の成功ならず、今回は銀メダルに甘んじたのでした。優勝の高さ5m89ってのは、高いレベルとはいえない。私が大好きだったオーストラリアのフッカーが引退(?)した今、まだまだ群雄割拠の時代は続く感じ。

●男子110mハードル準決勝、決勝
準決勝、アリエス・メリットがあわやフライングか?と思うぐらいピクッと動いて、そんな影響で出遅れてしまって3位通過。一方で調子の良さそうなリチャードソン。オリバーに先んじてゴールしたシュベンコフ。ってことで、まったく読めない状態で迎えた決勝。なんとオリバーが完勝でした! そして同じアメリカのメリットでもなくリチャードソンでもなくウィルソンが2位! 3位にはシュベンコフが、開催国ロシアにこの種目初めてのメダルをもたらした。いや〜毎回、失格や棄権が相次いだりと、「絶対」はないことを思い知らされているこの競技だけど、あらためて難しい。それにしてもアメリカは強い!

●女子400m決勝
スタートラインには錚々たるタレントがそろった。やっぱり決勝は盛り上がるね〜。予選、準決勝と余力を残してきた強豪選手たちが全力出してガチンコ勝負。…といっても、ちょ、これ、モンショーは最後、ガッツでフィニッシュしたら勝てたんじゃないの? もう力が残ってなかったのかな? それとも、勝ちを確信して完全に上体を立ててしまったのか・・・? とすら思えるぐらいに、オールグーの最後の追い上げが鬼だった。もうちょっと早くからスパートかけたらいいのに…って思えるぐらいの(ええ、そういうスタイルの選手なのはわかってます)追い込み。気迫と執念あふれるフィニッシュは、モンショーを100分の1秒よりも短いレベルで上回り、見事、2008年以来、5年ぶりの世界女王に輝いたのでした! 3位はロシアのクリホシャプカ。やっぱり強いよね、この人も。今日もウィリアムズ・ミルズ(ジャマイカ)の乳がんについては紹介されてました。ロンドン五輪のレース3日後と、今年の1月、2度の手術を経て決勝の舞台に戻ってきたのです。

●男子400m準決勝
グラナダのジェームズ、アメリカのラショーン・メリットとマッカイなど有力選手が順当に残る中、1組でトップに立ったマスラヒ選手! 良かったわ〜。サウジアラビアの選手。中東の選手って世界陸上ではあまり見ないので、活躍すると注目しちゃう。ベルギーの最速双子(なんのかんの言いながら自分も使う)ボルリー兄弟は、ジョナサンだけが決勝へ。

●男子女子400mハードル予選
これも難しい競技ですね。男子、実力者のバーション・ジャクソンやカーロン・クレメントは、共に予選は通過してきたものの、まったく足が合わない状態。ハードルとハードルの間を大股で走ったあと、ハードルの前でちょちょちょ、っと小幅になって足を合わせて飛ぶ・・ていうシロートみたいな状態が、世界選手権の、しかも有力選手に見られるんですよ。この競技で、あの小柄で、2度もメダルを獲った為末はスゲーな…と思う月日はまだ当分続きそうです。日本の岸本選手は2組目を着順で通過しました、3位。でも彼、今季世界ランク5位なんですってよ?! 期待しちゃうじゃない! 為末と一緒に走っていたドミニカのベテラン、サンチェスは予選全体を3位通過。トップはアメリカのティンズリー。堂々の優勝候補です。

女子、久保倉さんはシーズンベストをマークするも、予選全体の17位で惜しくも準決勝進出を逃した(16位まで)。メダル候補、ジャマイカのスペンサーが途中棄権。ロンドン五輪で壮絶なたたき合いをしたアンテュクとデュマスは共に盤石。そして今回は去年銅だったチェコのヘイノバが絶好調で前哨戦負けなしとのこと。

●男子3000m障害予選
地味に好きなこの競技。ハードルと水濠を繰り返すこの壮絶な競技、転倒などアクシデントも頻発するんだけど、気づいてみれば2008年からケニアのケンボイがずーっと勝ってる。だけどあれれ? 予選では圧倒的な強さ…とまでは感じられず。いつも良い順位につけながらもケンボイが立ちはだかって勝てないベナバド(仏)のほか、ケンボイと同じケニアの新星、キプルトがすごく調子良さそうと解説の金先生。