2013夏ドラマ序盤 ２

●「Woman」　なんと１話でリタイア。や、すごいな、坂元さん（脚本）も満島ひかりも田中裕子も相変わらずすげーな、って思ったんですけどね。１話見て、２話、３話放送後のTLを見てて、あーちょっともういいかな、と。単純に重いものを見るのがしんどいな、ってことかもしれないんだけど、もともと重いものにはそれほど食指の動かない体質なのに、同じ脚本家の「Mother」や「それでも、生きていく」では、首根っこつかまれて引きずり込まれたので、自分でもちょっと意外。思うに、なんかちょっと、作り込まれすぎている感じがする。

タイトルが「Woman」なんだから、若くて経済力もない都会のシングルマザーである満島ひかり（と娘）だけでなく、田中裕子や二階堂ふみ、そして彼女らそれぞれの関係までも含めてドラマの主題なんだろうとは思う。親との関係が複雑なシングルマザーというのも現実的に多いだろう。でも、なんか、序盤からあまりにドラマチックな設定（ドラマなんだけど）がてんこもりで、視聴者としてちょっと距離感がつかめない。

一話の感想にも書いたんだけど、ささやかだけど幸せな家庭をともに築いた夫（しかも小栗旬！）が不慮の事故で死んだあと、たちまち生活に困窮していく・・・ていう描写はすごくリアルで、今の世の中、ひとつ歯車が狂ってそのようになっていく人はとても多いだろうし自分もひとごとじゃないし、胸つまされた。けれどそのあと割と早い段階から実母との対峙があったり（しかもあれだけ経済的に詰んでるのにお金を受け取らなかった）、夫の死ともかかわりのありそうな異父妹が出てきたり、主人公が重い病気をもっていそうだったりすると、なんというか非常に特殊なケースの話になってしまった気がして、単純に外野として鑑賞するべきドラマなの？そうだったの？と。

今考えて見れば、「それでも、生きてゆく」のときは、殺人事件の被害者家族と加害者家族との話という「レアケース」が最初から提示されていたので、レアケースの中に人間の怖さとか悲しさとか優しさとかを見出していくんだ、と自然に視聴態度が定まっていたように思う。「Woman」は最初なまじ、生々しいほど現実に近い手触りがあったので、そこ（だけ）が眼目じゃない展開になりそうなことに、自分としては、肩すかしを食らったように思ってる。

…と、「見ない理由」をこんなにだらだら書き連ねるのは非常に不毛な行為ですな。でももちろん気になるドラマなのでドラマファンの皆さんの感想など巡らせていただきます。

●「サマーヌード」　Womanリタイアしてこっちを見てるっていう・・・。このドラマの「何もなさ」といったら、すごいよ。長澤まさみに逃げられて３年も引きずってる陰気くさい山Ｐと、披露宴の最中に新郎に逃げられた気の強い香里奈、山Ｐに10年も片思いしてる妹キャラな戸田恵梨香、のトライアングルと、その周辺の、戸田恵梨香に思いを寄せるメガネな窪田正孝、香里奈に一目ぼれしたお調子モンの勝地涼、ていう一方通行だらけの設定があって、その設定だけで、えんえんと話が進んでいくようなのよ。

ドラマ内では、山Ｐと香里奈がそれぞれの過去の恋、またはトライアングルの他方である戸田恵梨香の恋心について会話するシーンのあと、香里奈と戸田恵梨香がそれぞれの恋、またはトライアングルの他方である山Ｐの恋心について話すシーンになって、その次は、戸田恵梨香と窪田正孝が夜道を一緒に帰りながら片思いの話をして、その次は、山Ｐの家に勝地涼が来て、山Ｐの過去の恋を茶化しつつ、自分の恋心をアピールする・・・と言った具合。本当に何も起こらないの。２話もあって、しかも２話とも15分拡大だったのに、何年も前からの約束らしい写真を撮るとか撮らないとか、昔の恋人にもらった指輪を捨てるとか捨てないとか、DVDを返すとか返さないとか、そんなことしかやってないの、まだ！

海辺の小さな町が舞台だったら、20代後半になっても地元で仲の良いグループがしょっちゅうつるんでる感じ、部室みたいな飲み屋がある感じはわからんでもないのね。でも、この人ら、寄ると触ると恋愛の話しかしないの。しかも恋愛を楽しんでるんじゃなくて、なんか知らんけど自分の思いを秘めたり微妙に開陳したりしながら切なーい毎日を送ってるの。で、昼の海、夜の海、海の家、小さな写真館、売店のベンチでアイスクリーム、生ビール、缶ビール、ショートパンツ、ノースリーブ、フジファブリック「若者のすべて」、夜のレンタルビデオ屋。なんかすごい。どこまでもムードなの。日本の夏って情緒的なものだから、夏のドラマや映画って昔からムード重視なとこがあるけど、このドラマはムードがワンアンドオンリーなの。その完膚なきまでのどーでもよさを、今、もうちょっと見たくなってる自分がいる…。夏のムードに弱いの…。

放送前、バラエティで番宣してる姿を見たときは、「ほっそ！　いくらなんでも痩せすぎだろ。ちょっと直視できないレベル…」てドン引きしたのに、ドラマで見てると戸田恵梨香がかわいくてしょうがない。すごいの。明るくてかわいくていい子で、無職で、でもお父さん実業家だからお金には全然困って無くて、悩みといったら長年の片思いだけ、っていう、このドラマのシンボルみたいな子を演じて完璧なの。