皐月の十四 / 博多座六月大歌舞伎、船乗り込み
●5月某日: 1日じゅう雨の予報だったので朝からのんびり過ごす。小降りのときを見計らって、サクにレインコートを着せ、近所に買い物へ。なんとか自分で傘をさして、歩いて往復しきった。・・・といっても家から300ほどしか離れていないスーパーなのだが、以前は、行きは珍しくて楽しい傘やレインコートも、帰り道にはじゃまになって、投げ出したり、抱っこをせがんだりだったのだ。うむ、成長であるぞ。ヒマなので、サク向けに実演しながらゆっくりチャーハンを作って昼ごはん。食べたあとは折り紙やはさみやシールを盛大に広げて思いきり遊ばせた。数日前にすでに梅雨に入っている。体感的に、例年よりずいぶん早い。自分の雨靴や雨合羽をネットでポチった。(今年は週1だが)これからは雨の日もサクを送り迎えしなければならなくなる。
●5月某日: 行ってきましたよ〜、「6月博多座大歌舞伎船乗り込み」!! 役者が“ご当地到着”を船に乗ってお披露目する伝統行事。もともとは「水の都」江戸での発祥みたいなんだけど、今では大阪と博多でだけ行われているそうです。私は初参戦〜! 1時過ぎに現地に着くと、すでに川の両岸と橋の上には人がびっしり。船乗り込みイベントのスタッフはもちろん、警察官も多数出動。リバレイン脇には降船後の式典のためのステージが作られ、年初にサクと一緒に参った鏡天満宮も、降船後に役者さんたちがお参りするため、「関係者以外立ち入り禁止」になっている。まだ時間はだいぶあるので、リバレイン内をうろうろ。いつ来ても人が少なくて(爆)落ち着くわー。友だち親子と合流し、いよいよ私たちも川岸へ。ギリギリスペース確保することができた。船が来るまではまだ15〜20分ほどあったので、当然じっと待つことに不平を洩らしはじめるサク。よく会う友だちが一緒でよかった〜。私とふたりきりより、断然、間がもつ。
で、いよいよ舟がキター!と思ったら舟壁に「川をきれいに」的なことが書いてある、なんつーか、AC的舟だった。まあ、水先案内人ってことなのかもしんないが、乗ってるのがやけにバイトっぽい男子2人だったのがなんかツボ。次にやってきたのは、博多座の提灯を先頭に掲げた、オエライさんっぽい人たちが乗った舟。ここで、「橋の下をくぐるとき、旗指物はどうするのか」という疑問が解けた。ま、当たり前っちゃそうなのだが、舟の両外に突き出すような格好で、倒してくぐるのだった。伸縮自在の物干しざおみたいに、伸ばしたり縮めたりするんだったら面白いなーなんて思ったんだが。
そしてそしていよいよ、亀ちゃん猿之助を乗せた舟がキター! 右に左にと顔を向け、笑顔で手を振る姿に、「きゃーーーーーーーーー亀ちゃーーーーーーーーん!」と我を忘れて叫ぶ私。すごい、近い、肉眼でハッキリ表情まで見える、かっこいい、シュッとしてる、和服が似合う、気品が、オーラが〜〜〜! みんなは舟の床に直接座ってるんだけど、亀ちゃんは、床几みたいなのに腰かけた格好。波もない、風も強くなかったけど、曲がりなりにも舟だし、重心が高くなればなるほど不安定だろうに、ちょっともぐらぐらしない、鍛えられた素晴らしい体幹。観客のみんなに対抗するように、自分も懐からカメラを取り出して観客を撮る…なんてのは、オリンピックの開閉会式なんかでもよく見られる、もはや多少古びたパフォーマンスなんだけど、もう全然かっこいい! 亀ちゃーん! 亀ちゃーん! 亀ちゃーん!(以下リピート)
次の船には中車さん。一時期ほどやつれた様子もなく、こちらもとってもかっこよく見えた。やっぱり芸能人オーラって、ある、あるよねえ!! 右近さんと笑也さんからは2人で一艘に同乗する形。あたりまえだけどみなさん笑顔。みなさん麗しい〜! 猿弥さんがこの方のキャラらしくことさらおどけた様子で両手を振り続けているのが印象的だった。私の真後ろから見ている人が、ずーっと「猿弥さーん! 猿弥さーん!」と声をかけてた。
さて、私たちが見ていた地点のちょっと先が降船場所。観客はわらわらと、参拝〜記念式典という次のイベントのために移動していく。私たちもちょっと後を追ってみたけど、当然ながらすごい人口密度なので、ちびっこ連れでは厳しいと判断し、えっちらおっちら歩いて天神に戻ってお茶をしながら余韻をかみしめたのでした〜。はぁぁぁ。船団の先頭で、ひとり堂々と床几に座ってお目見えした亀ちゃんの姿を思い出すと目頭が熱いような思いに〜。あらためて、亀ちゃん、出世したよなあ。2005年か、海老蔵の襲名披露で一緒に博多座に来た時は、思えば猿之助劇団を離れて間もないころだったんだろうけど、助六の相手役の揚巻(菊之助)の、妹分花魁の白玉の役で、一般的にはほとんど注目されていなかったよなあ、と。それからたった7年で猿之助を襲名するに至るとは、誰が想像できたであろうか。
夜や翌朝のローカル番組で、この模様が流れると、サク、目を丸くして「これ、これ、さっきみたでしょ?!」と連呼。実際に見た光景がテレビで再現されるって、なかなかないもんね〜。