皐月の十三

●5月某日: 「今日は、温泉に行くよ〜!」と聞かされたサク。しかし夫に連れていかれたのは、カー用品店(私、待機。てかランニング)。いったん帰ってきたのを「おかえりー」と迎えるも、ムッとした表情で玄関先に座り込んでいる。「どうしたの、お靴を脱いでごらん」と促すと、「はやく おんせん いこーよー!」な、なるほど。なだめて家に上げるも、旅の準備をするパパママに向かって「もーっ、パパも ママも はやく おきがえ してごらん?!」など正確な言語表現で催促をするので笑う。最後には、パパママのマネをして、まるで自分も準備をしているかのように、家の中をあっちからこっちへと忙しく往復。そんなこんなでやっと出発し車中の人になると、最初こそテンションマックスで盛り上がっていたが、20分ほどでぐっすり寝入ってしまった。おつかれさーん。さて、湯布院は夫の会社の別荘に到着。涼し〜い。福岡なんて軽く夏日っていうかむしろ真夏日に近いぐらいだったのに、こちらの風は涼やかだ。広々とした一軒家に、サクも一歩入ったそばから「おお〜 すご〜い。このいえは すごいね〜!」とご満悦、温泉も大好きな2歳児である。夜ごはんは焼き肉〜! サラダ、牛肉、ホルモン、鶏肉(前夜からタレ漬け込み済)、そして焼きそば…夫の完璧な下準備のおかげで快適かつ美味なる宴であった! ビールごくごく。しかし、傍らの大型テレビで流れているのは『八重の桜』第21話「敗戦の責任」…。大変な鬱回でございました、修理さまぁ、ううっ(泣)

●5月某日: 朝イチ温泉、もちろん2歳児も一緒。「みてみて〜ほら」と言って湯船からポコンと尻を浮かせるアクション。親がいちいちウケるんで(だって湯船から尻がポコンと…wwww)延々とやり続けていた。もらった入場券があったので城島高原パークに寄る。道路のすぐ脇に広がっている草原と遠くまで続く由布岳の山肌はどちらも鮮やかな緑で、目を疑うほど美しい。湯布院の別荘よりさらに上がった標高は700m。もう、涼しいっていうより寒い! ので早々におもちゃ館なる室内に入ると、プラレールで自由に遊びましょうコーナーを発見したサク、靴を脱ぐのももどかしくてキーキー言いながら上がり込んで行き、離れない。小一時間ほどして「もう行くよ〜」と声かけを始めたが当然嫌がるので、急がずゆっくり、15分ほどかけて納得させて立ち去ろう…とする。その目論見は半分成功し、体をジタバタさせたり泣き叫んだりということはなかったのだ、が…「頭では納得できているが感情がついていかない」状態になったらしく、見事なふてくされ状態に。ここまでのテンションダウン(寝たふりなども試みていた)を見るのは初めてだもんで、かわいそうなんだけどなんかウケる(ウケたそぶりを見せるのはさすがにかわいそうなんで、そ知らぬふりでそっとしといた)。昼ごはんのころには自主的に回復し、キャッキャ言いながらおそばや鶏天をモリモリ食べる。ま、2歳児なんてかわいもんよね〜とヘソで茶を沸かしていたら(?)、帰宅後の夜には、「座って飲みなさい」とか「○○持ってきて」とかの言いつけに、ふてくされつつ超しぶしぶといった風情で「わかったよ〜」と答えるというワザを繰り出してきた。なんだこのレベルアップの早さ。

是枝裕和監督、福山雅治主演の映画「そして父になる」、カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。日本人の同賞受賞は26年ぶりというのだからもちろん快挙だが、26年前の受賞が三國連太郎監督の「親鸞 白い道」だったことを知って二度驚いた。是枝さんの「ゴーイングマイホーム」が大好きだった身としては「そして父になる」も当然気になるのだが、小さい男の子が家にいるせいか、子どもが取り違えられていたと知った夫婦の衝撃やそれからの葛藤があまりにもリアルに感じられそうで、「見ていられないかも」とも感じる。それでいて、その2組の親子がどこに落ち着くのかは、すっごく気になる。ま、どうせ日本での公開は10月ということである。せっかくだから今すぐ公開したら興収が見込めるであろうにねぇ。