25歳で母親で、と言いますが、25歳で赤ちゃんをもっている母親って、周りを見ても頼りなかったり未熟な面があったりするのがほとんどです。それが当然だと思います。そもそも、産んだすぐから完璧に立派な母親になれる人はいません。産んだあと、時に間違えたり遠回りしながら少しずつ親になっていく。多少の間違いや遠回りがあっても、たいていの母親は子どもを愛し、社会に真摯であろうと一生懸命です。であれば、その一生懸命な過程を、寛容な目で見守る世の中であってほしいと願っています。

有名アスリートである安藤さんには普通の母親には必要ないマスコミ対応や世間への説明も求められますが、長年の有名人でも出産は初めてで、スポーツ界的にも異例です。

発表の仕方や多少の言動の不適切を、直接被害を被ったわけでもない有象無象の人々に逐次責められ厳しく評価されるのをみると、「そんなに完全に正しくなければいけないのか」と息苦しくなります。

現状、人気選手の交際や結婚出産には、どんな形の判明や本人発表であれ、かしましいのがマスコミや世間の好奇心なので、結果的にひたすら黙っていたほうが賢く思えるし、美しく見えますが、

本質的には、アスリートが、そういう世間の現状や従来のマスコミのやり方に合わせなければならないのがおかしいのであって、迎合したくなくて、自分なりの新しいやり方を模索する選手が出てくるのも当然だと思います。そもそもマスコミや世間が静かに見守っていれば、昨日のようにものものしい会見も必要なかったでしょう。

「はじめに本人が発表したことなんだから」とおっしゃいますが、本人発表であろうとリークであろうとスクープであろうと、追い回され好奇の目で見られる度合いに大きな差はなかったと思われます。そして、本人がどんなに黙っていても、リークされたりスクープされたりする可能性はあるのです。それを、「自分から言ったんだから騒がれるのは当然」というのは、あまりにも厳しい意見のように思われます。

安藤選手の一連の言動もそうですし、小塚選手の交際宣言もですが、新しいやり方は、新しいがゆえにフォーマットがなく、世間にも驚きをもって受け止められるので、不器用だったり、必要以上に攻撃的だったり被害者意識が強かったりするときもあると思います。

けれど、先のブログ記事にも書きましたが、有名アスリートは社会的マイノリティーでもあります。若い彼らが自分の競技環境や生活環境までを脅かされるリスクを負いながら模索・格闘していることを思えば、反社会的でない限り、私はどんな選手の声にも耳を傾け応援したいし、簡単に批判したり上から目線で評価したりする気にはとてもなれません。

紆余曲折があっても、声を上げる人がいることで、長い目で見ればアスリートをとりまく環境が向上することもあると思います。

私も安藤選手をハラハラしながら見ています。ハラハラしつつ心配しつつ応援しつつ。とらももさんのツイートには、ご自身では無意識かも知れませんが、ハラハラというより、「鼻白む」というか、もっとハッキリ批判の印象が強いです。とはいえ、そうだとしても個人の感想ですので、それを私がどうこういう権利はありません、意見を変えろとか発言を控えてほしいとか言う気はもちろんありません。

ただ、個人の勝手な思いとして、「なんかもうちょっと優しく見守ってあげたらどうかな。こういった類の、少しの瑕疵も許さないような厳しさは、安藤さんの件に限らず、社会のいろいろな場面での息苦しさに通じるな」と思っている人間もいます、ということをお伝えしたく、不躾に書き連ねました。読んで頂けたのなら、本当にありがとうございました。

●追記●
特定の方に向けて書いたものでしたが、その方がtwitter上で当該リプライをRTなさったことで、想定外の多くの方々がご覧になっているようです。

・・・であれば、よろしければ前段となる前日の記事もごらんいただければと思います。

http://d.hatena.ne.jp/emitemit/20130705