卯月の七 / 中村屋特番

●4月某日: 雨降りの暗い空が突然ピカッと光ったかと思うと、砕け散るような雷鳴。驚く。夏のゲリラ豪雨のようにひっきりなしではなく、間をおいて2,3回、何の前触れもなく、あった。「雨だから、おんぶで買い物に行くよ〜」と言うと、「あ、おんぶだね」と返事をしたあと、別室に消えるサク。「?」と思いながら準備をしていると、おんぶひもをひきずりながら登場。あ、場所、知ってたのね、けっこう、しまいこんでるのに…。友だち親子が遊びに来る。今日は〜、私が作る〜、適当ランチです〜。サク、初手から大興奮。友だちに興奮し赤ちゃんをかまいたがり、ビョルンの抱っこひもやリュックの機構(留め方)が気になる。赤ちゃんのおむつをチェックして、どうやら替えてあげたかったようだが、私が「サクちゃんもおむつ替えよう〜」と言うと「滅相もない、おむつなんてしてませんよ」みたいな反応をしてた。友だちからちょっと驚く話あり。以前から、この友だち夫婦に見せたかった「大人のピタゴラスイッチ」2夜分をDVDに焼いて持たせる。

●4月某日: ゆうべ寝る前にサクの体が熱いことに気付く。38.1度。時折荒い呼吸になったりしながらも、起きることなく朝までぐっすり。しばしば目が覚めて確かめていたけど汗をかいた様子はない。朝、37.5度。あまり食欲がない様子で、おなかもゆるめ。念のため病院に連れていく。「風疹とかだったら先に発疹が出るんですよね?」 「いや、熱からってことよくあるよ」 「!!」 「や、こんな子どもは罹らない。予防接種したでしょ?」 そっか、MRワクチンって麻疹風疹の混合だったな! 任意なのは水疱瘡とおたふくかぜか。良い天気なのに外で遊べず、体調はいまいちながらも体力をもてあましたサクは機嫌が悪い。昼下がり、なんとか寝かしつけると、さすがに体は正直で、3時間もこんこんと眠り続け、その間に汗をびっしょりかいて、起きると完全復活している…。

Eテレ「知恵泉」重源の回、「東北発未来塾」秋元康の回、新歌舞伎座開場に合わせて放送された中村屋特番の冒頭など、録画いろいろ消化。ざっと数えて、一週間にNHK+Eテレを30時間以上見てる計算になる我が家だ…。中村屋特番、無理やり白塗りされて泣きじゃくる七緒八くんが超かわいい。あんまり嫌がるからか、本番では素顔で登場していた。いかに父親に手を引かれているとはいえ、泣きもせず、立ち止まりもせず花道トコトコ歩くだけでも、あのぐらいの年の子には難儀だと思うが。勘三郎の在りし日の映像が生気にみちているのは当然だが、ついこの間の姿だって若々しくエネルギッシュで、亡くなったことがいまだに信じられない気もする。

●4月某日: ゆうべ遅く帰ってきた夫、朝、いったん起き上がったが、ほどなくまた布団に戻っていく。「そうひどくはないけど」なんてモゴモゴ言っていたが、結局昼過ぎまで布団の住人。そうだよね、ゆうべ、「Tくんの奥さんがすごい倹約家らしくて…」て話を4回くらい繰り返してたもん。ま、サクもまだ少々微熱の住人だし(住人?)、ちょうどいいか。ということで読書が進む。司馬遼太郎街道をゆく」の3巻を読み終わり、図書館で借りた「幕末下級武士の絵日記」にとりかかる。先日、本書をパラパラとめくった友人が「なかなか悲哀を感じさせるね」と言っていたが、これは前書きを読んだのであろう。悲哀を感じさせる境遇に反し、絵日記の中身は呆れるほど暢気だ。半分くらいまで読んだところで、宇野常寛「日本文化の論点」にシフト。

復活した夫、午後、サクを自転車に乗せてあちこち買い出しへ。サクは乗っている間じゅうご機嫌だったらしい。あたりまえのような顔で昼寝はせず。私はランニング。3キロほど走ると先週の膝外の痛みが軽く出てくるが、なんとか、だましだまし、8キロちょっと。帰宅後、金哲彦著のランニング本をめくって、これは膝そのものが悪いのではなく、膝の前後の筋肉が凝っているのである…と確認。夜は焼き肉! 肉屋の肉がうまかった…! 今日もビール。

中村屋特番、録画の続きを見る。「身替坐禅」の同じ一場面を、勘三郎勘九郎の順に映していたが、こうして見ると、もう残酷なほどに差がある。まあ、それが伝統芸能の奥の深さというものだから、現時点で勘九郎が気に病むことではないし、とはいえ先達との差は本人が一番わかっているところでもあろうな、と。襲名披露公演のトリとなる博多座の舞台稽古、仁左衛門勘九郎に、玉三郎七之助に、熱心に稽古をつけている場面がウマー。