弥生の五 / 鹿児島1日め

●3月某日: 

8:00 サク起床。「明日は新幹線に乗るよ」と聞かされて、前日からさんざん興奮していたが、起きぬけはいつもどおり、ちょっとぼよよんとしている。いつ思い出すか見ものだなーと思ってたら、自分も興奮しているらしい夫が「サク、今日は、ついに、新幹線だぞーっ!」とネタバレしやがった、ちっ。にわかに思い出したように「わーっ、しんかんせんだーっ!」とはしゃぎだす。

10:30 父に送ってもらって博多駅着。駅弁を選ぶ。新幹線の形をした陶器に入った「神戸牛のすき焼き弁当」みたいなのがあった。新幹線のりばには、あっちもこっちも新幹線。サク、大興奮。

11:00 九州新幹線「さくら」発車。予約したのは指定席2席だけど、真ん中の肘置きを収納すると、3人で並んで座って別に窮屈じゃない。サクが小さいのはもちろんだが、私も小さいので、こーゆーときは便利です。40分で熊本に着くって、あらためて凄まじいな。みなさん九州の土地勘ないでしょうが、博多〜鹿児島間1時間40分って、ほとんどマッハなんですよ。20年前の半分以下なんですよ。なので、水俣から向こうは半分くらいトンネルの中なわけですが。

12:40 というわけで、鹿児島中央駅着。ホテルに荷物を預け、身軽になってから「まち巡りバス」に乗る。いわゆる鹿児島のはとバスですね(って、はとバス乗ったことないくせにww)。ザビエル公園、西郷銅像、西郷洞窟、薩摩義士碑、異人館など、周辺の名所を回ってゆきます。車内ではそれぞれの場所を説明するテープが流れてるんだけど、これが「ここで西郷は覚悟をお決めになられたたのであります」的に、呼び捨て+敬語っていう謎な言葉づかいw  となはいえ、テープのほかに、運転手さんが適宜、「左手をごらんください、こちらが…」的に良いタイミングでお話してくれて、これがとても良かった。時間の関係で回りきれない名所も、これでいくらかカバーしました。

13:45 仙巌園、着。薩摩藩主である島津家の広大な別邸であり、幕末には反射炉やガラス工場などの事業もこの地でなされた。明治期には世が世ならお殿様であった島津忠義一家も住まっている。錦江湾を池に、桜島を築山に見立てた、世にも贅沢な借景の庭園。すなわち絶好の桜島ビューポイントなのであるが…あいにく当日は雲と黄砂で上部が霞んでいたのが悔やまれる。

とはいえ、見るべきところは多く、まあ1,000円もの入場料をとるだけあって、よくメンテされているし設備も整っている。貸出ベビーカーはグレコでした。入園すると早々に、インパクト大の150ポンド砲。いかめしい正門にも、島津忠義が住まった「御殿あと」の屋根にも、いたるところに島津の家紋「丸に十の字」が刻まれている。

こちらは、「錫門」。

門瓦がすべて錫でできている、とっても高価な門。錫瓦、「さわってみてね」と展示されてました。重い。朱塗りの門というのは幕府の許可がなければ作れなかったもので、藩主とそのお世継ぎしか通ることが許されなかったらしい。

その他、竹林(おいしいと有名の孟宗竹はここが発祥とも)、御庭神社、濾過池、山階宮妃(島津忠義の娘)碑、猫神(猫をまつった神社)など、見てまわった。やはり古さを感じるものは興味深い。



古い建物を利用した土産物屋や喫茶処なども見られる。まだちょっと風邪が残っているサクが心配で、奥の山深い感じのところまでは行けず。

最後に、尚古集成館。古い建物にまず萌える。

中は現在、博物館になっていて、2-30分ほどで見るのにちょうどよい数の展示品たちが見ごたえありまくり! 島津の高貴な女性が用いた女物の輿の豪奢な意匠にはため息が洩れるほど! 銃や砲や日時計、動力を伝達していく歯車など、幕末の薩摩の工業力を示す品々。幕末から明治にかけての島津家の写真の数々も面白かった。みなさん美形で、かつ、南方系だなーというお顔。

16:00 タクシーでホテルに戻り、チェックインして休憩。本日の宿はソラリア西鉄ホテル鹿児島。新幹線に合わせて開業したので、まだ何もかもが新しく、しゃれてる。お風呂の広さもすばらしかったし、桜島ビューの高層階でもあり、それでいてお値段はソコソコなので、おすすめです! ここでサク、ちょっと昼寝してくれないかなーと願ったが、まあ興奮しきっていてベッドでビョンビョン、スツールでビョンビョン! 

17:30 かごっま屋台村へ。こちらも新幹線に合わせての開業だろう。目当てのお店はすでにほぼ満席だったが、奥に席を作ってもらって入る。まだまだ明るい南国の空に乾杯! 鹿児島らしく、きびなごやカツオやブリの刺身。さつま揚げ。わたし生ビール2杯、夫は生ビール+屋台村オリジナルの芋焼酎2杯、サクはオレンジジュース1杯で次の店へ移動。

19:00 鹿児島中央駅裏の居酒屋。夫が出張時、鹿児島支店の人々と通っているらしい。私にとっては勤め人時代に通っていた博多駅裏の居酒屋「げんき屋」を彷彿とさせるディープな店で、観光客はむろんゼロな雰囲気。ここで食べた豚の角煮と「がねん天ぷら」ってのはこの旅のベスト5に入る美味しさ&安さだった。「がねん天ぷら=ガニの天ぷら」で、さつまいもやニンジンを細切りにしてかき揚げのように揚げた姿がカニに見えるってことらしい。

20:15 コンビニで買い出しして、ホテル帰着。お風呂に入って二次会。WBCの2次ラウンド、オランダ戦は、鳥谷の先頭打者ホームランに始まって、松田、内川のホークス勢や、稲葉にもホームランが出て、16対4でコールド勝ち。手に汗握る熱戦を見守りながらの酒盛りを期待していたので、むしろ拍子抜けではあるが、旅の酒はいつでも楽しい。サクも元気。