サクことば 25(番外) 「くるまだいすき」

あまりに日常の一部と化していて、日々のログにも成長記録にも書き洩らしていたことをメモ。

始まりはもう何か月前だろう、2歳を過ぎてすぐだったか? 住宅街でもあり、交通量の多い大きな通りもすぐ近くにあるこのあたりをサクと歩きながら、しょっちゅう見かける「クロネコヤマト」のトラックのマーク

を指さして、私が「ねこトラックだよ」と適当に言ったのを目ざとく耳ざとく聞きつけ覚えたサクである。

その後まもなく、運送会社の双璧である佐川急便のトラックに目を留めるようになったのも、それに「にじトラック」と名付けたのも、私ではなく、サクだ。かつての飛脚マークではなく、現在のこういうデザインが

「虹」を90度回転させた格好に、彼には見えたらしい。

さらに、「パンダトラック」(=引っ越しのサカイ)、「りすトラック」(=福岡を本拠にする生協組合)、「ポストのトラック」(郵便トラック)など、サクによる命名は増えていくのだが、やはりなんといっても、「ねこトラック」と「にじトラック」が二強である。確かに気をつけ始めると、両社が、びっくりするぐらい私たちの日常のそばにいるのがわかる。トラックだけでなく、小さなワゴン車や、二輪車も走っているし、米屋や酒屋などなどの店先には「配送承っています」の立看板の中にクロネコが鎮座している。そのひとつひとつを、決しておろそかにせず注意深く見つけ、同じ道すじを通れば何十回、何百回でも指摘するのが子どもという生きものだ。

観察力が一歩進化したのはおそらく2歳半ごろからで、今度は、うちの自家用車と同じ型の自動車に目を走らせ、指摘するようになった。いわく、「おれんじの くるま と いっしょ!」。そう、夫の独身時代からの愛車である我が家の「キューブ」は、なんとケッタイな趣味であることか(笑)オレンジ色なのである。確かに特徴的なその箱型の造形を、いつしか覚えてしまったらしい。今では、「トヨタbB」とか「ホンダモビリオスパイク」とかも、一応、指さしたうえで、「ちょっとちがうね〜」と自分でツッコむ、ゆき届いた態度を見せている。

驚かされたのは、先日(2歳8か月)の鹿児島旅行で、まる1日借りただけのレンタカー(クリーム色の日産マーチ)にも執着するようになり、帰福後、「きいろい くるま と いっしょ!」と、やたら指さすようになったことである。運送トラック、キューブ、マーチ…一歩、外に出ると、麻薬Gメン並に(?)四方八方に目を光らせるのに忙しいサクと、彼の指摘に追随するためうかうかできない私である(生返事に対して厳しいのも子どもという生き物の特徴なのだ)。

先日、大型スーパーの屋上駐車場で、隣に停車しているのがやはり、我が家と同じ車だった。当然、鬼の首を取ったげに指さすサクに、ふと思い立って、「パパの車とおんなじだね。”キューブ”っていうんだよ」と初めて型名を教えると、「きゅーぶ? パパの くるまは、”はちぶ”でしょ?」と間髪おかず返された。だ、誰がうまいこと言えと・・・・www