『ぼくらが愛した「カーネーション」』

ぼくらが愛した「カーネーション」

ぼくらが愛した「カーネーション」

終わったドラマの関連商品を買うことは滅多にない。ブログで過剰な愛を綴ってはいても、それがほとんどすべてだ。しかもこの本、当初の発売予定日から約半年も遅れての出版になった。ドラマが終わってからもう9か月も経っているのである。なのに買ってしまったのは、もちろんそれだけ、「カーネーション」に対する思い入れが強いから。名ゼリフ、名シーン集30を読むと今になっても胸がいっぱい。欄外には、ベスト30に収まりきれない名ゼリフがびっしりと並んでいて、つくづくまったく捨てどころのないドラマだったなと思う。

宇野常寛と岡室美奈子の対談が収録されることも、購入意欲アップに大いに寄与した。宇野さんのドラマ評にはいつも共感、かつ感嘆させられる。「ユリイカ」のドラマ脚本家特集号(感想: http://d.hatena.ne.jp/emitemit/20120627#1340795628 )での岡室さんとの対談(そのときは鼎談だったのだが)も面白かった。こちらの本でも、対談はたっぷりした量で、過去の朝ドラはもとより、渡辺あやのこれまでのキャリアや、最近のドラマの潮流なども引きながらの評論となっており、非常に満足度が高い。

1,680円という値段は、これが角川とか文春とかの大手ならば「あと2割、安くしてれても」と思うところだが、小さな版元だろうから致し方ないんだろうな、と。発売延期を繰り返しながらも出版までこぎつけることができて良かった。大事にします。